粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.76
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本棚登録 : 985
感想 : 136
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043913022

感想・レビュー・書評

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  • ★★★★
    今月3冊目
    こりゃら凄いっすよ、前粘膜人間読んだが、これは面白い。作者の頭の構造がわからん。
    説明ができないが
    とにかく面白いワールドだ。

  • なんとも衝撃的な作品だった!
    カバーデザインから単におどろおどろしいだけの話を想像していたが、実際はとてもしっかりした小説。ホラー/ミステリー/コメディどの部分も見事で、大いにおののき、大いに笑わせてもらった。第二章、密林行のくだりは息を飲む面白さ。初めて読む「粘膜シリーズ」の作品だったが次はどれにしようか悩む〜。

  •  遅ればせながら、飴村行の粘膜シリーズにはまった。4作すべて読んだが、ベストはこれ。第弐章「蜥蜴地獄」の秘境冒険SFの部分がたまらない。ページをめくる手が止まらない面白さだ。肉食ミミズだの、巨大なゴキブリだのが攻撃してくる東南アジア・ナムールのジャングルの描写は貴志祐介「新世界より」の奇怪な生物たちがかわいく見えてくるほど。

     日本推理作家協会賞受賞作なので、ミステリの部分も申し分ない。グチャグチャグッチョンの描写があるのに、ラストには切なさが横溢しており、この小説の余韻を深いものにしている。傑作としか言いようがない。

     粘膜シリーズには河童や爬虫人ヘルビノなどが登場してくる。だから粘膜なのかと思ったが、作者インタビュー(http://bookjapan.jp/interview/090114/note090114.html)によれば、「粘膜というと卑猥なイメージがあるでしょう。グロテスクで、さらに卑猥というイメージ。河童が代表例なんですけど、この小説の登場人物はみんなそういう、グロテスクでどこか卑猥という印象があると思います。だから、登場人物をすべて象徴する言葉として粘膜を当ててみたわけなんです」ということなのだそうだ。

     これ、映画化かアニメ化ができないものかと思う。そのまま映像化すると、R-18は避けられないだろうが、監督は三池崇史が適任なのではないかと思う。

  • 軍国主義の日本を舞台にした荒唐無稽な話
    エロくてグロくて正気をゴリゴリ削られる話だけど読み進めてしまう妙な魅力がある
    でもこれホラーか?

  • 粘膜人間もそうなのですが独特の世界観が癖になります。エログロではあるのですが、おとぎ話のような感覚が好きです。

  • 「劇的な告白っていうのはこうやってやんだよ!」
    「マジで言ってる?」

  • 月ノ森医院の御曹司・雪麻呂はその権力を笠に着る傍若無人な初等生である。同級生二人を招き自慢するものは医院の地下施設、死体を実験用に保存する惨憺たる光景だった。そして、もう一つのおぞましい光景。それは雪麻呂の世話人である富蔵という者、彼の頭は蜥蜴であった。

     粘膜シリーズ第二弾。角川ホラー文庫の上梓ながら推理作家協会賞を受賞した異色作である。年代は特に明言されていないが前作同様に戦時中のようだ。そして爬虫人という頭がトカゲの生物が受け入れられている。この奇天烈な設定をさも当たり前に展開するのも前作同様だ。
     とにかく繋がりの見えない事象の連続で第二章を終えて、どのように風呂敷を畳むのか心配になってしまうぐらいだった。そしてラストの一撃、もうミステリー調とはかけ離れた作風過ぎてフェアとかアンフェアとかの領域を超えている。

  • 前作「粘膜人間」よりはグロさが減って読みやすかった。

  • 粘膜シリーズ初体験。

    噂通りグロかったけど、文章のテンポが天才的にうまいのであっという間に読み終えてしまった。
    ・冒頭に出てくるライヘが何を意味するのか
    ・雪麻呂の父親の研究が何か
    を考えながら読んでいると、オチは途中で容易に予想はついたものの、ストーリーも楽しめたし、下品/不謹慎なギャグもキレキレで秀逸だった。

    生き地獄のような南国の描写は、絶対にこんなところ行きたくねえぇぇ・・・と思わせるものの、そういえばグイン・サーガでは物語冒頭のノスフェラスの描写に一番ワクワクしたものだなあと思い、新潮文庫のコピー「戦争は読むもの」「差別は読むもの」「不倫は読むもの」がふと頭をよぎった。これ角川ホラー文庫だけど。

  • エゴイストの同級生に振り回されて死体の処理をさせられそうになる一章から、二章では一転して彼の兄視点の密林強行軍。巨大な人喰いミミズにゴキブリ、30cmもある巨大蛭といったバケモノのような生き物たちとの死闘は思わず眉間にしわが寄るほどグロテスクです。それがふと気づくと頭が蜥蜴で体が人間という爬虫人をキーに絶妙な繋がりを見せ、構成の妙に唸ります。ホラーでありながら思わず笑ってしまう箇所があり、そして読後気づけば巧妙な伏線の張られたミステリであり愛情の物語でもあったのです。これは凄かった。参りました。

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著者プロフィール

飴村行 1969年、福島県生まれ。東京歯科大学中退。2008年『粘膜人間』で第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞。デビュー第2作『粘膜蜥蜴』で第63回日本推理作家協会賞を受賞。特異な作品世界で注目を集める。著書に『粘膜兄弟』『粘膜戦士』『路地裏のヒミコ』『粘膜黙示録』『ジムグリ』など。

「2018年 『粘膜探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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