- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043735013
作品紹介・あらすじ
ジュンは除霊のアシスタントを務める少年だ。様々な霊魂を自分の体内に受け入れる際、白い部屋に自分がいるように見える。ある日、少女エリカと白い部屋で出会ったジュンはその面影に恋してしまったのだが。
感想・レビュー・書評
-
怖かった度★★(最高が★5)
ホラー克服のための「魁ホラー塾」の第三弾はおびのりさん推薦本『白い部屋で月の歌を』です
第10回ホラー小説大賞の短編賞の受賞作品とのこと
いやーさすがおびー、分かっとるな
こういうことですよ
徐々に馴らして行きたいんですよ!
いきなりド本命を勧めてするんじゃないわよ!まったく
ショック療法が失敗してもっと苦手になるやないか!
ホラーとしてはなんというか、じゅわってくる感じでした
表題作『白い部屋で〜』はなるほどそっちか!って感じですね
ちょっとトリッキーな感じのオチは嫌いじゃないんですが、文章の感じがちょっと雑いというか
作者が狙っているような空気感は出せていなかったんじゃないかなって思いました
うん、まぁもちろん怖かったんだけど眠れなくなるほどじゃなかったかな
レム睡眠は行けるかな
次は芦沢央さんだ!(予定) -
こういった現実的な実生活の様子を舞台に、超現実的なテーマが進行するオカルトっぽい話は苦手なのですが驚きの展開が続き一気読みした表題作。
そして、もう一つの作品、もしかしたらそんな集落があるかも知れない(実社会にはまあ無いだろうけれど、八つ墓村的なあるいはドラマ「トリック」的な可能性としては否定できないような)奇妙な地方都市の人々の社会を描いた「鉄柱」は主人公の女性問題から発展する恐怖かと思いきや、こちらの人生観を問われているかのように思えた。
いずれにしても「わくらば〜」的な作品で親しんでいた私にとって、朱川さんってこういう作品も書くんだぁと驚きました。ー -
'21年6月24日、読了。朱川湊人さん、初。
凄い小説を、読んでしまった…。
「白い部屋で月の歌を」…美しく、切なく、哀しい話。結末に驚き、ラストに胸が潰れる想いでした。
他の方で、「鉄柱の方が好き」という感想を何人か書いておられるのを読んで、「イヤイヤ、これは凄い!」と思いました。で、次の…
「鉄柱」…いやぁ…凄い!完全に、打ちのめされてしまいました!もう、こころの遣り場が無い。怒り、哀しみ、切なさ、そして…恐怖。
恐怖、と書きましたが…僕には、いわゆる「ホラー」というのとは違う感覚です。2編とも、「ファンタジー」に近いかな、と。でも…上手く表せないけど、確かに恐怖に近い(?)感覚もあり…。
なんだか何を書いているのかわからない感想になってしまいましたが…未読の方、是非!少なからず「胸に迫る」何かがある一冊であると思います。-
そうでしたか…残念!
「わくらば〜」も、朱川さんの作品ですか?多分、未読です。読んでみようかな。
また、よろしくお願いします。そうでしたか…残念!
「わくらば〜」も、朱川さんの作品ですか?多分、未読です。読んでみようかな。
また、よろしくお願いします。2021/09/23 -
せっかくのお勧めだったのに残念な感じになっちゃってごめんなさい。
「わくらば追慕抄」と「わくらば日記」、チョットファンタジックな朱川さんの作...せっかくのお勧めだったのに残念な感じになっちゃってごめんなさい。
「わくらば追慕抄」と「わくらば日記」、チョットファンタジックな朱川さんの作品です。
最近は藤沢周平作品ばっかり読んでいて、もっと視野を広げなければと思っているのですが、時代物に固まってしまった読書脳がほぐれていないのかも知れませんね。2021/09/24 -
フォローありがとうございます。
私からもフォローさせていただきました。
よろしくお願いします。フォローありがとうございます。
私からもフォローさせていただきました。
よろしくお願いします。2021/09/24
-
-
朱川さんのファンだが、ホラーは苦手。でも二作とも良作で、表題作もいいが、②は秀逸。小説の醍醐味を存分に味わえる。
①白い部屋で月の歌を
人でない語り部の話を三読目で理解し、ピノキオが浮かぶようになった。憑座の話。
②鉄柱(くろがねのみはしら)
笑顔の人たちの下に燻る不気味な雲と、妻晶子から漂う不幸な香り。ラストもいい。 -
2003年日本ホラー大賞を受賞した時に一度読んでる。
除霊の話しで、ジュンが特別な少年で、ホラーだけど美しいなぁ…と思ったことは覚えていた。
不幸にしてあの世に行けず、この世に影響を与える霊魂を回収することを生業とする先生の元で回収のお手伝いをするジュン。
少女エリカと白い部屋で出会い、心を持ってしまったときからジュンの世界は変わりはじめる。
どうしようもなく救いようのないラストシーンが切ない。
「鉄柱~クロガネノハシラ」
世界一幸せな町に隠された秘密。
都会から越してきた夫婦は、親切すぎる町の人たちに不信感を抱えながらもいつしか溶け込んで行く。その先にある町のオキテにいつしか飲み込まれることも知らず。
