百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)

制作 : 谷 知子 
  • 角川学芸出版
3.89
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本棚登録 : 251
感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044072186

作品紹介・あらすじ

かるた遊びとして広まり、誰でも1つや2つの歌はおぼえている「百人一首」。すべての歌の意味、どんなところが優れているのか、そして歌人たちはどんな人だったのか-。天智天皇、紫式部、清少納言、西行、藤原定家、後鳥羽院ほか、日本文化のスターたちが一人一首で繰り広げる名歌の競演がこの1冊ですべてわかる!歌には現代仮名でも読みを付け、コラムには歌の技法や歌を作る場、現代につながる文化など、楽しい話題も満載。

感想・レビュー・書評

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  • 学生の頃に一度は覚えたはずの百人一首、でも半分以上は、「こんなのあったかな?」というレベルに忘れていた。こうして改めて読んでみると、訳に思い違いをしていたのに気づいたり、背景事情を知って、歌の凄みが増したり。

    頭から読んでいくことで、序詞、掛詞、見立て、本歌取り、縁語など、和歌の技法が少しずつわかってくるのみならず、良くも悪くも人生経験を重ねたことでスッと体感として理解できる歌もあったりする。解説は明瞭で読みやすく、作者の背景の説明もあり、理解が深まる。時代がだんだん下っていくと、詠まれる歌も技巧が凝らされ、何となくうら寂しい雰囲気に変わっていくのもわかる。
    百人一首をこれから学ぶ人にも、もう一度和歌の世界を楽しみたいという人にもお勧め。

    歌合や歌会などの設定された創作の場で読まれたもの、男性が女性になりきって歌ったもの、実は作者不明のものも多い。

     音に聞く 高師の浜の あだ波は
     かけじや袖の ぬれもこそすれ

    (噂に聞いている高師の浜にいたずらに立つ波は、かけるつもりはありませんよ、袖が濡れては困るので。浮気なあなたを相手にする気はありません、後で涙を流して袖を濡らすといけませんから)

    72番のこの歌は、『人知れぬ思ひありその浦風に波のよるこそ言はまほしけれ』という贈歌に対する見事な切り返しの歌なのだが、詠まれたのは恋歌を競い合う歌合の場で、作者の祐子内親王家紀伊は、当時70歳の老女だったという。この年で、優雅にひらりとかわしたこの和歌を即興で詠む紀伊かっこよすぎる。でも思い描いていたやり取りの場面とはだいぶ違った(笑)

    ちなみに、以前は特に何も思わなかったのに、個人的にグッときたのはこちら。

     みちのくの しのぶもちずり 誰ゆゑに
     乱れそめにし 我ならなくに

     しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は
     恋やすてふと 人の問ふまで

     かくとだに えはやいぶきの さしも草
     さしも知らじな 燃ゆるおもひを

    …このあたりの秘めたる恋歌には、最近はまっている某作品(←)と重なって、そうそう、恋ってそうなの!うちで燃えているの!秘めてても出ちゃうの!と、場面を妄想しては何故かドキドキ。
    1000年も詠み継がれてきた百人一首の普遍性を感じてうふふとなった(о´∀`о)

    解説で、百人一首のうち97首が一致する百人秀歌という書(こちらも定家の撰と考えられている)が紹介されており、百人秀歌にあって百人一首にはない歌のひとつに、定子の辞世の句があるという。

     夜もすがら ちぎりしことを わすれずは
     恋ひん涙の 色ぞゆかしき

    百人一首から何故抜いてしまったのかな。是非とも入れて欲しかったなぁ…。
    反対に、和泉式部は、同じく病床で詠まれた『あらざらむ』が百人一首に入っているのだけど、私としては、

     黒髪の 乱れも知らず うちふせば
     まづかきやりし 人ぞ恋しき

    の方が、妖艶で情熱のある和泉式部を感じられて好きだな。もちろん、定家大先生の撰にケチをつけるわけじゃないけども(笑)
    また折にふれて、読み返したい一冊となった。

  • 万葉集、古今和歌集、新古今和歌集と、順に楽しんできたので、とても親しい気持ちで読みすすめられました。

    和歌というものがいかに決められた枠組みの中で詠われたものか、ということが大変よくわかります。感情を素直に言葉にするのだけではなくて、高度にルールが規定されたものでした。

    百人一首は、膨大な和歌の中から、わずか100首を選りすぐった珠玉のベスト盤です。決められた数の音で、「縁語」「掛詞」「本意」「歌枕」「本歌取り」などの技巧をたくみに活用した名作集です。
    こんな芸術性の高い歌を、即興バトルで披露し合ったというのですから、鎌倉以前の人たちの知識量と創造性には脱帽です。

