- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041979068
感想・レビュー・書評
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家族を守るための犯罪だったけれど、それを隠すために身勝手な行動になっていくところや、若さ故の視野が狭すぎる主人公に、もっと違う形でやれることがあったのではとやるせない気持ちになりました。
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貴志祐介である。
著者の作品を知る読者なら予想できたことと思う。今回も嫌悪感や悲壮感があふれるのは当然の展開。キツイ。だけども、読むことを止められない。
このまま静かに終わってほしいと考えていた私は、ページ数がまだ半分ほど残っていることに辟易し、救いを求めて更にページをめくることになった。
以下ネタバレあり。(備忘録)
母親が奮起しなかったことには失望する。
主人公が犯人であり、その計画から犯行に至り、更なる闇へと転落していく様子が描かれる。
家族の為だった。完全犯罪のはずだった。
秀一は母と妹を守りたい一心に恐怖に打ち勝ち、一歩前へ進んだ。
作中に『山月記』『こころ』など、古典文学の引用があり、秀一の心境を引用文に重ねている。正義の為であるが、罪の意識に苛まれ、後悔に苦しみ、一生消えない記憶に打ちのめされる様は、この二作を読んでいるかどうかで、印象が変わるだろう。
石岡 拓也は秀一の犯罪行為を知り、秀一を強請る。金を工面するために二人は秀一のバイト先であるコンビニで強盗を演出するが、店員である秀一の罠で殺される。
後に、拓也のポケットから、秀一の犯罪の証拠品が出てくる。彼は本気で秀一を強請るつもりだったのだろうか。もしかすると、証拠品を秀一に返すつもりだったのではないかと、個人的には考えている。
完全犯罪は失敗に終わった。
家族、恋人、友人は最後まで彼の味方だった。犯行前は少年法を盾に粋がっていた秀一も、大切な人を不幸にしてしまうであろう自分こそ消えるべきであると考え、被疑者死亡による、事件の迷宮入りを目論む。自分が死ぬことで守るものがあると信じてトラックに突っ込む。
救いのない物語だ。
読了。 -
昔、お母さんが再婚してすぐ別れた人が突然家に転がり込んで傍若無人に振る舞い、お母さんと妹を護る為に櫛森くんがそれを排除するお話。
櫛森くん、ちと中二っぽいとこもあるけど頭が良く計画を進めていく。
僅かなことで計画が思い通りにならず...こんな展開になるとは⁉︎
面白かったです。 -
本作のようなミステリーを「倒叙推理小説」というのだそうな。まず犯行が行われ、捜査機関が徐々に犯人に迫り、犯行が暴かれていくという、刑事コロンボスタイル。
それにしても、主人公が追い詰められていく系の小説、苦手だなあ。本作でも、せっかく湘南の海沿いをロードレーサーで疾走するシーンが繰り返し出てきのに、気持ち良さをちっとも味わえなかったし、途中から読むのが苦しかった。最後まで救いがなかったことも不満(まあ、家族や友人達、特に紀子の愛情には癒されたんだけど)。
ゴールデンウィーク最後に読む小説じゃなかったな。 -
倒叙推理小説が嫌いだとは思わないけれど、この作品のその
部分が私の好みより細かくて長くて、読むのが苦痛に感じる
事がありました。
単に私には合わなかったという事です。
秀一に対しては色んな感情を抱きますが、完全犯罪を求めて
実行した結末がこれではやるせない。
この小説自体を否定してしまうようですが、殺人以外の方法
があったのではないかと親としては思ってしまいます。
子供が不幸になるのは小説とはいえ嫌なんです。 -
初めて倒叙推理小説を読んだ。
手に取った時はただの青春小説だと思ったが、ただの高校生が緻密に殺人計画を立てそれを実行していくストーリーが読みやすかった。
淡々と進んでいくストーリーに初めは退屈さを感じていたが、殺人をきっかけに主人公の中で変わる心情の変化を追っていくのが面白かった。 -
骨太の作品、2日間かけて読了
最近の作品のような衝撃はないけど、楽しんで読めた。 -
17歳、男子高校生が主人公。
良き母と明るい妹との平和な3人暮らしを
邪魔する男を殺害する計画を立てる。
大切なものを守ることがいつも正しいとは限らないし、不幸な要素を取り除いて残るのが前より不幸でないとも限らない。そんなお話。
この主人公、大変に頭がキレる。
ちょっと斜に構える感はあるけれど格好いい。
そして同じくらいダサい。人間らしさがきちんと出ていて、その辺りの描写がやけにリアルで面白い。