大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046014498

作品紹介・あらすじ

東大生が1番読んでいる「大学4年間」シリーズ最新刊!
ソクラテス、デカルト、カント、ニーチェ、フーコー……
重要人物の考え方を押さえながら、哲学史をざっと復習できる超お得な1冊。

【目次】
01 哲学とはどのような考え方か?
02 「哲学」のはじまり ……ソクラテス、アリストテレス
03 中世:神学の婢 ……アウグスティヌス、トマス・アクィナス、オッカムのウィリアム
04 自我の芽生え ……デカルト、パスカル
05 理性の世紀:合理論と経験論 ……スピノザ、ライプニッツ、ロック、ヒューム、ルソー
06 近代の前段階 ……カント
07 近代哲学  ……フィヒテ、シェリング、ヘーゲル、ショーペンハウアー、キルケゴール
08 近代の矛盾 ……マルクス、ニーチェ、フロイト、ベルクソン
09 20世紀哲学の三潮流I ……フッサール、ハイデガー、サルトル、メルロ=ポンティ
10 20世紀哲学の三潮流II ……カルナップ、クワイン、ウィトゲンシュタイン、ライル
11 20世紀哲学の三潮流III ……ソシュール、レヴィ=ストロース、ラカン、ロラン・バルト
12 人間を作る構造 ……フーコー、デリダ、ドゥルーズ、レヴィナス
13 ポスト・モダン ……サイード
14 東洋の知恵I ……仏陀
15 東洋の知恵II ……孔子、老子、荘子
16 東洋の知恵III ……仏教、江戸儒学、国学
17 哲学の基本問題I ……存在 根拠 心理 自由 身体の哲学
18 哲学の基本問題II ……善と美、「なぜ人を殺してはいけないのか」
19 日常を哲学する ……国民国家 歴史の哲学、自分、生きる意味
20 西洋哲学史概観・再び ……24時間365日哲学、いま・ここ・わたしの哲学

感想・レビュー・書評

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  • どうしても重い内容をぎゅうぎゅうに詰め込んでいるので不自然な所、疑問に思う所は出てくる。仏教、神道についてある程度知識のある私としては
    その部分で少し?と思う所はあった。しかしこれから哲学を学んでいくための取っ掛かりとしてはイラスト、挿絵での説明もあり、読みやすいと感じる。

  •  本当に触りだけをざっと浚ったような感じ。この本だけで全てをマスターすることは到底無理ですが、幾つかの入門書に目を通した上でならば、一応(無意味ではないという意味で)勉強にはなると思います。
     取り敢えず用語だけでも覚えて帰るくらいの気楽さで読めばいいんじゃないですかね?

  • 哲学を簡単にわかりやすく学べるものでした。
    参考文献なども巻末に多く乗っているので興味がある哲学者や分野についてはより深堀しやすくなっています。
    教養として有名な哲学者や概念をさっくりわかりたいという人にはおすすめです。

  • 自分にとっては難しかったです。
    まとめてあるのですが、まとまり過ぎてそもそもの説明が仕切れてない感じがします。

    読み手が上級者で、哲学史の概要がまとめられた本として使用するか、もしくは、初心者が深掘りしたい哲学者を探す本としてなら良いかもです。

  • 哲学初心者にも分かりやすい平易な言葉で、日常生活での例をひきながら、図も用いて解説する、という趣旨は良いのだが、例から結論へ結びつけ辛い、肝心の図が分かり辛い気がした。

    哲学について全くの初心者ではなく、ある程度概要を掴んだ人が読むには理解が早いのかもしれない。

  • タイトルのとおり哲学を幅広くさーっと学べるという趣旨の一冊。とはいえ1テーマに約2ページは簡略化しすぎだった。読んでも全然掴めなかった。

    逆に、「哲学を理解するには時間をかけてウーンと悩みながら本を読み進めていくことがやっぱり必要」ということを理解させてくれる意味では良書かもしれない。まあ、当然著者の意図はそうではないのだけども。

  • これから正義の話をしよう、を読んで哲学の話に興味を持って読んで見たけど、これは難しい。まず、簡単に書いてくれているはずの図表が全くわからないし、本文もわからない。哲学はざっと学べるものではないこと、紀元前から始まる偉人たちの知識の積み上げであることは理解できた。次は大枠を学ぶよりも、なぜ始まったばかりのものを伝統とする錯覚があるのか、死刑制度について色々な考え方があるかなど、わかりやすい題材から入って考え方を教えてくれる本を読んで見たい。

