武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
- KADOKAWA (2018年5月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046023919
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
初めて哲学に関連する本を読んだが、今後も他の哲学書に触れたいと思えた。なぜなら、ビジネス本はあくまでも著者や一部企業のケースをベースに書かれているので再現性や規則性がなく、一冊読んでも実際に明日から活かせることは少ないことが多い。しかし学問として成熟している哲学は、汎用性が高く、かつ、よい意味で抽象的なので、自分のシーンに当てはめて使いやすい。
ただ、一般的な哲学書はまだわたしには早そう。山口氏がわかりやすくまとめてくれているからこそ上記の感想を持てたのであって、他の哲学書を読んでもこの本ほどの理解や感銘は得られないだろう。
だからこそ、本書の良さが際立つ。 -
まだ途中だけど。
これまでの人生で何度もぶつかってモヤモヤしてきた色んなことが言語化されて凄い快感を味わっている。 -
山口周さんのファンになるきっかけとなった1冊。
小難しい哲学者の主張を分かりやすく噛み砕いて、現代を生きる僕達でも活用出来るようなマインドセットを与えてくれる。 -
哲学を非常に受け入れやすい言葉と順序で整理されている本。身の回りに溢れる哲学と、哲学の欠如が生む不具合にハッと気付かされることが多々あった。作者の言い回しが気持ちよく爽快。
-
「哲学」を実用的な「道具」としてとらえて、50人の哲学者(心理学、社会学なども)のキーワードをベースに解説してくれている
哲学が一体なんの役に立つのか?哲学者は役に立たない事を考えている
こんな風に思ってしまうが現在の日常のものの考え方、捉え方の参考になるんじゃないかな
自分の役に立つ思想、考え方を知りたい人にいいかも
巻末にその50人達の参考図書が紹介されていて、良い読書案内となりそう -
努力に正確に相関する報酬は、サプライズがないためかえって働かなくなる可能性がある。
人は経験と学習で学べるが、知識は陳腐化する運命にある。常に頭をタブラ・ラサ(真っ白な石板)に戻して有意義な経験と知識を書きいれる必要がある。
ルサンチマン(嫉妬、怨恨)の解消のためにブランド品や高級品がある。ルサンチマンに囚われた人は、価値観の逆転を狙って、逆の発言をする。「貧しい人は幸せである」など。崇高な発言なのか、単にルサンチマンの逆転を狙った発言なのか、を見極める必要がある。
フロム『自由からの逃走』自由から逃走しやすい性格の人は、自由の重みから逃れて新しい依存と従属を求めやすい。ナチズムを歓迎した人たち。
人は不確実なものほどはまりやすい。ソーシャルメディアは、必ずしも心地いいとは限らないが、時々心地いい体験ができるので、はまりやすい。ドーパミンで行動に駆り立てられ、オピオイドが満足を感じさせる。
アーレント『エルサレムのアイヒマン』『人間の条件』など。悪とはシステムを無批判に受け入れること。普通の人は、システムの中でうまくやる、ことを考えてしまう。ビジネス書のほとんどは、そのための本。自分で考えることを放棄している。
レスフィスティンガー「認知的不協和」簡単なことのほうが、信念を変更させやすい。行動を正当化するために、簡単に信念を曲げる。
ミルグラムのアインヒマン実験。途中で少しでも反対意見を聞くことで、正常に戻る可能性が高まる。最初に反対意見の声を上げることの大事さ。
フロー(ミハイチクセントミハイ)フローを感じ続けるためには、タスクの難易度と自分の技量との関係を変えていく必要がある。
エドワード・デシ 報酬は内発的動機付けを低下させる。これは決着がついているが、いまだにビジネススクールでは、けた外れな報酬がやる気を起こさせる、としている。エンロンの例を見ればその失敗は明らか。
マキャベリ『君主論』合理と道徳がぶつかるときは、合理を優先せよ。国家存亡の危機の時のリーダー論。
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト=村落共同体と社会。戦前は村落が、高度成長期は企業が、ゲマインシャフトだった。今はそれがない。ソーシャルメディアが代替できるか。
レヴィン 変革は「慣れ親しんだ過去を終わらせる」ことで始まる。転機は、何かが始まる前に何かが終わらなければならない。
マタイ効果=「持っている人は与えられてもっと豊かになる、持っていない人は取り上げられる」聖書の言葉。
プロ野球には4~6月生まれが多い、学力の生まれ月による差はマタイ効果で説明できる。=利益ー優位性の累積メカニズム。飲み込みの速い子を愛でる傾向が強い。もっと長い目で成長を考える必要がある。
