- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784042750079
作品紹介・あらすじ
セックスなんて11分間の問題だ。脱いだり着たり意味のない会話を除いた”正味”は11分間。世界はたった11分間しかかからない、そんな何かを中心にまわっている――。
感想・レビュー・書評
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売春婦の恋の物語。性的な表現が多いため好き嫌いが分かれそうな作品であるが、個人的には非常に楽しませてもらった。主人公である女性の心の機微をここまでリアルに描いている(ように思われる)パウロ・コエーリョに感嘆してしまったことが、この本の第一印象である。また、決して俗悪な話ではなく、精神性の高い女性の生涯を高貴に描いているところが私好みであった。
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少女の成長の過程と性(愛?)の描写。
プロとして女の成長と遍歴の物語。
性⇒聖に結びつくもの。
楽しかった!
11分間
題名の由来は予想できたかもしれない。小説は入れ子になっている。マリーアは神?新教の世界である。
男の視点から、女の視点から。
若さはブランド&記号。逆向きの時間。
女の目覚め、悦び。共感、シンクロ、同情、理解。
外観ではない男、女は内面が見えるのか?物理的、心理的な時間も。
支配するものと、支配されるもの。機能と役割。 -
感想を書くのは難しい作品だけど、
私はあのラストシーンは好きじゃないなぁ。
どうなるのかと期待していただけに、興醒め。 -
大きなテーマは愛。ストーリーが面白いので、惹き込まれる。タイトルも秀逸。
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パウロ=コエーリョによる性についての前衛的であるようで、宗教的な断片。他の著作と同じように貞操観念が薄く、体面以上の自尊心をまだ見つけられない若い女性が主人公。小さな好奇心と、人生を単純に考え過ぎたはずみから娼婦の道を進むようになり、様々な男との経験と、特別な男との出会いから、性と生を見つめなおす話。
独特な潤いのある語り口と宗教的信条が印象派的に光る世界観は同じみ。ちょっと長すぎる感がある。200ページ前後でおさめられていればもっとよかったと思う。
2014.12.9 -
苦手だったパウロ・コエーリョ。寺山修司好きの女子に「女性が男性に読んで欲しい猥褻な本」という不純な動機で読み始めたが人生の示唆に富んでいて凄かったの一言。一度整理しないと他の本を読めないので、一旦レビューしとく。
この本はエロ本であると同時に聖書である。堕ちながら高まっていく相反する世界を描写していく。特に、自意識に悩んでいたり、自己否定している人には赦されると思う本だと思う。性描写に眼が行きがちで、たしかに生々しいが、それは鞭を打たれるキリストを描写するのと同じ如く、ただの状態をある意味正しく表現したに過ぎない。
相反する要素は、実は表裏一体であり、それに気づき学ぶことは身を持ってしないとわからないが、この表現力の豊かさによって読者は主人公に起きることを客観的、そして主観的に感じることが出来る。
僕は、この本を読み終えて、赦されたと思った。読後感に救いがあった。
もちろん、主人公がサディスト側に回る伏線の回収が無かったり、道の真ん中で突然、主人公が一人でオーガズムに達するとか、最後が救いがたいほどメルヘンチックだったりするのだけれど、結果は他者のためであり、過程は自分のためにあるなど、いささか極端で、だからこそ分かりやすい。
誰にも勧める本ではないけれど、僕の中ではすごくよかったとしかいえない一冊。 -
これまで、ミランクンデラの「存在の耐えられない軽さ」が史上最高の恋愛小説だと思っていた。だから、これも最高の恋愛小説って聞いて、まずは読んでみようと思った。
読んで思ったのは、『恋愛』っていう単語に対する自分自身の認識があまりにも甘かったということ。読みながら、自問自答をやめさせてくれない本でした。
印象的だったのは、「痛みを共有することで生まれる拘束感と快楽からは、抜け出さないといけない」と語られていること。(少なくとも私はそう感じた)
そんな沼のような存在を身の回りに感じながらも、そこからなんとか抜け出そうとする意思こそ、私達に「今、この一瞬」を生きていると感じさせてくれるエッセンスなのではないかなとも思う。
そう考えると、むしろ、がんじがらめになってる人の方が動機としては強いドライブを発揮するのなか、なんて思ったり。
意思はどこから生まれてくるのだろう。
ラスト2ページは個人的には好きくない。 -
マリーアって可愛くて若くて賢いブラジルの女の子がスイスで売春婦になり、稼ぎながら日記書いて、愛とセックスと孤独について考える話。
テーマは「性」「愛」「快楽」「SM」「金」「幸福」「キリスト教」そして「生」ではないかな。
「セックスの時間なんて実際の行為自体に、11分間しかない。 世界はこの11分間を中心に回っている。みんなそのためだけに一日がんばって仕事したりするんだ」
とかってあっさり言ってのける本。
数々本を読んできたけど、これは。
深い。正直、既読洋書で一番かってくらいな。クンデラの「存在の耐えられない軽さ」に似た感じを受けました。
世の中で、直接的に「書いてはいけないこと」だけど「人間の根本」について、を、誰もが実は死ぬほど求めているもの、を、
すごくあからさまに直接的な描写もするのに、ものすごく美しく書いていて、いやらしいのにいやらしくない。
おそれいりました。超絶技巧。非常に哲学的かつ卑猥。
正直21歳にはまだ分からない部分がありました。そして、正直、とっても分かる部分もありました。
31歳になったらもっと分かる部分も出てくるのかしらと思いながら。
「この世で一番大事なものを、所有することなく、抱きとめること。」
「愛こそが本当の自由の体験なのだ、そして、誰も他の人を所有することはできない」
「人生で大切なのはどっちなの?生きること、
それとも、生きたフリをすること?」
性愛、って日本語では熟語があるけど、
あなたはこの熟語は「反対語がつらなって構成する熟語」と考えますか?それとも「同義がつらなって構成する熟語」と考えますか?
私はますますわかりません。
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ブラジルの片田舎に生まれた少女が自分の美貌故にスイスへと導かれ、やがて娼婦として暮らしながら自分と性について見つめなおす物語。タイトルの11分間は性行為の時間から。
女性の性開放だったり、SMだったり(そしてちょっぴり男性の弁護も)と、60年代だったらいざ知らず今の時代に。。。と思って読んでいたら、あとがきでまさに60年代の狂乱の時代、そしてその後の反動の時代を経たことへの問題意識が生み出した作品と知って得心した。今作では作者お得意の宗教性や神秘性は薄く、まあ本当のセックスの果てには神性に至ることができる的なところだろうか。
構成としては結局boy meets girlの枠内に収まってしまっているので、そこにほとんどadd onされるだけの、イギリスレコード会社重役の話だとか、図書館司書の話だとか中途半端な感じもあるけれど。 -
永遠と愛とはセックスとはに語っているけど読了感はとてもよかった。こういう熱量は海外文学ならではな気がする。