  • ソクラテスから現代までの哲学の流れをざっと把握するための、本当に初心者がまず読むには良い内容であった。
    ただし、本当にさわりだけなので、ここから興味のある哲学者の本を読む必要がある。
    哲学とは、当たり前だと思っていることに疑問を持ち、常に考え続ける行為であり、終わりのない学問である。
    また科学と哲学は表裏一体であり、科学の進歩とともに哲学も過去の哲学者の考えを否定し、新たな哲学が生まれている。
    ・自分が無知であることに気づけば「無知の知」、本当の答えを知りたくなります。それが、知への渇望、あるいは「知への愛」すなわち「哲学」です。知の追求は、身体を鍛えることに似た、魂の鍛錬なのです「魂への配慮」(ソクラテス)。
    ・懐疑前には、親兄弟や天体などすべてが存在するなかにわたしが生まれ、生きていました。ところが懐疑をした後は、わたし、すなわちコギト(自分が考えていること)がまず存在し、コギトによる検証の後、はじめて親兄弟や天体は存在するのです(デカルト)。
    ・「ひとは本当に自由なのか」「神は存在するのか」「宇宙に始まりはあるのか」など、だれでも一度は気にしたことがあるでしよう。形ある物体や自然を超えた、いわゆる「形而上学」的問いです。形而上学的問いは、だれにとっても不可避ですが、答えるのは不可能な問い、つまり病だとカントは言います。
    ・弁証法は対立から新たな可能性を生み出す、哲学的にきわめて強力なツールです。過去の哲学者を見ると、プラトンの理想とアリストテレスの現実、あるいはデカルトにおける心身二元論など、哲学に対立はつきものでした。ほかの,哲学者は対立しているどちらかだけに肩入れするか、対立を放置するしかありません。ところが、弁証法は、あらゆる対立を呑み込みながら、まったく新たな統一的全体を生み出します(ヘーゲル)。
    ・善悪などの道徳は弱者のルサンチマン(妬み)の産物にすぎず(弱者は強者をねたむが、力では勝てないため強者を「悪」弱者を「善」とすることで優位に立とうとして道徳が作り上げられる)、したがって、無価値であるという考えが「ニヒリズム(虚無主義)」です(ニーチェ)。
    ・イデア(誰もが等しく目指す理想)や神の考えなどの「本質」が個物の「存在」より先にあります。サルトルはこの前提を転覆し、「実存は本質に先立つ」と述べました。だれもがまず実存として生きており、そのあり方は自分が決めるという考えが「実存主義」です。
    ・18世紀末、欧米人は「東洋人」について「好色で怠惰で肉体的に劣った連中。自分の文化や地理を学問的に研究し、独立国家を運営する知的能力もない」というイメージを作ります。欧米人学者はインドや中東などの言語や地理などを調査して「東洋学」を作り、欧米人政治家たちはそれをもとに、政治能力がない「東洋人」を「白人」が植民地支配していい、むしろそれは恩恵だ、と考えました。こうした、イメージ(「表象」)や学問が、大学や行政制度、植民地支配とセットになったものが「オリエンタリズム」です。しかも、オリエンタリズムは、「彼ら(仮構の)東洋人のように怠惰・好色・非知性的でないもの」として、自分たち「欧米人」のアイデンティティを構築するデリダ的二項対立でもありました。日本人の多くも、西洋の優位というオリエンタリズムを盲信している。
    ・18世紀まではヨーロッパの対アジア貿易は恒常的赤字状態で、技術的にも学問的にもアジアの方が勝っていた。
    ・儒教の始祖である孔子にとっては、道徳の精神的内実としての「仁」と、行動規範としての「礼」が思索の二本柱となります。仁は、私欲を克服して、人々を愛することですが、こうした形式的規定よりもむしろ、個々人がにを身につける過程が重視されました。私利私欲・自負・固晒を捨て、親子・兄弟・友人・師弟・君臣など、自然な情愛を慈しむこと、立場に応じた責任と義務を履行する「繭」、自分が望まないことを相手に行わない「思いやり」(「恕」)、自己欺隔を避ける真心(「忠」)が、仁の実践であり、仁にいたる道です。
    ・仏教の巨大な理論に衝撃を受けた朱烹は、儒教の体系化を企てて、「朱子学」を確立しました。まず、宇宙の法則と人間の倫理規範とを貫通するひとつの原理があるとされ、「理」とよばれます。倫理と自然が直結していることから、本来すべては善であるとする楽観主義が帰結します。理は万物、また、万人に平等に内在し、それぞれの「性」を決定します。一方、諸物、各人の差違は、これも理から生まれる「気」によりて決定されます。気は、物においては形を決定し、人間においては聖賢暗愚の差違を生むのです。こうした理気二元論が朱子学の基本となります。