好きなことをすればいい…人生最高の瞬間に死ねる幸せ。それは満足死。
今年の21冊目
2020.8.1
-
ホラー文庫ですが、純粋なホラーではないかもですよね。
タイトルの「白い部屋で月の歌を」は、少年を依代とした除霊を、心霊現象と現実的な人の汚さを並行して、どちらが除外されるべきかと問われる感じがしました。
四角な白い部屋での、除霊の描写は、そんな感じかもしれないなと、朱川さん上手いなあと思いました。
「鉄柱」
これは、鉄柱ーミハシラー自体の恐ろしさというより、地方都市の片隅の一集落の閉鎖的な不可思議さに現実感のある恐怖感があると思いました。
根本には朱川さんの優しさもあるなと思います。 -
表題作もよかったが、もう一編の『鉄柱』が素晴らしかった。恐怖はさしてないが、生きるとは?という問いに対する、明確な解がもてないことが不安を煽る。そういった意味ではホラーであったし、一種の哲学作のようにも感じた。また、ひきこまれる文章と展開は一級。
-
『鉄柱(クロガネノミハシラ)』が特に好き(表題作も好きだが)。この世の理では説明できないもの(小説上の道具)を巧みに物語世界に落とし込んでいる。1冊の文庫としてかなりの完成度だと感じた。
-
「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。
それぞれの作品のストーリーは独立している。
ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。
一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。
体の自由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。
そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、そんな作品のように感じられた。
2作目は「満足死」について。
会社での不倫問題で異動を命じられた男性が、妻と共に移り住んだ小さな町が舞台。
そこは、「例え人を傷つけたとしても、自分のやりたいことをまっとうすることをよしとする」、少し変わったところ。
しかし、住人は皆親切で、ふたりは幸せに暮らしていく。あるひとつの問題、「人生で最高に幸せを感じたときには、その最高の状態で自ら死を選ぶことができる」というものを除いては。
「自らの意思で生きる」、「幸せに生きる」とはどういうことかを、「自らの意思で、幸福な最後を迎える」という切り口から考える。
「安楽死」にも通じるその考え方は、医療が進歩し、高齢化が進む先進国が直面しなければならない最も新しい課題のようにも感じられた。
どちらもすごくおもしろかった。 -
幻想的な文章は◎
オチは△ -
第10回ホラー小説大賞の短編賞受賞作の表題作。
白い壁、白い柱、白い床の何もない部屋。鈍い銀色の天井から巨大な鉗子で人を掴む…なんだこれは?と最初設定に不安を覚えたが読み進めるうちにすぐに解決。
朱川さん、グロめホラーを書かれてもどこか品がある。やっぱりいいなと改めて感じた。
表題作の他に「鉄柱」と作品が。こちらは前述の霊的なホラーではなく、ある田舎町のある慣習による不気味な怖さを醸し出していた。その町では誰もが幸せに暮らせる。しかしここが自分の人生最良の日だと判断したらば人生をそこで終わらせることが…
朱川作品、切なさと美しさで壊れてしまいそうなところが素晴らしい。好きな作家さんだわ。 -
朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。
表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。
うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血の匂いがするかと思えば涙に変わり…
読ませ方が実にうまいのだけど、物語の展開が気になってドキドキとページを繰るような感覚とは違う。物語の世界にスワーッと沈み込んでいくような感覚。それこそ気がつけば白い部屋で月の啼き声を聞いていてもおかしくないような。
ラストの1文がちょっと作為的に悲しいが、それも味だと思わせる世界を構築しているのが良いねぇ。
併載のもう一作「鉄柱」は逆。文章の美しさはそれほど感じられず、むしろ物語の展開が気になってドキドキページをめくる系。これまた荒削りな部分があるものの(鉄柱掘るシーンなど)、テーマも深いし起承転結のエッジの効いてるし、表題作よりエンタメ性は圧倒的にこっち。俗ではあるがはしたなさが感じられなくて良い。
どちらも、もろ手をあげて「是非読んでぇ」とは言えないけど、最近作に至る朱川作品の根源がばっちり詰まっている良作、ホラー小説に怖さじゃなくて切なさ求めるなら、読んで損なし。 -
白い部屋で月の歌を
面白くなかった
鉄柱
普通によかった -
2023.10.4 読了
短編と長編でした。
タイトルにもなっている作品は、
ラストは まさかの事実が判明。
どちらも不気味な話で、
ついつい続きが気になり読み進みました!
