美丘 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 705
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043854028

感想・レビュー・書評

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  • 悲しい結末になることがわかっている展開なのに、すっきりとした読了感。もし自分が美丘の立場だったらこんなに最後まで輝かしく生きていけないなと思いました。

  • 涙でぐしゃぐしゃになった。明日は確実に目が腫れる。
    美丘の精一杯生きる姿とそれを支える太一に本当に勇気をもらえる。もっと精一杯生きていきたいと思った。
    2人のドラマチックな生活に溢れる一つひとつの振る舞いが、優しくて温かくて、自分とも重ね合わせて、心がじんわりとした。

  • 一つの作品として楽しむには
    めちゃくちゃ良かったけど、

    最近フェミニズムや男女差についての知識を
    得る中で、やはり物語の中で輝きながらも死んでしまうのは、若い女の子が多いなぁ、と。

    単純に感動出来ずに、感情がぐちゃぐちゃになったけど、それも含めて読んでよかったと思える作品でした。

  • 風景描写の書き方がすごいロマンチック

  •  人物描写がとても魅力的な本だった。美丘以外は主人公も含め凡庸で、特に直美なんて空気レベルで数合わせのようで可哀想だが、美丘は確かにいきいきとしており頁を進めるごとに彼女に惹かれていく太一に共感できる。
     あらすじは、美丘に太一が惹かれていき交際を始めるも、彼女は不治の病に侵されているというありきたりなもの。しかし、ありきたりな設定でこそ著者の力量が試されるもの。結末は予想できても涙が溢れた。戸田恵梨香が出てた若年性アルツハイマーのドラマを観ていた時も感じたが、どんどん自分が自分でなくなっていく恐怖は計り知れない。ちゃんと約束を果たした太一の深い愛情に胸を打たれた。

  • 主人公のぼくは大学2年生の橋本太一、ある日峰岸美丘という自由奔放な女性に出逢う。太一は麻理という誰が見ても素敵だと思うであろう女性とつきあってみて、はじめて美丘へ抱く恋心に気づく…。太一は麻理に別れを告げ美丘と結ばれるが、子供のころ交通事故で移植手術を受けたことにより、クロイツフェルト・ヤコブ病を発症する可能性がある…もし発症した場合は脳がスポンジのようになり歩行障害からはじまり記憶障害、日常生活が送れなくなり、最期には食事もとれず息もすることもできなくなるという…。どうあろうとも2人でこれからも過ごしていこうと決意したが、不幸にも美丘が発症してしまう…。

    「…生きていることは奇跡で永遠に続くものではない。…命には終わりがあるって頭ではわかっている。でも心と身体の底から限界を感じているのはわたしだけ。…この世界ってきれいだね。」この美丘の言葉…美丘だからこその感じ方なんでしょうね!

    美丘を支える太一が健気で献身的…美丘も当たり前なんだけれど発症前と発症後では全く違う印象が異なる…ラストが切なすぎて、心が震えました(泣けはしなかったけど)…。

  • ドラマを見ないで小説を読みました。
    途中から感動系だと分かって、泣かないようにしてたけど、最後は泣いてしまった。
    愛する人が亡くなるのは辛い。
    途中の喧嘩でサラリーマンをボコボコにした復讐で殺されるのかな?と思ったら普通に病気か。

    愛情なんて、別にむずかしいことではまったくない。
    相手の最期まで、ただいっしょにいればそれでいい。それだけで、愛の最高の境地に達しているのだ。

    いい言葉だなぁ。
    全ての愛する人がいる人に読んでほしい。

  • 今、思い出、未来の全てを大切にしようと思わせてくれるお話でした。

  • 「ぼくは学んだのだ。誰かを選ぶことは、誰かを傷つけることでもある。その勇気は持ち続けなければいけないし、悪や痛みは引き受けなければならない。考えてみれば、僕は生まれて初めて恋愛をしていた。自分を守りながら、誰かをほんのすこしだけ好きになる。そんな逃げ腰ではなく、恋愛の生むあらゆるプラスとマイナスを、自分の身体で受けとめていくこと。」

    「死神でも、天使でもいいけど、そいつがきたら、みんなおしまい。永遠に生きられると思ってるやつは、夢でも見てるんだ。わたしはひとりきり、真夜中でも目覚めてる。」

    「光り輝くときは、いつもそうと気づかぬうちにすぎてしまう。ただ普通に暮らしていただけなのに、振り返るとまっすぐに見つめられないほどまぶしい日々がある。きっと誰でもそんな宝石のような時間を持っているのだろう。思い出の戸口に立つだけで、自然に口元に笑みが浮かび、目はこの世界ではなく、やわらかに過去の光に吸い寄せられている。」

    「わたしの命の火が燃え尽きる最期のときまで」

    「わたしは病気なんかじゃなく、大好きな人に殺されるほうがずっといいよ。私は自分が生きてきたように死にたい。それは贅沢な願いなのかな。」

  • 石田衣良さんのエッセイが好きなので小説も読んでみた。大学生の話なので、自分のことと重ねながら物語に入っていけた。仲のいい友達グループとか恋人とかいいなーと思いながら、ところどころ貫くような言葉も挟まれていて、楽しむこともできたし、考えさせられることもある本だった。すごい切なく、驚いて、明るく、しんみりする本だった。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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