いじめるな!: 弱い者いじめ社会ニッポン (角川oneテーマ21 A 80)
- 角川書店 (2008年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047101357
感想・レビュー・書評
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副題が
ー弱い者いじめ社会ニッポン
そこかしこに
この「いじめ」を助長し温床してしまう
「日本の今」が語られていく
我々が
今、できていないことが
何なのか
我々が
今、できることは
何なのか
新書の形だから
語れることもある詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「個性の尊重」と「同調圧力」。これまでの文化的背景からも日本の社会には周囲に合わせて皆で頑張っていきましょう、という意識が根底にある。たぶん、それは今の親(団塊)世代がそうであり、その子世代がそのまま引き継いでいる。その「同調」の範囲内でしか「個性」が認められない社会になっていて、それをはみ出してしまうと「いじめ」られる。表向きには「個性の尊重」が全面的に押し出されていて見えないけど、実際にはそのすごく狭い範囲内で生きなければいけなくなっていて、今の子供たちにはそれがすごく顕著に表れている。■でも子(団塊Jr)世代にはそうではない人たちが出てきていて、それがモンスターペアレントとか、主張と我儘・横暴の区別がつかなくなっている。そういう世代から下が、自分がしたいように世の中を解釈し、自分が納得できないものは理解しようともせず、受け入れられない環境の中に居続けることで心が折れて、それを周囲のせいにする。いじめや犯罪を内面のせいにするのではなく、そういう社会的風潮・背景をよく考えないと、この先、国力はどんどん下がってしまうと思う。■本書では、アメリカ型の主張の仕方を是とした展開がなされているが、戦後、高度経済成長を遂げられたのは、純粋な意味での「同調」のおかげであり、海外の考え方は参考とするまでに留めておいて、あくまで日本としての意識の在り方を考えるべきではないだろうか。
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すごくためになった、私には。
わかっていたけれど、「(学校の)先生だからって全員の子供に等しく愛情を注げるわけじゃない」っていうのを言ってくれたっていうのは大きいと思うよ。
その上で「仕事として子供たちに関わっていくことはできる」という。
なるほどって思いました。
あと、儒教的考え方って意識していないけれど、はびこっているんだと思ったので、儒教をお勉強しようかと思いました。 -
『いじめ』はいろんなところで問題になっているにもかかわらず、それについて、共感できる書物も意見も少ないのが現実です。
いじめの構造なんて説明されても、実際被害にあってる人の救いにはならないので、いつも歯がゆい思いばかりしてきました。
自分のつたない言葉では表現できないけれど、なにかが確実に間違っているという思い!
このもやもやしているけど、強い思いに答えてくれるのがこの一冊です!!
人間の基本中の基本に戻って、『いじめるな!』と叫ぶ必要性が、いろいろないじめについて二人によって真剣に話されています。
激しいまでに真っ直ぐな気持ちが、読んでいる者の心を打ちます!
いじめてる人、いじめられてる人、いじめに加担してる人、周りで見てる人、すべての人にこの思いを知っていただきたいです。
今の社会に必要な一冊!!!
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いじめられたこともいじめられた経験もなく、平凡なことが唯一の悩みという香山リカさんは、現代人の心の病を追い続けている。辛淑玉さんは幼い頃、民族学校での差別を受け、アメリカで自身も教育を受けた経験をもち、現在は構造的弱者のために様々な支援を行っている。
アメリカと日本のいじめの違いとは何か?
民族差別がいまだ残るアメリカよりも日本のいじめの方が陰湿で辛いという理由は何か?
日本でのフリースクールやシュタイナー学校は本当にいいのか?
過酷化する競争社会の中で、これからの教育に本当に求められるものは何か?
二人の本音トークによって、教育の現実と理想を考えさせられる一冊である。
自分だけでなく相手をいたわる気持ちを改めて持つこと、いろいろな考えをもつ多様な人間社会で生きていけるような人間をどう育てていくかが今後の課題ではないかと二人はいう。
「日常を変えるには、小さなことでもいいからとにかく自分で動け、そして、自分で考えることが大事。」
心に響いた言葉である。