ナッシュ均衡=いい奴戦略と、売られた喧嘩は買う、戦略、さらに寛容な戦略。これが繰り返しの囚人のジレンマに勝つ戦略。アクセルロッド『つきあい方の科学』
権力格差の民族間の差がある。事故の原因に関係する「機長が操縦桿を握っているときのほうが、事故になる確率が高い」。権力格差のため、副操縦士が反対意見を表明できないから。「それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状態を予期し、受け入れている程度」のこと。フランス、日本、イタリアが高く、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリスは低い。イノベーションにつながる意見は、弱い立場にある人のほうが持ちやすい。=リーダーは、消極的傾聴の態度ではなく、積極的に反対意見を求める必要がある。
反脆弱性=外乱や圧力で、かえってパフォーマンスが高まる現象。一見脆弱に見えるが、実は反脆弱なシステム=職人、一見頑強に見えるが、実は脆弱なシステム=技術者。どうやって反脆弱性を組み込むか。
ホッブス『リバイアサン』欲しがるものが有限だとするとそれに向けた闘争を防ぐために、国家などに巨大な権力が必要。これをリバイアサンと名付けた。国家が必要な理由。巨大権力に支配された秩序ある社会と、自由だか無秩序な社会、とどちらがいいのか。
弁証法的な合意形成=AとBの意見の討議の果てに、第三のCという立場に集約する。日本は苦手なので、二大政党が定着しない。そのかわり、日本人は空気を読むことに長けている。ICTの力で空気を明確化できれば、直接民主制に近いことができないか。しかし目に見えない権力に従うことにならないか。
自然淘汰=ダーウィン。突然変異が進化的に行われるのではなく、進化的だった突然変異が生き残る。
ボーヴォワール『第二の性』ジェンダーバイアスから自由な日本人はいない。指摘されても理解できない。無自覚さを自覚しておく必要がある。
パラノ(パラノイア=偏執型)とスキゾ(スキゾフレニア=分裂型)。パラノはアイデンティティに固執する。家を持ちたがる。スキゾは整合性が見られない。根無し草のような性格。パラノはわかりやすいが、環境変化に弱い。パラゾは住む人、スキゾは逃げる人。自分が何をやりたいか、を考えることは無駄。実際にやってみてだめだったら逃げる。逃げるのは勇気が必要。大企業に入社したら逃げられるか。これからはスキゾ的に勇気をもって生きる必要がある。
差別や格差は、同質性が高いからこそ生まれる。アリストテレスが弁論術の中で指摘。階級が違えばそもそも比較しない。差別は差異が誇張されて起きる。
社会は公正を求めるべきか。公正で公平だったら、下層に位置付けられた人には逃げ道がない。基準や評価が正当ではない、ということで自己を肯定的に考えられる。
差異的消費=見せびらかしの消費だけでなく、無印良品を愛用する、田舎に住む、なども含む。個人が他とは違うのだということを示す消費行動=記号的消費。我々は「記号の地獄」に生きている。商品には記号性が必要=これを持つことで何らかの主張につながる、ことが必要。
「努力は報われる」=公正世界仮説。逆の推定=結果が悪いのは本人の努力が足らないせい、という世界観によって逆恨みが始まる。この考え方は人生を破壊しかねない。世界は公正ではない、と考えること。むしろ公正でないほうが、逃げ場ができる。
「無知の知」「わかったということは、それによって自分が変わること」
弁証法=進化は螺旋階段的に進む。ないものねだりがイノベーションの基となった。寺子屋から学校、学校から学年を超えた教育、など。
反証可能性=科学とは反証可能性があるもの。これがないものは科学ではない。科学とは反証可能性を持つ仮説の集まり。
用途を明確にするとイノベーションの芽を摘むことになる反面、用途がないと商業化できない。グレーゾーンにおける直観が必要。働かないアリのように非予定調和的なものが必要。
パラダイムシフト=世の中はいきなりガラリとは変わらない。
他国の過去の人口予測は外れた。イギリスは20世紀初頭に人口減少を予測していた。アメリカも1920年代に低下して、減少を予測した。第二次世界大戦で結婚率が上がって人口が増えた。 -
「人間は質の高いものを生み出すために出来るだけ努力しようということではなく、最も少ない努力で最も多くの報酬を得ようとする」
「新しいことを始めるときにより重要なのは、何かを終わらせるということ」
「カリスマ性を持った人をどれだけ人工的に育てられるかどうかということにチャレンジする必要がある」
「学びはもう知っているからと思った瞬間に停滞する」 -
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?著者山口周さん。人生を生き抜くための哲学・思想50。ミシェル.フーコーさまは監視による心理的圧力ではなく各個人の道徳、倫理を持って支配するのが望ましいと。我々が緊急事態宣言の試練にあたり試されているようです。