紫色のクオリア (3) (電撃コミックス)

著者 :
制作 : うえお久光 
  • アスキー・メディアワークス
4.50
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本棚登録 : 90
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048660129

作品紹介・あらすじ

並行世界の己自身とともに、「ゆかりの死」という運命を変えようとする学。数知れないトライ&エラーの果てに、たどりついたのは……?

感想・レビュー・書評

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  • 傑作。
    基本的な構造はセカイ系ループ物と大差ないけれど、ここまで突き抜けた作品はなかなか見られないと思う。
    ここまで突き抜けると、「こういう物語の極致は紫色のクオリアだよね」と他作品を見るときの指標になるんですよね。
    本作に出会えて良かった。

    ◆予想を軽々と超えていく物語
    本作を読み始めたときの予想は超えられ、更にそれをもとにした予想も超えられ、さらにそれも……(以下ループ)。
    ガクがそれまで限界と思っていたものを超えるたびに、物語も「跳躍」していった印象でした。
    私の想像の幅が狭いのかな、いやマジで凄かった。

    ◆ガクの到達する様々な可能性
    あらゆる可能性をトライ&エラーし極めていく様は圧巻でした。
    印象的だったのは、ゆかりの母になったときの話。
    死んだ目のゆかりが……いやこれ見るの辛いんですが……。
    それと、「確定せずに消えるべき可能性のひとつでしかない」とか「かなり意地悪だったかもしれないが 少しくらい人間らしいことをしておきたかった」とか考えながらでは、普通生きられないよ。
    淡泊なガクのモノローグで物語は進むけれど、その思考に何度もゾッとしました。

    ◆セカイとガク
    「自らの望みを叶えるために、世界を変えたい」という願望。
    それは、「この世界を受け入れられない」という気持ちから来るもので、ゼロ年代やセカイ計でよく語られる発想のものと考えています。
    この思いを果たすには、究極的には「神」になるしかない。
    まさに本作でガクが為したことで、作中では「夢」という表現がされています。
    実際作中でどうだったかはともかくとして、あれはガクの「内面世界」だったわけですね。
    だからそこから抜け出して、覚悟を決めて、逃げずに現実を生きる、という終わり方をする。
    まさしく、セカイ系的な結末ですね。
    ただまぁ構造的にはそうでも、「ここまでやるか」ということが詰め込まれている。
    神になるのもそうだし、魔法少女とか、いやいや美少女が美少女を救うためだからと言って、ここまでやっていいんかいという感じですしw
    いやー、凄いものを見せてもらいました。

    ◆万物の理論
    色々考察できるところなのかなと思いますが、ひとまず漫画として素晴らしい演出だったことを讃えたい。
    最後のシーン、とても美しかったです。
    色々考察できると書きつつ、自分にはよくわからなかったところではあるのですが。
    なんかある、あるけどわからん……うぅ。
    無限の可能性の中から、ゆかりを救える可能性を掬い上げたかったガクが、ゆかりを救える境地へ辿り着くために求めた「万物の理論」。
    それを彷彿とさせるものが最後のシーンに出てくるのは、ガクなりにできることをしたからこそ、ということかな……?(必ずしもゆかりが救えることとイコールでないのがミソですけど……)

    ◆描き下ろし?小説
    な、なんて意地の悪い、つか時系列いつだよこれぇ……。
    いや、もっとキラキラしたもので終わらせてくれてもいいじゃない……。本作読んだ後に言うことじゃないけど、そういう弱腰になるくらいパンチが効いてます。
    最後にこれぶつけてくるの、素晴らしすぎるだろう、半死半生だよ。

  • 小説のコミック化って劣化するものがほとんどだけど
    これはとても良いデス!
    巻末に載っている、ゆかりからの手紙はうえお氏の書き下ろしだし……作品に対する愛が伝わってきます。

    うわーアニメで見たい……。

  • いやもう素晴らしい。完璧なコミカライズ。地の文が多くなっちゃうのは仕方ないとしても、ちゃんと絵をあわせて展開させている。

    綱島志朗はなんか『JINKI』のせいで「女の子をひどい目にあわせるの大好き漫画家」みたいなイメージが染み付いちゃって敬遠していたんですが、かなり凄い漫画家になっていたんだなぁと驚きました。

    巻末に、原作者による書き下ろしエピソード(?)が掲載されているんですが、こりゃまた意地の悪いものを持ってきたなぁ、と。
    それに対して、巻末の「ありがとうございました」イラストで、ある意味「読者の一番観たかったもの」をサラッと書いてくるあたり綱島さんは優しいなぁと思ってしまいましたw

  • 紫色のクオリア、コミカライズ、完結。
    コレのコミカライズを決定した人はすごいなー
    最後の手紙は読まれたのかもしれないし、読まれなかったのかもしれないけど、きっと、ふたりが、いやみんなが協力したら何千世界だって救えちゃうはずだから、読まれた後で「こんなの書いちゃってー」とからかわれるゆかり、という世にも幸せな図があるにちがいない、と思っておこう。

  • 面白かった。
    アリスの描いた万物の理論の絵がこんなかんじなのかーと見れて嬉しい。
    最後の手紙は読まれないことを願いたいところ…。
    表紙も原作表紙っぽくて良かった。

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