僕が電話をかけていた場所 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048654425

感想・レビュー・書評

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  • スッキリした内容で良かったです。

  • 三秋縋さんの小説は、毎回後半から読むのが辞められなくなるぐらい引き込まれます。
    この作品もそうでした

  • なるほど。やられたわ。
    いつもこの人の本にはやられっぱなし。
    ちょっぴり悲しいんだけど、ふんわり幸せもある。
    今回も不思議な作品だった。
    また読み返そう…

  • 誰しも正しい夏が頭の中にあるはず。正しい夏とは「こうだったらよかったのに」の複合体。誰しもそんな夏が頭の中にあるはず。本作は筆者が思う正しい夏の物語。
    コンプレックスは人を弱くも強くもするね。今自分が感じているコンプレックスは自分の知らない所で役立っているかもしれない。この顔の痣があったから彼女に会えた。今の人間関係を形成できた。彼女のコンプレックスの共感の架け橋となることができた。等など。

  • 初鹿野と会話をし、意志の疎通をほんのりできた深町の夏休み。彼女が星が好きなことから、思う存分星を見せてやりたいと願う深町。天体望遠鏡を持つ悪友の檜原と、深町に想いを寄せる千草を誘い、奇妙な4人の天体観測の日々が始まった。だが、目当ての初鹿野が檜原に惹かれていくように見えて…
    天体観測の日々の終わりと、思わずついた嘘に苦しむ深町、そして迎える賭けの期日。
    電話の女がとてもドSな気がする。
    最後に本物の千草と檜原が親しくなる展開は、あまりにもご都合主義に感じた。
    三秋作品には珍しい感じの、普通のハッピーエンドだった気がする。

  • 文句なく名作。全巻の雰囲気を引き継ぎながら、甘い描写に程よく予測を裏切る一筋縄ではいかないラスト、伏線もきっちり回収されていて、ほんのり幸せな気持ちになる読後感はさすがだと思った。
    欲を言えばタイトルとの関連がもう少しほしかったところか。結局あまり触れられずに終わってしまったので。

  •  初鹿野唯との誤解が解け、引きこもりの彼女を外に毎晩連れ出すことには成功した。
     中学時代の悪友の檜原、高校のクラスメイト荻上を加え四人で廃墟の旅館で天体望遠鏡を使い星を見に毎晩出かけるようになった。

     しかし、初鹿野が好意を寄せるのは陽介ではなく、檜原のほうだった。
     これでは賭けに負け、自分の命は8月一杯で消える。

     そして事件は起きる。初鹿野が再びの自殺未遂で記憶を失う。そして荻上も消えた。
     小学校時代の初鹿野の明るい性格が消えた中学時代の四日間、その前後で初鹿野の性格が正反対になったとかつての旧友は言う。
     その四日間に何があったのか。それを知らなくては初鹿野が自分を好きになることはない。
     
     意識を取り戻した初鹿野の見舞いに行った陽介だったが、記憶を失った彼女は尋ねる。

    「あなたが檜原君ですか?」

     深町陽介は彼女の過りに合わせることにした。


     作者のあとがきにもあるように「正しい夏」という幻想がある。春夏秋冬の中でも正しいのは夏だけ。
     正しい夏を送ることができなかったのではないか、と誰もが後悔を抱えているのではないか。
     そんな正しい夏を描きたかったというあとがきだ。

     作者の作風は「時間制限」だ。今作の時間制限は夏休みの終わりまで。
     その日までに彼女の意中の人になる。これこそ正しい夏である。あ~チクショウ。

  • 前編読了後に、今後の展開を予想していたので、その答え合わせ。
    ・ループものか?→ぜんぜん違った。ただ、この何か意味ありげなタイトルの付け方の意味は未だよくわからず。
    ・「見知らぬ駅」の関連は?→なかった。
    ・『陽介以外の「人魚」であり、陽介の前に「泡と消えてしまう」のは荻上だろう。そして荻上にとっての陽介は、陽介にとっての初鹿野と同じ位置づけなのだろう。』→当たり。まあこれはそうだよなあ。
    ・『では陽介と荻上の最初の出逢いはいつだったのか?そして荻上が賭けに応じることで得たもの(あるいは失ったもの)は何だったのか?「身体に問題を抱えていた」の意味とは?』→我ながら割と良い所を突いていた。…最後に色々ひっくり返るわけだが。
    ・『電話の女は、八百比丘尼的な存在、陽介のような人間の魂を吸って寿命を永らえている存在?』→違った。もっといい人でしたねー。
    ・『初鹿野と荻上が同時に現れる場面がない。』→後編の初っ端から同時に現れてる…。見当違い。
    ・『そもそも荻上の存在感が何となく薄い。陽介に対しては強烈な印象を与えているし、他の人にも認識はされているが、家族も登場しないし、何かあるのだろうか?』→これも我ながらなかなか鋭かった。
    ・『幽霊を探す女の子の意味は?』→最後に忘れずに登場させてくれた。…が、やっぱりイマイチよく分からない。彼女を電話の女と推測させる作者のフェイク…?でもそれだけじゃ何かつまらない。

    現時点でいろいろあるけれど、展開がわかったうえでまた最初から読み直せばまた新たな発見がありそうな作品。
    思えば、陽介が死なないことは、前編冒頭の書きぶりから分かってたことなんだよなー。
    読んでいる最中の風景の美しさ、清々しさ、主人公の視点の鋭さはとても好み。
    とくに描写の細やかさは男性の作家さんでは稀な気がする(男性だよね?)。
    読み続けたい作家さんです。

  • 「君が・・・」を読了して以来、続きが気になり手にしたと同時に一気に読んでしまいました。

    賭けに負けるものだと思っていたら、勝ったんですね。

    この作者の作品は、どれも好きです。
    いつも読んでいて、程好い「せつなさ」を感じさせてくれます。

  • ハンス・クリスチャン・アンデルセンの人魚姫のお話と福井県?の八百比丘尼伝説のお話を活用していてとても納得のできる終わり方で良かった。
     この人が描く作風が好きです。

著者プロフィール

WEBで小説を発表していた作家

「2015年 『僕が電話をかけていた場所』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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