危険な関係 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042939016

作品紹介・あらすじ

あの女性を、自分のものにしてみせる――。奔放な愛と性のゲームに明け暮れた、最後のフランス貴族文化の爛熟と退廃を通して、エゴイズムと献身、人間の心の闇と普遍的な真実の愛の形を描く、不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • (あらすじ)
    プレイボールとして浮名が立っているヴァルモン子爵宛にメルトルイユ侯爵夫人からのある提案が書かれた手紙から物語は始まる。ある男が最近修道院を出たばかりの若い娘と婚約した。その男に夫人は恨みを持っていて、その婚約者を誘惑してほしいというものだった。

    ヴァルモンは目下貞淑なツールヴェル法院長夫人を落とす事にやっきななっているので、それどころではないと一旦は断る。しかし法院長夫人との事がなかなか進展しないのとメルトルイユ夫人にそそのかされ、かの少女セシルと恋人ダンスニーの相談に乗るように見せかけて、彼女を騙して自分のものにする。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    全編誰かが誰かに宛てた手紙で構成されている。手紙というのはある特定の人にだけ向けた情報発信、現代で例えるならダイレクトメッセージにあたる。それだけに「ここだけの話」が描かれていて、それが書簡小説の面白さなんだと思う。

    ただ…「恋が全て」みたいな若い頃に読んだら面白かったかもしれないけど、いい年したおばさんが読むと…かったるい

  • なんというメロドラマ…。
    先にヅカ(花のみりゆき版)の「仮面のロマネスク」を観ていたために脳内で登場人物たちをスターさんたちで想像してしまい、ラストにかけての展開でめちゃ辛くなった。特にメルトゥイユ侯爵夫人への仕打ちが容赦ない。
    ヴァルモン子爵とメルトゥイユ公爵夫人ははたぶん今でいうサイコパスの悪人。柴田先生はよくこれをあんなロマンチックな物語に仕上げたな…というかヅカでやろうと思ったな、と感心するなどした。

  • 書簡体小説が読みたくて購入。スタンダールの『赤と黒』に通じる、心理を細かく描写してストーリーが展開していくフランス文学。話が進むのに時間がかかるのと、登場人物があまりに歪んでるので、一時読むのに苦戦したが、綿密に仕掛けがされた小説で、後半は一気に読んだ。しかし昔の貴族は色恋しかすることがなかったのだろうか。何か仕事をする描写が全くなくて不思議。

  • どろどろ。
    フランス人って恐いかも…。
    究極の悪女です。

  • 18世紀の仏文学。軍人!だったラクロの作品。300年前、人間の筆力や言語能力は今以上だったか。金や物的欲望にまみれた話ではないからこそ、かえって、精神的欲望と人間の性に底知れない闇を見る思いがする。

    人間とはなんと優れて、そして愚かしいことか。200年前には、同じフランスで、彗星のようにガロアが現れた。ガロアと群論の出現は、奇跡だろう。(私は数学が大好きなのだ。)

    いくら知性が進んでも、人間の情念は何百年前と変わらないということだ。自らを振り返り、身を弁え、分相応であるべきとはよく言ったものだが、愚かさがわかっていない人間が力を得て、あたかも偉人のように見なされる現代に行き着いたのは不思議でならない。

    結局のところ、内省を含めて感情教育が実を結ばなかったということか?ラクロが現代を見たら、アンタ達は何のために生きてきたのか、生きているのかときっと問うだろうなぁ。答えられないね。

  • 挫折

  • 悪趣味にもほどがあるだろうと思わずにはおれない恋愛ゲーム。フランス貴族ってよっぽど暇だったのかな…。そりゃ、革命も起きますわ。
    手紙の文化は廃れないでほしいと思うけれど、ヴァルモンやダンスニーの恋文は正直気持ち悪いと思ってしまった。文化だから、と言い聞かせてなんとか読み切った。
    当時のスキャンダル好きな野次馬根性を持った上流階級の暇人たちにはこの手の小説が受けたのかな…。今の時代にこれを読んでおもしろいと思う人はほとんどいないと思う。

    • 淳水堂さん
      マヤさん
      コメント、フォローありがとうございます!
      こちらもお邪魔しに参りまいりました。
      純文学館ですねーすごい蔵冊だーー。

      「...
      マヤさん
      コメント、フォローありがとうございます!
      こちらもお邪魔しに参りまいりました。
      純文学館ですねーすごい蔵冊だーー。

      「危険な関係」は別の版で読みました。
      ドラクロ、サド侯爵など、当時を生きていた人がそのまま描いた小説って、ごく自然にその時代の空気を感じられますよね。
      危険な関係 は手紙での状況表現は見事だなーと、文学的には結構引き込まれたんですが、
      でもサドにしろドラクロにしろ、まさに彼らがやっていたことだろうから「貴族様って大迷惑…(ーー;)」と思ってしまったけれど(^^;)

      これからもよろしくおねがいします!

