泣く大人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043480043

作品紹介・あらすじ

夫、愛犬、男友達、旅、本にまつわる思い……刻一刻と姿を変える、さざなみのような日々の生活の積み重ねを、簡潔な洗練を重ねた文章で綴る。大人がほっとできるような、上質のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    手に入らないものを求めてはいけないのか。そんなことはない。もがくことが必要。キラキラしたものが手に入るかも。自分の殻を破って楽しむ。

  • 同じような考え方で嬉しかったり、もやもやしてたところの考察が発見になったり、全く新しい考え方だったり

    これは読み直したい。あれも、あれも、と思っていたらきっと1冊また読んでしまう。と思ったので、買うことをきめた。

    「愉しい」って表現特に好きだった。

  • 江國さんとお友達になって気負わずにおしゃべりできたらどれだけ楽しいことだろう。

    _φ(・_・
    25 雨が世界を冷やす夜
    そのあいだも風はうなり、暴れ、吠え、いろいろな音をたてる。ばたんばたん、とか、びづーう、とか。

    39裏返る現実
    現実とその外側、や、日常とその外側、は靴下とおんなじで、簡単にくるっと裏返る。そうすると、それまで現実だと思っていたものが突然非現実になり、非現実だと思っていたものがあっけらかんと現実になり、日常だも思っていたものがいきなり非日常になり、非日常だとばかり思っていたものが堂々と日常になるわけで、それはもう驚きとか困惑とかいっている場合ではすでになく、おっと、と小さくつぶやいて、あとはもうまるで何もなかったかのように、それを受け入れるより他ない。ちょうど、夢からさめたときのように。私は、現実や日常がくるっと裏返る、あの瞬間を愛している。

    57 お風呂の旅
    私は毎日二時間お風呂に入る。
    お風呂に窓のある家。お風呂場の壁が、合成樹脂じゃなくてタイルの家。

    65
    失くしたものは忘れよう、と妙に大げさに決心して、大きな歩幅で歩き始める。

    92
    得難い、男友達

    184
    自分が運転していると言う事実に突然恐怖して、揺れる。
    ↑江國さんが運転しないっていうはなし。
    可愛すぎるけど気持ち分かる…

    190
    私は、いつもそばにいてくれる男のひとが好き。ほんとうのことを言えば、会社にも行ってほしくない。トイレにも、一人では行ってほしくない。床屋だけは別。床屋に行って、髪が短く清々しくなり、いい匂いをさせて帰ってくる男の人と再会するために、床屋の一時間だけは離れて待っていてあげる。
    でも、いまのところ、そんなにそばにいてくれる男のひとには会ったことがない。(中略)
    呆れ顔をしている女友達についてさえ、ほんとうは、一人ずつの胸の内では、いつもいつもそばにいてくれる男の人が欲しいと思っているはずだ、と疑っている。
    社会生活をしていく上で、望んでも無理なことがわかっているから、望んでいないふりをしているのだろう、と、思う。
    でも。
    いつもいつも一緒にいてくれることが無理でも、いつもいつも一緒だと思わせることは可能なのに。

    196
    私は勇敢でいたいと思っているわけではない。勇敢でいなくてはならない、と思っている。だって日々を生きるのに、勇気はどうしたっている。

  •  恋愛小説など全くに近いくらい読まないが、ふとしたきっかけで「冷静と情熱のあいだ Rosso」を読んだ。
    その せつなさ が強烈過ぎて江國香織さんの小生はしばらく読めないと思いつつも、江國さんとはどんな方なのだろうという興味を持つようになり、このエッセイを手に取った。
     おもしろかった。このエッセイの中で紹介されていた小説も読んでみたい。

  • 江國さんの感性と言葉選びがすごく好き。
    わかる!って部分と、確かに、の部分と、なるほど!の部分と、江國さんと対話してる気分になれた。
    幸福とは、を言語化出来るのがとてつもなく魅力的。

  • エッセイ集。

    初っ端から、レーズンバターの塊の話。
    確かにそのまま食べるとすごそうです。
    カロリーもすごそうですw
    の前に、そんなバターがあったのに驚きです。
    普通のバターしかない、と思ってました…。

    題名通り、大人だからこそ、なエッセイ内容でした。

  • 江國さんの言葉選びが魅力的で、小説もエッセイも大好き。木漏れ日が差すような、温かくて心地よい気持ちで読むことができる。
    勇気は消耗品、本を読んだり、友達と会ったり、美味しいものを食べたり。私なりの幸福で供給したい。

  • 読み進めるたびに驚きの連続
    こんなにも言葉を正しく使う人がいることに驚いてしまう
    この人には世界の本当が見えている、感じられているのだと思う。
    旅についての考察が興味深かった、いや、全部のお話がすごかった。こんなに適切に世界を捉えられているなんて。
    あと、江國香織さんは、やっぱり優しくないし(優しい人は作家になれない)捻くれてる(捻くれてないと書けない)けど、芯の通った素敵な女性だと感じた。

  • 江國香織さんは生活に「男」が必要と認めているところが清々しくて良い。あどけない少女らしさも併せ持つ所も素敵。
    YOUと重なる。
    江國ワールド浸れてよかった

    108/140

  • めっちゃ好き。
    特に「男友達」の章。これ20代だと「え」と思っただろうけど30代になって読んでよかった。江國香織の価値観の広さを味わえて楽しかったしよかった。普通に笑う。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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