冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043480036

作品紹介・あらすじ

穏やかな恋人と一緒に暮らす、静かで満ち足りた日々。これが私の本当の姿なのだろうか。誰もが羨む生活の中で、空いてしまった心の穴が埋まらない。10年前のあの雨の日に、失ってしまった何よりも大事な人、順正。熱く激しく思いをぶつけあった私と彼は、誰よりも理解しあえたはずだった。けれど今はこの想いすらも届かない-。永遠に忘れられない恋を女性の視点から綴る、赤の物語。

感想・レビュー・書評

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  • どれだけ幸せな環境や人に恵まれていても
    埋められない心の隙間はあって、

    先にRossoを読んでしまったので早くBlueを読み、様々な場面の順正の気持ちを答え合わせしたいです

  • 辻仁成のBluとセット。交互に読み進めるといいらしいが、先にこっちを読んでしまった。

  • 忘れられない恋の物語
    江國香織さんが綴る女性の主人公あおいの物語Rossoと、辻仁成さんが綴る男性の主人公順正の物語Blu。
    ミラノ、フィレンツェ、東京が舞台の物語。

    あおいの埋められない心の隙間や本を読む生活。
    江國さんが描くと本当に心がきゅっとなります。
    物語の結末に、やっぱり辻さんの方も読まずにはいられなくなって。
    どちらも読むとわかる。
    相手の気持ちってこんなに見えなくて、勘違いしてしまって、すれ違ってしまうんだという切ない思い。
    やっぱり「赤」を読んでからから「青」を読むのがいいですね。

    イタリアの街の風景や暮らしを想像するのも本当に素敵で楽しい。

  • 丁寧な情景描写と心理描写が詰まっていて、美しかったが、私には全てを直に感じることができなかった。そんな文字とか表現に直接触れて響くようになりたい。青と比べても静謐で独特な雰囲気だった。あおいと順正の日常を表しているだけだが、ありふれた生活の中で彩りを添えられるくらいの語彙の広さ? 描写を意識できたらなと感じた。

    物語的には、恋愛経験薄いもんで、過去に同じようなロマンスとか心に残る人なんていないんで、こんな気持ちに将来なれる人に出会いたいなと。私は順正ような未練タラタラはなりたくないが、あおいの気持ちにものすごく共感した。なんというか、「甘やかされることへのいらだち、許されていることへのいらだち、傷つかれていることへのいただちだ。私はマーヴを恒常的に傷つけている。マーヴにとってあおいは大切な人形」のところとか、無性に腹が立つ気持ちとか、「孤独なとき、親切や友情はその孤独を際立たせる」とかすんごいわかる。初めて女性の気持ちに触れた気がするので嬉しい!

    一見幸せそうに見える主人公のあおいが、いつも心の中に抱えている孤独と悲しみ。不器用なところがうざいのではなくすんなり入るのが江國さんの凄さ。

    「帰る場所。人は一体いつ、どんなふうにして、それをみつけるのだろう。眠れない夜、私は、人恋しさと愛情とを混同してしまわないように、細心の注意を払って物事を考えなければならない。」
    →こんな表現できないよな普通
    ひたすら悲しみに浸りたいときに読むものなのかな。



    人生というのは、その人のいる場所にできるものだ、という単純な事実と、心というのは、その人のいたいと思う場所に常にいるのだ、というもう一つの単純な事実が、こうした小説になりました

  • 赤から読んでその後に青を。
    何年か前に読もうとしてなぜか途中で辞めた気がする。改めて年を経て読んだら、すごく入り込んで好きになった物語。ロケ地まわりたい。映画館で見てみたい。映画館でこの情景見れて音楽聴いたら最高だろうな。

  • イタリアのミラノを舞台に描かれる恋物語。私は「完璧なマーブ」に、惚れ込んでしまったわw

    あおいから見た物語(赤)と順正から見た物語(青)を江國香織と辻仁成が描く。違う作家が描くことで、二人の気持ちがより鮮明にわかる!

    過去のある事件で別れた後「2000年5月にフィレンツェのドーモで会おう」という約束までの10年間、お互いにお互いを忘れられず、別々の人生を歩んできた。大学時代の若く粗野な恋、別れた後本心を隠したイタリアでの生活、そして、再会後の激しい愛…。「冷静と情熱のあいだ」というタイトルのごとく、冷静で静かな10年間があるからこそ、再会後の二人の情熱が燃え盛る!この表現がとても素晴らしかった!

  • 2021.11.24
    赤い方と青い方、交互に読むべき

  • 20240211

  • あおいは、イタリア、ミラノの地で、完璧な恋人マーヴと静かに暮らしている。何も特別な事は起こらない繰り返しの凪いだ日々の中で、しかしあおいはマーヴにも、親友のダニエラにも、職場の人にもどこか一線を引き、自分をさらけ出すことなく過ごしている。あおいはミラノで育ったが、大学時代は日本で過ごした。その大学時代に、忘れられない、阿形順正との恋に出会ったのだ。二度と会うことの無い相手、崩れることのない穏やかな生活。しかし、大学時代の友人、崇との再会をきっかけに、少しずつ少しずつ変化が生じる。

    イタリアの風景描写がとても美しかった。
    「人生というのは、その人のいる場所にできるものだ」
    マーヴはかわいそうだったけど、マーヴが好きになったあおいは初めから順正を忘れられないあおいだったんだと思うと切ない。
    あおいはこの先どう生きていくのかな。

  • 間延び感。最初の7割くらいが同じ内容の繰り返し。お風呂に入る、今のアメリカ人彼氏は優しいが…ってのに飽きちゃった。特にRossoのほう。
    当初は月刊誌に掲載されていて、RossoとBluが交互連載する形で2年続いたみたい。これを一冊の本にしたので単調に感じられたのかな。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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