温室デイズ (角川文庫 せ 6-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043942015

感想・レビュー・書評

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  • 今でもこんなヤンキーはいるのかな?
    田舎の方に行けばいそう。
    でも大半の中学生が流されるだけ。
    自分で先生や親のことを考えないで自分のやりたいことをやる子は少ないと思う。
    パシリの子の高校に行った後の続編が見たい。
    瀬尾まいこさんの本は読みやすく温かいけど、どこか危なっかしいところもある。
    みんな少なからず傷を持ってるのをうまく取り入れて綺麗な文章なのでとても面白かった。

  • 今から16年前の作品。ほんの少し前なのに、中学校はこんな感じだったのかな?と思った。暴力、破壊、不良、不登校…。それに立ち向かおうとする主人公達。でも出口なし。大人は助けてくれない。フワッと終わるのではなく、ギザギザした読後感です。

  • 温室デイズというタイトルの意味は、学生に向けて教師がよく言う、「社会に出たらもっと厳しいんだぞ。それと比べたら中学校生活なんてぬるま湯だ。温室みたいなもんだ」という言葉から抜かれて、温室での日々。
    このタイトルの意味が明かされるとともに、みちるが起こした1つの行動から、この温室から少し抜け出せたような気がした、と喜んでいたのが印象的。

    あらすじだけを見て、いじめが関係するんだなと軽くしか考えていなかったが、読み始めて、こんなに悪質で陰湿ないじめがあるのだと、フィクションとはいえ加害者側に立つクラスメイトたちに心底腹が立ったし、みちるの立場になって考えて本当に悲しくなった。
    「物の次は人だ。」恐ろしい言葉だ。

    怪我だらけになり、制服も破けて、父にいじめられていることがバレてしまうシーンは大号泣した。本を読んでこんなに嗚咽が出るほど泣いたのは久しぶりだった。厳格な父の、みちるにこんなことしたやつ全員ぶっ殺してやる、もうあんな学校なんていくな、その言葉ひとつひとつが、それまで学校で優しさというものと無縁なことをされていたみちるにはすごく温かいものに感じて、私は、弱りきったときに辛かったね、とようやく抱きしめてもらえたような気持ちになったのだと思う。何も救うことはできなくても、父がそれを知ってそんな言葉をかけてくれただけで、まだ頑張れる、そう思うみちるの気持ちはなんだかわかる気がする。

    最後のページの、みちるの心情。
    "中学校生活は、嫌なことばかりだった。ひどい毎日だった。今日で解放されると思うと、本当にほっとする。この日を毎日心の底から待っていた。もう二度とあんな空間に戻りたくない。だけど、その中で生まれたものもきっとある。あの教室で最後まで過ごしたことを、少しだけ誇りに思う。"
    これを読んで、自分の人生に重なる境遇がある気がして、励まされたし、みちるの強さというものがはっきり示されて部分だと思った。

    裏表紙には、2人の少女が起こした、小さな優しい奇跡の物語。とあったので、学校崩壊が鎮まる奇跡のようなものがハッキリと起こるものだと思ったが、そういう訳ではなく、本当に小さな優しさと変化が見られた物語だった。それを奇跡と呼ぶのは確かにあながち間違っていないかもしれない。

  • 全然温室でもなんでもない、どちらかというととんでもない笑
    でも「温室日和」とかじゃなくて「デイズ」なのはちょっとわかる…

    いじめにあっているみちると、過去にいじめられていた優子。2人とも性格も家庭環境も違うけど、友だち思いなところと、自分の芯がちゃんと通っているところは同じかな。
    もがき、悩み、苦しむ登場人物たちに、勇気をもらえる作品。なんとかあがいて、前を向いて踏ん張ろうという気持ちになる。
    後半はハラハラした〜

  • 虐められながらも学校に通うみちる、虐めで学校に通わない優子でも実に気楽に生きている、瞬は学校でも一目置かれる不良、そのどれにも当てはまる事なく学校生活をした私には共感できる所が無かったが、今の子供達が置かれて居る様々な家庭環境が、学校崩壊を生み出し我関せずな先生が拍車をかける。いつから日本はこんな時代になったのか?二人の少女は学校を元に戻せるのか...

  • 中学生の頃と社会人の頃に読んだが、読後感の違いに衝撃を受けた。学生のころは、こんなにも気持ちを汲み取れるのかと感動したが、今読み直すと世界が小さい。

  • 学級崩壊、いじめ、不登校が絡んでくるお話なので少し鬱屈した気分になります。
    それでも複数の登場人物がそれぞれに悩み、その人なりの希望を求めて行動してきます。他作品も拝読し、瀬尾まいこ先生は思春期の心理描写がとても上手いと思っていましたが元中学校教師だったのですね。
    少し重たいですが、中学生には読んでもらいたい作品です。

  • いじめ・学級崩壊・登校拒否。タイトルとは大きくイメージが異なった、苦い話だった。酷いいじめにあっても学校に通い続けるみちる。ふとしたきっかけで不登校になる優子。わかっていてもキレて暴れる瞬。みちるはちょっと強すぎてリアリティがないかと思うが、三者三様、苦悩の中学生生活。著者が学校の先生だっただけにこういう話は上手い。とはいえヘビーすぎないので、こういう問題を考える入口本としてよいのかな。私も二度と中学生には戻りたくない。本中の彼らには、高校や大学から自由、広い視野、成長した心で輝くのだと教えてあげたい。

  • 面白かった!
    次読みたい、次読みたいと私の中の「読欲」を呼び覚ましてくれた気がする。

    山田詠美さんも読んでいるのだけれど、わたしは瀬尾さんの方が断然合う。
    似通っている部分もあると思うので、好き嫌いで読めばいいかと。

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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