荀子 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 79
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044005467

作品紹介・あらすじ

「礼が守れぬ者は法も守れない」
今から二三〇〇年も前に、コンプライアンスにつながる考えかたを説いた荀子。「法」の前に「礼」を理解するべき、という「礼治」の考え方を、現代語訳、書き下し、返り点付き原文、やさしい解説、コラムとともに紹介。これ一冊で中国思想「荀子」の入門となる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで荀子の性悪説というと、孟子の性善説に対して「人の性は悪である」と説いている字的にもネガティブな感じであまりいいイメージはありませんでした。
    .
    この本を読んで、そうではなくて「悪」というより、人は生まれ持って「良くない性質」があり、
    「人の成長に期待し、礼や学問によって人を善なる存在に導こうとした」
    ということがわかって、とても共感できました

  • 荀子の礼治についてわかりやすい解説がされていた。
    特に孟子や韓非子との対比が分かりやすいかった。
    また、実際の統治システムにどう適用されていったかが大変興味深かった。

  • 「性悪説」で知られる「荀子」の一番初めの言葉は、「出藍」のもとになったもので、「学は以て已むべからず。青は之を藍より取りて、藍より青し」なんですね〜。

    つまり、学習を通じた自己成長を重視しているわけですね。しかも、学ぶことで師を超える可能性を明示的に書いているというのは、ある意味、人間の可能性への大きな信頼があるわけですね〜。

    荀子は、賞罰による「法治」ではなく、人間の道徳性に期待する「礼治」をといたらしい。
    そして、その方法としては、なんと「夫れ樂(がく)なる者は、樂(らく)なり」ということで、「音楽」が大事とのこと!!!!!

    「音楽」に限定せず、多分、「楽しいこと」によって、人々の心を調和させるようとしていたんだ!!!!
    「荀子」=「性悪説」というほど、単純なものではないと思ってたけど、こんな話しだったとは。。。。。。衝撃。
    まだまだ、序盤ですが。。。。

    「性悪説」のもとになったのは、「人の性は悪なり、其の善なる者は偽なり」からですが、この「偽」は「いつわり」でなくて、「人+為=人為」ということだそうです。人間の自然の性質は「悪」なのだけど、それを乗り越えるために人は頑張っていろいろ工夫して「善」なるものを作り出してきたということのよう。

    とするならば、ある意味、本性である悪を乗り越えて善を構築するだけの力を人間がもっているという意味なのかな?
    これは、人間の本性を善として、その上にさらなる善を構築しようとする考えよりも、人間の成長の力を信じていると考えることもできるね。

    「礼治」が、荀子の時代では、身分制度を前提にした身分をわきまえた礼儀ということ。荀子のあと、弟子の韓非子が「法治」を提唱し、それが始皇帝に取り入れられたのだが、厳しい統治はながもちせずに、中国社会は実態としては、荀子の「礼治」になっていったらしい。(中国の公式のイデオロギーとはして、儒学で、荀子は儒学の範疇には入れてもらえなかったのだが)

    その後、中国では、「礼治」は、だんだん形式化していき、機能しなくなったし、今更、身分をわきまえる「礼」を現代にもってくるのは難しい。のだけど、日常的な楽しいプラクティス、エチケットによってまとまる社会みたいなのがあると面白いなと思った。

    「性悪説」というネーミングに騙されずに、荀子はじっくり読みたいですね。

  • 東2法経図・6F開架:124.1A/Y96j//K

  • こういう思想系の古典読むとその人のファンになってしまうとこあるけど、この荀子ももれなくファンになってしまった。

    学校の先生みたいだけど、そこが厳しくもまた可愛らしく、信頼できる部分なのかも。音楽好きな先生。

    「君子は能あるも亦た好く、不能なるも亦た好し。」っていう言葉には、本当に勇気づけられる。ありがとう荀子。こんなこと学校の先生に言ってもらったら傾倒する。
    「天は天で、人は人」っていう冷静な分析とか、
    「駑馬も十駕すれば千里走る」とか「道は近くても行かなければ着かない」とか説教くさいけど言って欲しいみたいな言葉がいい。努力によって善に向かうんですよね、先生。

    全部読み終えた後に、「礼を守れない者は法も守れない」って言葉がストンと腑に落ちる。

    なんかマイナーだけど、荀子いいぞ。

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著者プロフィール

大阪大学大学院文学研究科教授

「2016年 『増補改訂版 懐徳堂事典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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