-
朱川湊人らしいホラー、と言うかダークなミステリーでなかなかおもしろかったのですが、他の朱川湊人作品と比べるとちょっと物足りない感がありました。表題の作品より、人生で一番満足した日を人生の最後の日として自殺で終える事が一番満足いく人生だったと言う風習の町の物語の方が面白かった。
-
短編2作品
ホラーと謳ってはいるけど生々しい表現はないので読みやすい。朱川さんの作品は何作か読んでいるけれど、読み終わった後に何かしら心に残る作品が多い。わくらば日記もしかり
1作目〜
オチがー!まさかのジュンは人形だったのか!!となる。いままで恨み言をいう霊魂しか相手をしていなかったから恵梨香が物凄く綺麗で純粋に見えてしまったのだろう。でも実際はキャバで働いていたりしているから、それはジュンは知らない世界
先生との性行為についても何だかよくわからないままだったんだろうと思う。
2作目〜
こちらもオチというかなんというかだ。
雅彦がどうしょうもなくクズだと感じた
不倫をして左遷されたのにまだやるか!となる
それも自分に都合よく妻を愛しているとかなんとかでもそれって後ろめたさがあるからだよね。
それを晶子さんが気づいてないと思うのも浅はかである。最初の場面でおばあさんよりも智恵の容姿のが気になって仕方ない。という時点で好き者だ!
それで身体を重ねて、、最後はなかったことにしてくれ。と晶子さんは全て分かっていて満足死を選んだんだと思う。
自殺=苦しい、辛いという発想を
明日不幸になるのであれば今日幸せなうちに。という転換はすごい。
誰もが辛いから苦しいから自殺という選択肢を選ぶという固定観念を覆す発想は凄いなぁとは思うけど。 -
アイデアは古臭いが文章が繊細で素直に読ませる。ある種、レトロ感もあり纏まった佳作
個人的には併録の「鉄柱」の方がいいと感じる。
アレゴリーのようでもあり、「自死という生き方」という本を思い出した。 -
2話目がよかった。朱川さんのこういう話が好き。
-
「不幸は人を殺しますが、幸福もまた殺すもの」
幸せの絶頂で人生の幕を下ろす。
明日は今日より不幸になると分かっていたら、死を選んでしまうものだろうか。
それも一つの考えとしていいのかもな。
正しい事が幸せな事ではないしね。
でも、私は欲張りだから、未来はもっと楽しく、素敵な出会いがあるって信じてる。
生きてる限り絶対あるって。
朱川さんのホラーはとても優しい。 -
1話目はファンタジックなホラーであり、主人公の正体が分かる最後はホラー要素はあったが、怖いとは思えなかった。
2話目は世にも奇妙な物語でありそうな現実味のありそうな話で面白い。若干展開も読めてしまうが、「満足死」とは幸せの絶頂の時だけでなく、明日は今日より確実に不幸になると思えた時選択するものであると言う、隠れた意味があった。
「言葉、視線、息遣い、、自分の中からにじみ出るすべてが1つの雲になって、心を悟っていたに違いない。雲の流れでやがてくる悲しみを知った。明日は今日より確実に不幸になるや」 -
中編ふたつが入った一冊。
どちらの話も現実感の乏しい、ファンタジックなホラーです。
こういう系統は好きなので面白く読みましたが、どうも読んだことがあるような無いような… -
霊を剥がすことができる先生のお手伝いをしている誰か。その正体は、読んでいてもはっきりせず、その本人自身もよくわかっていないようだ。徐々にその正体がわかってくる。霊剥がしの依頼こどに読み進めれるので、手軽に面白く読める一冊。
-
2話目の話はとてもおもしろかったが、1話目がそこまで面白いと思えなかったので一応☆4つ。
2話目は世にも奇妙な物語に出てきそうな話で、どうなるか予想もつかない展開だった。
学会先に持っていき、移動時間で読んでいたが、いい暇つぶしにはなった。 -
表題作『白い部屋…』は幻想的だが淫らで醜い世界観が絶妙なバランスで描かれている。心の清らかな主人公に感情移入するがラストのオチの弱さで多少興醒めはする。非現実的な話だが著者の読ませる上手さがあるので結果面白い作品だと思う。もう1編の『鉄柱(クロガネノミハシラ)』は完全に表題作を喰っている。どこか正しくどこか間違っていたり、賛成は出来ないけど理解は出来るという、欲深い人間の幸福論が醜くそして美しく描かれている。不幸は人を殺すが幸福もまた人を殺すもの。この作品は面白い。
-
【104/10000】
「白い部屋で月の歌を」朱川湊人
第10回(2003年) 日本ホラー小説大賞 短編賞受賞作。
表題作(タイトルだけでかなり惹かれる)の他に、
「鉄柱」(クロガネノミハシラ)を収録。
荒俣宏、高橋克彦、林真理子の選評が載っている。
「白い部屋で月の歌を」のオチは高橋克彦も評しているように平板に感じた。
「鉄柱」は、(おそらく誰でも)早いうちに結末が読めてしまう作りだが、その上で読ませる力があった。
町という閉じられた空間の中でだけ通用する常識。
「世にも奇妙な物語」でドラマ化できそう。 -
軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほうが表題作よりも印象に残っています。救われているのにどうしようもない救われなさを感じました。
しかし表題作が劣るわけでもなく、ラストのもの悲しさと衝撃は本当に美しいです。
ただもう表紙がすでに恐いんよな~(単行本の方)
ただもう表紙がすでに恐いんよな~(単行本の方)
よし、読もう
よし、読もう