- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047360815
作品紹介・あらすじ
「ねぇ? 日本は、東京は、どう見える?」
第21回文化庁メディア芸術祭【新人賞】を受賞した著者が贈る、
移民バクちゃんの「すこし不思議」で「すこしリアル」なダイバーシティ物語。
夢が枯れた故郷から地球へやってきたバクちゃん。
永住をめざし賢明に生きるバクちゃんの目にうつる東京は、わたしたち「みんな」の世界かも。
感想・レビュー・書評
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夢が枯れてしまった故郷の星から一人きりで地球にやってきたバクちゃん。
地球は、バクちゃんと同じように様々な理由で様々な星からやってきた異星人の移民たちが珍しくない世界になっていますが、彼らが住まいと仕事を見つけ、口座を作り、ましてや永住権を得るのは並大抵のことではありません。
可愛らしいバクちゃんのキャラクターでほのぼのした雰囲気の中に、現代日本にもそのまま当てはまる移民問題のハードさが潜んでいます。
故郷の星が戦争で失くなってしまったサリーさん、27年も地球で働いて、子供たちを育て上げたけれど、「27年いて地球は好き?」と聞かれ、少し考えたのちの答えは「ノーチョイス(選択肢ないよ)」。
胸が詰まりました。
とは言っても物語全体のトーンは決して重くなく、バクちゃんを助けてくれる地球人のハナちゃんや、人間に擬態して暮らしているおじさんやバク星の仲間たち。一人きりでやってきたバクちゃんが、少しずつ新しい世界と繋がっていく様子を、この後もずっと見ていきたいと思いました。 -
ファンタジーのような優しいタッチで引き込みつつ、異質の理解と寛容の精神を問う鋭い視点に泣いてしまいました。温かいのに、哀しみが覆っている姿をこんな風に描くのか!とその表現力に脱帽しました。同時代に生きて作品を読めることがとても嬉しいです。2巻も楽しみしています。
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夢が枯れてしまったバク星から地球・東京へやってきた、移民のバクちゃんが主人公。2巻予告の文言を借りると「すこし不思議、すこしリアル」なお話で、住民登録から銀行口座を持ってケータイの契約ができて、そこからでないと仕事が見つけられない、しかし銀行口座を持つにはある程度の在住期間が必要だったり……と、日本で生まれた身として、他の国からやってくる人の状況を如何に知らないか、という気づきが得られる内容だった。そこにバクちゃんの「夢を食べる」というファンタジーな要素が上手く絡んでいる。
岸本佐知子さんがおすすめとして挙げていたことで知った。そこでも言及されていたけど、清掃係で27年在住のサリーさんに「地球は好き?」と聞いたときの答え、「選択肢 ないよ(ノーチョイス)」が印象的。
あと、なんか最近バクが好き。
岸本佐知子さんおすすめ 不思議でリアル…。移民がテーマの増村十七著『バクちゃん』|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/nhkjournal/TD8eC738bE.html -
バク星から移民として地球にやってきたバクちゃんが、その周囲の地球人、同じ異星人の移民、地球生まれの異星人の皆んなと一緒に過ごすお話。
可愛らしい絵柄ですが、実際の移民の問題や外国人の扱われ方などの社会問題をテーマに扱っているような雰囲気がします。
また、いい人もいれば嫌な人もいたりしますし、優しすぎる人が損をしていたりもします。
そういう少しリアルな現実も描かれることで、より優しさが際立って見えました。
バクちゃん可愛いよぉ。 -
ツイッター多文化共生系TLで知り、興味を持った作品。
外国ではなく宇宙から来た移民たちが影に日向に暮らしている東京の地が舞台。バク星からおじさんをたよりに舞い降りた新参者のバクちゃんがであうさまざまな新旧の移民たちの境遇や経緯、地球の日本人との交流。設定はファンタジーだけれど、具体的なエピソードや心情はすごくリアル。
バクちゃんを助けてくれる人間のハナちゃん、小牧さん、地球育ちが長いダイフク…みんななにかを抱えていて立体感のある興味深いキャラで続きの展開が気になる。
多文化共生を考えられる文芸作品は児童書も含めてこのところふえてきているが、身構えずにマンガで入門できるのは貴重。マンガだから予算が、なんていわないで、全国の学校の図書室にぜひとも入れてほしい作品。
初出:月刊コミックビーム 2019年9月〜2020年3月 -
仕事で地方に放り出された時、今まで簡単に手に入った物が手に入らなくなりました。仕事も分からず、助けてもらえる人もおらず、知り合いもいない状況…色々な側面から追い詰められました。
主人公のバクちゃんは、住んでいる星で満足な生活がおくれなくなったので、仕方なく、でも、希望を持って地球にやってきます。言葉、文化、姿さえも見慣れない場所で暮らすことになるわけですから、いくら前向きなバクちゃんでも、とても大変なことだと思ってしまいます。
「これは現在282万人の外国人が暮らす、日本の「みんな」の物語。」
そんな帯を付いていて、つい手に取りました。
今は違う地方に住んでいますが、大変だった頃の僕を救ってくれたのは、先人の知恵と時間、そして、そこに暮らす人たちの優しさでした。大変だった頃の自分を思い出し、ほんの少しでも優しい気持ちでい続けなければ、そんなことを考えています。 -
増村十七氏の作品『バクちゃん』の1巻を読了。 素晴らしい作品だ!!
テーマは意外にシリアスですが、ほわほわ〜とした優しい雰囲気で、心細い移民のバクちゃんが、世界と繋がって...
テーマは意外にシリアスですが、ほわほわ〜とした優しい雰囲気で、心細い移民のバクちゃんが、世界と繋がっていく様子にホッとします(^ ^)