まだ誰も解けていない 科学の未解決問題

  • KADOKAWA/中経出版
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本棚登録 : 188
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046000712

作品紹介・あらすじ

解明してしまった事実より、未解決な謎に挑むほうがワクワクする!新たな発見を導くインスピレーションと難問に挑む思考力が身に付く科学アタマを作るための12章。

感想・レビュー・書評

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  • 科学の世界で未だ解けていない問題12個紹介されている。それぞれが分厚い本になるような内容を数ページにまとめている超簡単な本。ポアンカレ予想、進化論、麻酔、心脳問題あたりが面白かった。が、いずれも詳細は別の本で知識を補いたいところ。

    読みやすくするためか、ところどころユーモア的なものが差し込まれているが、ただでさえ限られたページなのでやめてくれと。

    00 ソファ問題…直角の廊下の曲がり角を曲がれるソファの最大面積はいくらか、というクイズ的なもの。

    01 ポアンカレ予想…これは解決済み。コーヒーカップとドーナツは同相。(どちらも穴がひとつだけ)粘土でできてたとして、ちぎったりせず、穴を残したまま変形できたら、それは同相だそうだ。簡単なようだが、これを証明するのは難解だったらしく、蓋を開けてみれば、数学の問題ではあるが、物理学的な知識が必要だった。両方を理解していた変人、ペレルマンだけが解けたが、その公演を聞いても数学者たちには理解できず、ペレルマンはショックで引きこもりになってしまった。

    02 大量絶滅…過去、世界中の70%以上の生物がいなくなるような大量絶滅は5回あったと言われているが(ビッグ5)、その1回1回も、10万〜100万年かけて絶滅してる。隕石衝突による恐竜絶滅もそのひとつ。

    03 ブラックホール…本著(2014)にはまだブラックホールは撮影されたことがないとあるが、2019年に撮影に成功してる点が感慨深い

    04 進化論…これも証明されていないので、仮説に過ぎない。突然変異とは言え、こんな複雑な進化があり得るか?というものもあるし、なぜ進化の中間と言える生き物やその化石がないのか?という疑問もある。

    05 タイムマシン…キップ・ソーンは有名な物理学者らしい。未来へ行く方法は相対性理論で説明できるが、過去に行く方法はまだ説明できない。

    06 ウナギ…うなぎは垂直な岩肌の崖も登れるから、ウナギ登りと言う。うなぎの産卵と孵化はまだ確認されてない。日本のうなぎは数千キロ離れた場所で産卵をしていることまでは突き止めている。(グアムの近く)

    07 不確定性原理…素粒子には電子、クォーク、ヒッグスなどがある。素粒子が集まると原子核や原子、もっと集まると分子になる。これらの総称が量子。ハイゼンベルクが量子を観察するために光を当てると量子は光子と衝突して影響を受けてしまうため、観測することができない、という原理を唱えた。(後に日本の数学者、小澤に覆された)

    08 性…なぜ性別が存在するのか、進化論でも説明がつかない。多様性があるほうが種としては有利。例えば、ある病気が発生した時、すべての個体が死滅するリスクが分散される。

    09 リーマン予想…素数の現れ方にパターンはあるのか。

    10 麻酔…麻酔には3種類(鎮痛剤、筋弛緩剤、全身麻酔)あるうち、全身麻酔は解明されていない。睡眠とは脳波が違い、昏睡に近い。全身麻酔中でも脊髄反射で患者が動いてしまうことがあるので、筋弛緩剤で筋肉の収縮を止める。痛みを感じなくなるメカニズムだけでなく、意識がなくなるメカニズムが全くわかっていない。

    11 心脳問題…脳という物質にいかに心、意識は宿るのか、という問題。唯物論(そこにあるのは脳という物質だけ、という考え方)が科学者の中には多いが、これは必ず自由意志の問題にぶつかる。創発主義は、多数の物質同士が相互に作用した際にカオス理論的に新しい何かが立ち上がるという考え。点や線が集まって文字になり、文章になり、文意になるように。同じことが脳と心でも起こっているのではないか。

    12 超ひも理論…4つの力を統一する理論を物理学者は追い求めている。強い磁力、電磁力、弱い磁力、重力。(電磁力と弱い磁力は統一済み、強い磁力も間もなくと言われている)宇宙の始まりにおいては11次元あり、力は重力しかなかった。重力がさまざまな力に変化した。重力だけが他の力より圧倒的に弱い。それは重力が他の次元に漏れているからではないか?(重力だけがパラレルワールドに伝わる?)

  • 考えてみれば世の中は未解決の問題ばかりだ。本書の問題がクリアになったからと言って、世の中がかわるわけではないが、(タイムマシンができれば大きく変わるだろうが)どちらかというと科学よりの難問を紹介している。結局宇宙の謎がもっとも謎っぽいということか。

  • ざっくり理解するにはちょうどよいテンポとボリューム感です(^^)

  • 長い期間、本書を読んでいた。
    12の未解決問題について書かれているが、最も注目したのは心脳問題である。
    茂木健一郎の研究テーマであるクオリアは心脳問題の一種であり、養老孟司は「心は脳の構造が可能にする機能であり、構造と機能は同じものについての異なる見方にすぎない」と言っている。
    そんなことから、このテーマに注目したのだろう。
    心脳問題は最も古いテーマの一つと言える。
    古くはデカルトがこの問題について考えている。
    心と体という二元論の考え方であるが、二元論で捉えにくいところに心脳問題の難しさがある。
    著者はその解決の糸口が、マイケル・ポランニーの「暗黙知の理論」にあるのではないかと主張する。
    つまり、二つ上の概念から見下ろしたときに、部分と全体の構造が分かるとする層の理論である。
    脳の働きから心が生まれるが、心の一つ上の概念が分かれば、脳と心を正しく位置付けることができる。
    このとき心脳問題は解決するのではないかと主張する。
    科学の未解決問題。これらに挑戦する過程で科学は発展してきた。

  • 1

  • 平成30年3月の特集「数学っておもしろい!」

  • 数学とか物理の未解決問題に興味があったため図書館で借りた。ソファ問題から始まって、かつての未解決問題であるポアンカレ予想や、リーマン予想、超ひも理論といった数学や物理の未解決問題だけではなく、進化論とかウナギの生態までいろんな未解決問題が紹介されていた。なかでも心脳問題については今まで考えたこともなかった話であるが確かに言われてみれば不思議な話である。我々の意識というのは物理とか化学でいうところの何によってできているのだろうかと。未解決の問題なのでそれを解決しようと思わないがいろんな仮説を調べたい。

  • 物理や数学に関して、やはり理解できないところが多い。
    が、文章が読みやすく、例えがわかりやすくて、この本は最後まで読むことができた。
    できれば買って、手元に置いておきたいな。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:404||T
    資料ID:95140513

  • 所謂、未解決問題(リーマン予想のような)だけでなく、物理学や生物学や医学からの「不思議」を平易に書き下ろしてくれている。既知の事柄もあったけど、いろいろとワクワク感を醸し出す一冊だった。

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著者プロフィール

たけうち・かおる サイエンス作家。1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科、同大学理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了(高エネルギー物理学専攻、理学博士)。フリースクール「YES International School」校長も務める。著書に『99・9%は仮説』(光文社新書)、訳書に『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、ダイヤモンド社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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