      2017/09/27
  • オール書簡体。
    マリー・アントワネットも読んでいたそうな??
    18世紀フランス上流階級のラブアフェア暴露もの、
    ってとこでしょーか。
    手練手管の応酬の応酬の応酬・・・

    やったら遠まわしな表現が多くて読み飛ばせないっ〜!

    少なくても21世紀日本の婚活には
    全く役に立ちませんな ^^;;
    有産階級ってお気楽よねえ。

    安吾も読んでます ^^/

    思想なき眼――「危険な関係」に寄せて――
    http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42878_27502.html

  • 昼ドラのようなドロドロした筋書きと、書簡体ならではの心理吐露(無意識的に自己防衛に走る様子)が目まぐるしい小説。
    (2015.8)

  • 後半から一気に面白くなる。

  • やっと読み終わった。
    残るものはそのやりっきった感だけ(笑)
    長かったもんなー。
    手紙のやり取りでお話がすすむのと、はっきりと言わず遠まわしに「言わんとすることを分かれよ!」的な、、、そしてこんな人いたらめんどくさいわ!!なヒロイン。
    私なんかが評価できませんよ。。。

  • 恋愛心理小説の傑作。書簡体で織り成される主人公たちの心理戦。プレイボーイの子爵の巧妙な駆け引きと彼や主人公たちのしたためる手紙の書面には現れない深層心理を読み解く面白さがある。ただ個人的には書簡体という独特な形式はまどろっこしく読みづらいと感じた。

  • 携帯及びメールの普及により一昔前より飛躍的に秘密の恋愛は増えたんだろうなぁ、
    と常々思っております。
    一個人の私生活ならのみならず、携帯メールが鍵になった大相撲八百長問題・・・。

    そこで!18世紀フランスのC.D.ラクロ氏からの時間を超えた警告です!

    「汝、くれぐれも自分の悪事を記した手紙・メールを残すことなかれ」

    いや、キツネとタヌキの化かし合い、ハブとマングース対決、
    丁々発止のやり取も一種の前戯なのでは?という
    悪徳の栄えヴァルモン子爵とメルトイユ侯爵夫人-
    も、「いかに自分が色事、策略、奸計に長けているか」を滔々と
    フランス人らしく持って回った言い回しで言い(書き)表してるんだけど
    なんせ、書簡体なので、

    「この人達・・・こんな・・・手紙を人に見られたらすべておしまいやないか」

    という気持ちが拭えず(笑)
    勿論この形式を生かして登場人物の描写がされていて面白いんだけど
    なんせ肝心のヴァルモンとメルトイユがなぁ
    と思っていたら、やはり、最後は、。

    男と女を書かせたらやっぱり一番のフランス文学、
    ロズモント夫人も「男の快楽は 欲望を満足させることですが、女の快楽はなによりもその欲望を起こさせること、男にとって相手に気に入られることは成功への手段ですが女にとっては成功そのもの。よく女に対する非難のもとになる媚態と言うのも、こうした感じ方の単なる行きすぎに他ならない」
    なんてさらっと仰るし、
    ヴァルモンも「すでに陥落してしまった女にとって、寛大ということ以外に取るべき道があるでしょうか。」なんて、あー、憎ったらしい!

    終盤から俄然面白くなるのだけどヴァルモンが一計を講じての
    「ねえ、侯爵夫人、昨晩のお楽しみはいかがでしたか、
    まったくかわいい男でしょう。なかなか傑作をやるでしょう」
    くっ!憎たらしい萌え!

    ラブゲームの虚しさをひしひしと感じつつ、完全にそこから自由になれもしない、
    虚しさも喜びも悲しみも怒りもあらゆる全ての感情を内包する
    恋愛そのものに思いを馳せながら
    「あー・・・メール、皆、マジ気をつけねーと」
    としみじみするのでした。

  • 貴族のどうしようもない色事も、これだけ真剣に考え抜いてのことなら、
    なんだか納得させられてしまう。

    一番色っぽい部屋着・・・、気になるなあ。

  • これほどスリリングな小説を私は知りません。昔から何度も映画化されているけれど、原作を超えたものはひとつもないと、思います。書簡形式なのですが、退屈を感じません。まったく濁りのない悪意は、ある意味、貞淑の美徳より美しい。

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