    この本は、現代語訳と解説に加え、和歌の世界をより深く理解するためのコラムなども織り交ぜながら、現代の私たちが共感できるように軽妙な語り口で、100首すべてを紹介してくれています。どういう境遇の人がどんな場面で詠んだものなのか、ということがわかると、歌に込められた思いがより深く味わえます。

    高校古文ような眠くなりそうな授業ではありません。気軽な気持ちで、私たちの財産であるクラシック文学に触れることができます。

  • 紫式部「めぐり逢ひて~」について、高校で習ったころにはピンとこなかった歌も、社会人になり環境が変わると少しわかるようになった気がする。

  • 最果タヒ「百人一首という感情」つながりで。/我々にとって至極当たり前に思える季節の推移も、当時の人にとっては、天皇の徳政を表すおめでたい風景だったのだ。という指摘は興味深く。百人一首に限らず、取り上げられていた中から気になった歌を。特に、玉ぞ散りける、の歌が印象に残る。/天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも 阿倍仲麻呂/つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを 在原業平(古今和歌集)/わびぬれば今は同じ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ 元良親王/人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香に匂ひける 紀貫之/白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける 文屋朝秀/逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり 藤原敦忠/世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平(古今和歌集)/瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳上皇/ながらへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき 藤原清輔/願はくは花の下にて春死なむその二月の望月のころ 西行(山家集)/

  • 「まにまに!!」
    みなさんはこのように高らかに言った経験はあるでしょうか。
    「まにまに」というのは二十四番の和歌の一部です。響きが面白いため印象に残りやすいですがきちんと意味があります。
    この本は現代語訳だけでなく、歌の技法や現代につながる文化など楽しい話題が多くあり、タイトル通りビギナー向けで読みやすいです。

  • 「千年後の百人一首」を読むにあたって、百人一首の知識が皆無だったため副読本のように並行して読みすすめました。
    恋歌が圧倒的に多く、43首をしめるらしい。なんとまあ。
    著者によるあとがき解説の、和歌とはなんぞやという話も素敵でした。和歌とは「ハレ」を題材にしているらしい。恋の迷い、明けまで残った月、霧が立ち上る風景など、日常生活の中にあっても、心がきゅっと引き締まる、その優美な一瞬をとらえているもの。
    和歌では自然が必ず詠まれるが、それは自然であって単なる自然ではない。人間の心情と深く絡み合うことによって意味が生まれる「自然」なのだ。
    和歌にはかならず人と人とをつなぐ力がある。素敵だ。いとあはれ。

    花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に

    以前から気になっていたビギナーズ・クラシックスシリーズですが、とても読みやすくて良かったです。
    他のも読んでみよう。

  •  百人一首の入門書。読み物としても面白い。少々見解の違う解釈もあるがそれも古典の古典たるゆえんである。和歌をめぐる様々な知識もコラムとして載せられている。中高生は必読。大人も読みやすい。
     電子書籍版(Kobo)では多少レイアウトが崩れるところがある。

  • たくさんの恋の歌。でも、その恋愛観も、現在とはかなり異なっています。
    普通に会うことはほぼなく、歌を通じて親交を深め、逢った時には関係を持つ。

    今の私には想像もできない世界。
    でも、これもあの時代の一般的なことだったかというとそうでも無い気がします。
    私は歴史に詳しい訳ではありませんが、百人一首に登場するような人たちは、みんな貴族か、その出身の人たち。
    一般庶民ではない。
    あの時代も、彼らの恋愛観はやはり特別なものであったのかもしれません。
    お互い身内のような立場だからこそ通じる言葉、共通認識の中で、言葉を洗練し、短い文章の中に様々な情景を埋め込んで行った。
    そうやってできたのが和歌であり、その中でも特に洗練されたものが、百人一首なのかもしれませんね。

  • ちはやふるの影響もあり読み始めたが、人生や恋心を歌った和歌たちに心を揺さぶられた。
    特に、多くの歌にどことなく寂しさや哀しさがあり、惹きつけられた。

    2016.5.28

  • 初心者向けに百人一首を一首ずつ説明した本。
    歌の内容だけでなく、作者と作者の関係や、他に読んだ歌、似たテーマの歌なども紹介されててわかりやすい。
    もっと欲を言えば、歌合の時の歌には、対戦した歌も載せて欲しい。

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