ネット社会の「正義」とは何か 集合知と新しい民主主義 (選書)
- KADOKAWA/角川学芸出版 (2014年9月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047035454
感想・レビュー・書評
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公共哲学(功利主義、自由主義、共同体主義)の考え方をもとにして、どのように評価基準をさだめれば、民主的な意思決定ができるのか?について考察した本。
まず、専門知識の分野の細分化がすすんだ社会では、個々の専門家は限られた分野に精通するのみで、社会の中で総合的に判断する様な(たとえば再生医療、教育制度、など)問題の意思決定を担うことは難しい。そこで、インターネットを介して一般の人々の集合知を利用できないかと考察がすすみます。
筆者の提案としては、意思決定しようとする集団の規模に応じて3つの考え方をそれぞれ参考に(小規模集団では功利主義、大きい集団では特に自由主義を気にする。実際の選択肢をえらぶとき共同体主義がはたらく?と理解した)し、幸福と財貨と安全の指標で評価ということのようでした。
それから、功利主義のように幸福を数値化しようという時、人数だけでなく質の問題もあるとか、かわりに損する人も考慮の必要ありとかも言われていて、たしかにと思いました。似たような話ですが、誰が何に対してどれくらいの発言権があるんだろう、ということもポイントかなあと思いました。
説明の過程で、それぞれの主義の考え方とか、オイトポイエーシスとか、一般意志2.0という東浩紀さんの提案とか、いろんなことが説明されてて面白かったです。
あと最後には意思決定のいろんなケーススタディがあるのですが、例も、出てきそうな意見も具体的で、いろんな意見がでてくることとそれをどう集約するかをわかりやすく考えることができました。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784047035454 -
集合知の話と、正義の定義についての本。ちょっと難しいが面白かった。
集合知、重さあてなどは、平均値をとれば集合知で正解に近づく。ただチェスのさしては、単純な多数決では一流に勝てない。しかしながら、それなリのリーダーのガイダンスでそれぞれの手のよし悪しをまとめていけば一流に勝てる。
機械知、AI??所詮コンピューターはひとが設計しソフトを組んでデーターを入れる。道具。
正義、功利主義と自由主義と共同体主義それぞれ長所短所だけでなく、結局の共通点も。そういった統合モデルができれば新たなネット民主主義化か?ホリエモンの世界かも。 -
『ネット社会』というから、『ソーシャルネットワーク』の話かと思ったし、ほとんど関係なかった。てっきり炎上事件をとりあげて、『正義』とは何かを語る本だと思ったのだけど。
そもそも、ネット社会というのがほとんど関係無いような・・・。しいていうなら、チェスの指し手をネット投票で決めたことをとりあげたところぐらいじゃないか。こういう試みは日本の将棋でもやってほしいと思った。
裁判員って結構たいへんなんだなということが分かった。ちょっとやってみたいと思って入るのだけれども、あんまり気軽にそんなこと思っていいようなもんでもないかもしれない。
機械による独裁の話で、手塚治虫の『火の鳥』を思い出した。改めて、手塚治虫ってすごかったんだなと思った。
第五章や第六章の社会問題にたいする討論例は面白かった。死刑制度について討論するとこういう感じになるのだろうか。
個人的に死刑制度は廃止して終身刑など別の刑を導入したほうがいいと思ってる人間なので(少数派らしい)、こういう話は結構面白いと思える。
ところで、死刑因が絞首刑で死ぬ時ってほとんど即死に近いということを初めて知った(落下とともに頚椎が折れることが多いらしい)。 -
恵与深謝。ネットの集合知を活用するために、自由主義原理/功利主義原理/共同体主義原理をゆるやかに統合した評価基準を提唱。