考える力が身につく ディープな倫理

著者 :
  • KADOKAWA/中経出版
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046005038

感想・レビュー・書評

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  • 倫理の問題をちょっと詳しく解説したもの。面白いけど、考える力がつくのかねえ、これで。
    考える力をつけようと思うと、もっと「論争」を詳しく記述しないとダメなように思う。

  •  センター倫理や一橋、筑波の二次試験の倫理の問題を取り上げ、そこから思想・思想史について解説したもの。
     二次試験の倫理の問題というのを見たことがなかったので、とても面白いと思った。というかこんな論述問題どうやって対策するんだろうと思った。大学入試問題をきっかけにして、そこで述べられていることを一般の人にも分かるように敷衍していくというコンセプトは面白いし、とても良いと思う。けどその試みは、見せかけで終わっている感があって、結果として一般書としても、受験生が読む参考書としても、中途半端な形で終わっている感がある。
     そもそも『考える力が身につくディープな倫理』というのは、倫理自体が生き方や価値観について考える科目であるので、タイトル自体に内容がないということに気付く。最後に「大きな壁にぶつかったときにも、この万能ノウハウを適用すれば、気持ちが癒されることはもちろん(中略)奇妙奇天烈な発想を手に入れることができるかもしれません」(p.233)とあるが、倫理学とはそういうノウハウを手に入れるための学問ではなくて、考え続けていくことにその本質があると思うので、ディープどころかチープなものに、著者によって貶しめられている感じがする。それぞれの設問のまとめ的な形で、「何が善なのかを考えさせられる問題でした」みたいなコメントがついているが、その視点は初めから作問者の設定した視点であることは自明であり、わざわざそんなコメントを載せる必要もなく、チープさが目立っている。「センター倫理には、人生について深く思い悩むと点数がとれないという、『倫理』という名前と矛盾するような場合がみられます。倫理的に考えすぎると『倫理』という科目はクリアできないという、ユニークな矛盾をはらんでいるのです」(p.53)と書かれているが、倫理的であることと倫理学を修めることは、言うまでもなく別のことであって、そんなことでわざわざ「ユニークな矛盾」と言ってしまうあたり、学問とは何なのか分かっていないんじゃないかと思ってしまう。
     解説も中途半端で、例えば、「『だが、自己の行為を恥ずかしく感じている人間は道義を遵守している』というのは、『自分のしたことを恥ずかしいと感じるということは、己を知っているからこそ生じる』と解釈できます」(p.52)というのが、なんで?って感じだ。あるいはレヴィ・ストロースについて述べたp.151で、いきなり「サルトルへの批判」とかが出てくるのも、今までサルトルとか一言も言っていなかったのに、それ何?って感じだ。
     視点は面白いし、例えばヨガは解脱するためのもの、とか知らなかったこともたくさんあったが、結局読者も視点も定まらない本、という感じになってしまっている。(14/12/29)

  • センター試験と国立難関大の問題から思考を学ぶということで、カチカチの脳ミソでチャレンジしてみたが、よくもまあこんな問題を真剣に考えていた哲学者や宗教者がいたこと、このような問題を解こうとした時期があったことを思い出すと感慨深い。
    入試の点を取るためでなく、こういう思考に接する機会を与えてくれたこの本は、とんと遠ざかっていた深淵な世界があることを再確認させてくれただけでも意義深いことだ。

  • 大学入試センター試験、一橋大、筑波大の倫理の入試問題をネタに、正解以外の選択肢の内容も含めて哲学者の思想を比較的分かりやすく解説してくれている。
    系統だった知識習得には向いていないが、古今東西の思想に興味深く触れられた。
    14-196

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著者プロフィール

1960年生まれ.難解な歴史や哲学をわかりやすく伝えるために予備校の講義や著述に励んでいる.

「2004年 『トマスの日本史-1000ダケヨ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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