- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043520336
作品紹介・あらすじ
早春の海岸にてバス停に降り立った老夫婦。画家である夫・籐三は妻のことをハルちゃんと少女のように呼ぶ。ふたりは行き先を決めず気ままな旅に出たのだった。旧友と呑み交わし、その孫と語らう心躍る時間。だがふたりの胸には秘められたある想いがあった…。男と女はいかに寄り添い、そしていかに死を迎えるのか?さまざまないのちの繋がりを見つめ直す旅。こんな余生をおくりたいと思わせる、穏やかに満ちてくる日々をやすらかに描いた灰谷文学の結晶。現代人を癒す至福の贈り物。
感想・レビュー・書評
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老夫婦の話
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灰谷健次郎のことばは、これ以上ないというほどに噛み砕かれていながら、傷ひとつない珠のようにつるんとしていて、体の隙間という隙間に染み込んでくるようだ。そしてこの作品は、あまりに凄まじい。凄まじく鋭くあってなお、ぬくい。こんな小説があったものか、と、読み終えてまだ、思いにやり場がない。惑う。出会えてよかったと思える一冊が、また増えた。
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本を読んで味わう優しさというものを学んだ。
僕の将来を決めた一冊。 批評しきれない優しさを持っています。
是非読んで、批評してください。 -
最初は現代に対する批判ばかりで投げ出そうかと思いましたが、最期まで読むと何だか切ない気分に。ふしぎです。
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素敵な夫婦でした?
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私が読んだのは単行本版だ!!!
話のオチの部分に行くまで、旅の理由に全然気づいていなかった当時の自分。そう思うと、浅いなあ。
渋谷のシーンがとても好きです。
でも、読み返せる気力がない。 -
ああいうふうに奥まで突ける発言ができるくらい達者になってみたいものです。
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老いと死の優しい物語。
妻を「ハルちゃん」なんて呼ぶ老齢の画家。
80年来の友人とその孫。
そうした人々が登場して、
物語をつくる。
終わりがあるから輝くものがあるのだと私は思う。
終わりが人を追い詰めることもあれば、
終わりが大きなエネルギーをくれることもある。
最後数ページがとてもよかった。
そしてそして、
巻末の対談(灰谷健次郎×樹木希林)!
これもとてもよかった!!
『兎の目』や『太陽の子』とはなんだか違うな、
と思っていた違和感がスッキリした!
この小説で使われている言葉は、標準語なんです。
いつもは関西訛りのある言葉なのに。
やっぱり言葉のちがいでずいぶん印象が変わるもの。
私は東京生まれの東京育ちだから、
デフォルトではあまり他人とぐっと近寄らないような
東京の言葉、いわゆる標準語には違和感ない。
でも、確かにそれぞれの味があるんだろうね。
灰谷さんが
「関西の言葉のいいところは、情感をスーッと伝えるところ」
と書いていて、とても納得した。 -
こんなふうに子どもを育てられる
大人に
なりたいと
ならなきゃと思ってる。 -
〜「むずかしいものですね」「むずかしい。人は試行錯誤してこなければわからぬという厄介さを抱えておる。だから人生派といういい方も出てくる」〜
ほんとうに…ほんとうに…