木島日記 乞丐相 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044191184

作品紹介・あらすじ

乞丐相-民俗学者の折口信夫博士は自らの鼻梁にある青インキの染みの如き痣をそう呼んだ。それはロールシャッハテストの如く、見る者の闇を映し出した。正史と偽史の隙間に浮かんでは消えるあってはならない物語を、仮面の古書店主・木島平八郎が"仕分け"する。『八つ墓村』のモデルになった津山三十人殺し事件。心中ブームと人間避雷針。迷い子塔と優生政策。昭和初期の世相を記録した『木島日記』から、あってはならない物語が平成の世に浮かび上がる…。超民俗学伝奇小説の傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 前作どこやったんだろ…
    薄暗いオカルトちっくな話でとても好み。
    初めの人食いの話が好き。

  • 木島日記第二弾。今回は津山三十人殺しや心中ブーム、迷子塔など、昭和初期の事件や世相がメイン。あいかわらずの折口先生や土玉など、これまたたまらんお話。

  • 土玉のおかしさが好きです

  • シリーズ2作目である今作も、正史と偽史が上手く絡み合いながら独特の世界観で物語が展開されれいる。
    津山三十人殺し事件、心中ブームと人間避雷針、迷い子塔と優勢政策などなど。人類三代タブーである食人・近親相姦・殺人を破った人間の精神とは、というテーマは気になるものの深掘りはいけない。貧民窟に住まう人間の描写も居住区の様相もリアルで想像でしかない臭いが立ち上る程。私自身は水死体研究の権威である土玉氏と、純粋な狂気を感じる安江大佐がお気に入り。

  • 昭和偽史2巻も面白く読みました。
    謎の書生・根津の話と、持衰のお話が好きでした。
    津山三十人殺しとか、戦艦大和をこのように描くとは……でしたが、「この国の人間が皆人柱とならなければいけないほどの災厄」という戦争に突き進む物語世界は1巻より暗く重苦しいものになっていました。
    3巻も文庫になるのを待っています。単行本は出版されたようなので。

  • 再読。

    不穏な世情に不可思議な出来事それに加えて奇天烈な登場人物達、好きな要素がてんこ盛り。
    シリーズ中で一番好きな作品「砂けぶり」。
    じめっとした雰囲気で強烈な切なさで締められる物語がたまらない。

    このシリーズ、ぜひとも続刊を望む。

  • 前作に続き再読。

    「あってはならない」物語、第二幕。
    いわゆる「津山三十人殺し」が起きたときの日本人の殺人というタブーに対する感覚の鈍化、ナチスに倣った優生学的出生管理など、戦前の日本に澱のように淀んでいた空気感がいい。
    一方で戦前の昭和は消費生活が盛んな“明るい”時代でもあり、その明と暗を奇妙に屈託のない連中が跳梁していてぐねぐねとつかみどころのない雰囲気が、これまたたまらないのである。

    前作に比べ、キャラクター小説っぽい。
    「うひゃひゃひゃ」と甲高く笑う瀬条機関の土玉氏や陰謀を隠しておけない陰謀家の安江大佐らのサブキャラが、狂言回しの折口信夫や木島平八郎を完全に食ってしまっている。
    たぶん作者がこういう強烈なサブキャラをいじるのが好きなんだろうな。

    刊行されてずいぶん経つけど、大塚作品らしくいまだ未完。
    3作目の執筆には取り掛かっているらしいが、果たしていつになるやら…まぁ期待を込めて、星5つ。

  • 民俗学者・折口信夫博士は自らの鼻梁にある青インキの染みの如き痣を乞丐相と呼んだ。
    兄弟を殺して家を奪う相を……。

    魏志倭人伝に記される、朝貢に行く船が海での災害を避けるために伴ったと言う持衰(じさい)。
    『八つ墓村』のモデルになった津山三十人殺し事件。
    昭和初期の世人の注目を集めた過激な新宗教・日蓮会殉教衆青年党、所謂「死なう団」。
    帝都の貧民窟でおこった岩の坂貰い子殺し事件。

    正史と偽史の隙間に浮かんでは消えるあってはならない物語を、仮面の古書店主・木島平八郎が“仕分け”する。

  • 更新忘れ。大塚氏の文は不思議と読みやすい。すでに漫画で読んでた内容もあったが、文で読むとキャラたちのまた違った心境が見れてよい。読者を全く意識しない(意識しまいとしてる?)姿勢が好きだ。

  • それでも、買った。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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