    ・カントは、哲学の問いとして「人はなにを知りうるのか」「人はなにをするべきか」「人はなにを望んでいいのか」の三つを挙げ、そのすべては「人間とはなにか」という問いに集約されると述べている。
    ・どんな学問にとっても真理は重要です。ただし、物理学が自然、歴史学が過去について、「なにが真理か」をさぐるのに対して、哲学は「心理とはそもそもなにか」を問題にします。
    ・国民国家の原理は、「一民族・一文化・一言語・ー国家」という理念です。同一言語同一文化をもった日本民族が日本という国を作った、というわけです。しかし、列島に言語は8つあります。「日本文化」は、明治期にできた日本文学史や日本免美術史などによって創造された伝絢です。国民国家とは、一度も会うことのい「同胞」からなる、「想像の共同体」にすぎない。
    ・自然科学と違い、歴史学はその場での観測ができず、結果知る後世の視点で書かれます。そのため物語的歴史記述は自動的に変化主体を仮構する。
    ・経済成長の時代には、だれもが、より多くの富や名誉を目指しました。戦時下のヨーロッパで、母国防衛のために従軍するのは当然でした。超越的価値があれば、みな、人生の明白な意味をえられます。キリスト教の神も同じ役を果たすでしょう。しかし、「大きな物語」が失効したポスト・モダンに普遍的な超越的価値はありません。精神的な方向感喪失に陥るのも当然です。とはいえ、生きる意味や方向感を見失うのは、ひそかに普遍的価を求めているからからしれません。
    ・キリスト教会支配の社会において哲学は神学の婢でした。中産階級が力をつけると、その財産保護を目的とする契約論が生まれます。逆に、産業社会の弊害が顕在化すると個人の苦悩を重視する哲学が登場しました。時代の必要から哲学は生まれ、個々の哲学はけっして普遍的ではありません。逆に、いま・ここ・わたしにふさわしい哲学は、いま・ここ・わたし独特のものであるはずです。そして、それは誰か別のひとに作ってもらうわけにはいきません。
    ・哲学の場合、いくら頑張っても内容が頭に入ってこないことがある。受け入れ難く、場合によって不快ですらある異物に遭遇したときこそ、理解を深め、自分を拡げる好機だとガダマーは言います。そういうときには相手のことをさらに調べるより、むしろ、「なぜ自分にはそれがわからないのか」を振り返ることが大切です。異物は、自分の偏見に気づく好機です。自分の偏見に気づき、その偏見になぜ自分がこだわるかがわかったとき、新たな自分と出会い、自己発見することができます。その偏見に本当に根拠があるか省みれぱ場合によって、その偏見を放棄し、「自己否定」する必要があるかもしれません。異物感は、自分の殻を破り、一回り大きく成長するチャンスなのです。

  • 図解が非常にわかりにくい。著者は有名な哲学者のようだが、図解作成スキルがないんだろう(本人がどこまで関与しているのかわからないが)。説明文も無理に1Pで収めようとしているため全体的に不十分であり、わかりやすいとは言えない。
    西洋・東洋哲学史や哲学的諸問題といった網羅性だけはあるので、目次はよくできているんだが、1度一通り勉強した人がまとめ的に整理する内容になっていて入門書ではない。
    「自分にふさわしい哲学を自分でつくらなければならない」というまとめはよかったけど。

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著者プロフィール

現在、専修大学文学部教授
1956年、神奈川県に生まれる。
1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
現象学をはじめとする現代哲学、歴史理論、舞踊美学を研究。
著書に『図解雑学 哲学』(ナツメ社)、『哲学マップ』(ちくま新書)、『哲学ワンダーランド』(PHP)、『経験の構造:フッサール現象学の新しい全体像』(勁草書房)がある。

「2007年 『ハイデガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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