- 角川書店 (2003年12月25日発売)
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感想 : 15件
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784043520336
作品紹介・あらすじ
海岸沿いのバス停に降り立ったのは、老夫婦だった。日本画の大家・藤三と長年連れそう妻ハルは死に行く旅に出た。灰谷健次郎が描ききった明るくさわやかな「老いの文学」の最先端。
感想・レビュー・書評
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老夫婦の話
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灰谷健次郎のことばは、これ以上ないというほどに噛み砕かれていながら、傷ひとつない珠のようにつるんとしていて、体の隙間という隙間に染み込んでくるようだ。そしてこの作品は、あまりに凄まじい。凄まじく鋭くあってなお、ぬくい。こんな小説があったものか、と、読み終えてまだ、思いにやり場がない。惑う。出会えてよかったと思える一冊が、また増えた。
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本を読んで味わう優しさというものを学んだ。
僕の将来を決めた一冊。 批評しきれない優しさを持っています。
是非読んで、批評してください。 -
最初は現代に対する批判ばかりで投げ出そうかと思いましたが、最期まで読むと何だか切ない気分に。ふしぎです。
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素敵な夫婦でした?
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私が読んだのは単行本版だ!!!
話のオチの部分に行くまで、旅の理由に全然気づいていなかった当時の自分。そう思うと、浅いなあ。
渋谷のシーンがとても好きです。
でも、読み返せる気力がない。 -
ああいうふうに奥まで突ける発言ができるくらい達者になってみたいものです。
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老いと死の優しい物語。
妻を「ハルちゃん」なんて呼ぶ老齢の画家。
80年来の友人とその孫。
そうした人々が登場して、
物語をつくる。
終わりがあるから輝くものがあるのだと私は思う。
終わりが人を追い詰めることもあれば、
終わりが大きなエネルギーをくれることもある。
最後数ページがとてもよかった。
そしてそして、
巻末の対談(灰谷健次郎×樹木希林)!
これもとてもよかった!!
『兎の目』や『太陽の子』とはなんだか違うな、
と思っていた違和感がスッキリした!
この小説で使われている言葉は、標準語なんです。
いつもは関西訛りのある言葉なのに。
やっぱり言葉のちがいでずいぶん印象が変わるもの。
私は東京生まれの東京育ちだから、
デフォルトではあまり他人とぐっと近寄らないような
東京の言葉、いわゆる標準語には違和感ない。
でも、確かにそれぞれの味があるんだろうね。
灰谷さんが
「関西の言葉のいいところは、情感をスーッと伝えるところ」
と書いていて、とても納得した。 -
こんなふうに子どもを育てられる
大人に
なりたいと
ならなきゃと思ってる。 -
〜「むずかしいものですね」「むずかしい。人は試行錯誤してこなければわからぬという厄介さを抱えておる。だから人生派といういい方も出てくる」〜
ほんとうに…ほんとうに… -
なんか…おじさんの説教を聞いているみたいだ。
現代への批判がてんこもりである。 -
根本にあるのは、「友情」なんだって。
それがどれほど尊いのか、って。
読み終えた時には、何かを得てる。 -
切ない。。。でも愛おしい。。。
老夫婦のお話です。 -
夫が妹のようにかわいがっていた従妹が亡くなり、静かに静かに声を殺して泣いているのを見たとき、この人はわたしが死んだときにも、こんなふうに泣くだろうかと、とてもかわいそうに思えた。夫はわたしがカゼなんかひいたりして寝るととてもキゲンが悪い。きっと、心配で不安になるんだろうなと思う。だからわたしは、自分の体のことをいまだに夫に話せないでいる。わたしが死んだら、夫は、こんなふうに泣くだろうか……。「風の耳たぶ」の老夫婦のような静かな気持ちにはなれないんだろうな、最期まで。
著者プロフィール
灰谷健次郎の作品
