ストーリーメーカー 創作のための物語論 (アスキー新書 84)

著者 :
  • アスキー・メディアワークス
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本棚登録 : 612
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048674157

感想・レビュー・書評

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  • 小説などのストーリーを、機械的に作るコツが描かれている。だが、正直、けっこう難しい……。プログラミングの本のような読み応え。もう一回、頭がクリアな状態で読み直してみたい(笑)

  • 物語の構造を知る事で、自分なりの物語を作ることができる、その実践書。半分は、QA形式で進めていくと自分の物語が出来上がる、正にストーリーメーカーといえるマニュアルで構成されている。

    もちろん、そのストーリーメーカーを使う上で最低限理解しておかなければならない物語論が語られる前半だけでも面白い。

    他の物語論と違うのは、もちろんストーリーメーカーの存在。ただ、ストーリーメーカーのために、前半のわずかなページ数で物語論を語ってくれるのも、無駄無く物語の構造を教えてくれる作りになっていて、とても分かりやすい。行きて帰りし物語、呪いも含めた贈与論、キャラクターの役割、父殺しなど、僕はただ知っていて、とっ散らかった状態だったが、この本のおかげでとてもすっきりと理解できた。

  • 神話や映画のストーリーの基本は、「行って帰ってくること」で、以前とは違う自分になって帰ってくるとのこと。確かに、そうだ。本書の30の質問に答えれば、それなりのストーリーはできると思う。ただ、大学の教科書だったりするために、著者の他の本を参照した方がよかったり、マンガや、学生の課題の引用など、わからない部分も多かった。

  • 実質的な中身は後半の質問三〇個か。書いてあるとおり、純然たる「実用のための本」という体裁。使い勝手は未検証。姉妹本には「サイコロを振ってキャラクターを考案する」チャートが載っているとか。すごく興味深い。

  • 物語を作る技巧の話。

    正直、この視点はすごい。

    クラシカルな神話からスターウォーズや宮崎アニメまでに通じている構造の作り方を、著者の論理的な説明によりリードしてくれる。

    物語の多くが「行って帰ってくる」か「失ったものを取り戻す」という主軸があるとか、物語を構成する31の最小単位とか、いわゆる小説を純文学的なものとして捉えていたオイラは目から鱗だ。

    何より著者の持つ学問的バックグラウンドがすごい。
    きちんと学んだことが他分野へ応用されたことで、これまでにない視点が生まれていると思っちゃう。

    んー、いつか再読するだろうな。
    いろいろと使えそうだ。

  • 人は機械のように物語ることができる「ストーリーメーカー 創作のための物語論」。物語の文法を習得し、30の質問に記述形式で回答するだけでストーリーが完成する。

    物語の文法の基本は、「行って帰る」というパターンです。しかも、、「行って帰る」一方で、元の状態からは変化しています。主人公はマイナス状態「欠如」からスタートしてプラス状態「欠如の解消」に向かうため、一旦「境界線」を超えるのです。これは、現状と「あるべき姿」のギャップを埋めていく「経営戦略」に通じる気がします。

    30の質問をいくつか抜粋すると次のようになります。

    Q4 あなたの主人公が現在抱えている問題を「主人公は×××が欠けている状態にある」という形で表現して下さい。欠けているものをまず具体的に書き、そして、次にそれが何の象徴であるかを一言で記して下さい。 

    Q5 あなたの主人公の「現在」について設計して、一番イメージに合うものを以下のA~Dより選択して下さい。
     A、まだ、自分の運命を自覚していない、普通の人としての状態(0)
    B、何らかの社会的地位成功の状態にある(+)
     C、かつて成功したが、今はうまくいっていない(+→-)
     D、まったく成功していない(-)

    Q6 A~Dの一つを選んだら、ログラインを「主人公は×××の状態で△△△を求めているが最後に□□□になる」といった程度のシンプルな文章を作ってみてください。これが主人公の内的な変化の定義です。

    Q8 Q4の答えを踏まえて主人公が、「欠けているもの」を手に入れるために誰かから与えられる、(あるいは自らこなさなくてはいけない)具体的な課題やミッション、クエストは何かを考えて下さい。

    何となく、コンサルティングにも通じる気がします。 

  • 「物語」の作り方に関する本。実践型演習問題集(回答例・解説付き)なので、書きたい話がぼやっと頭にある人はこれ読んでから、やり方をなぞるとそれなりのものが出来上がりそう。

  • [ 内容 ]
    あなたが漠然と抱えているストーリーの種は、どうすれば作品として結実させることができるのか?
    神話や民話の構造分析から導き出された物語論を概観し、30の質問に回答していくことで物語のプロットを作成する。
    ベストセラー『キャラクター小説の作り方』『物語の体操』をさらに発展させた、超実用的創作入門。

    [ 目次 ]
    第1部 創作のための五つの物語論(物語の基本中の基本は「行って帰る」である―瀬田貞二『幼い子の文学』;物語を構成する最小単位とは何か―ウラジミール・プロップ『昔話の形態学』;英雄は誰を殺し大人になるのか―オットー・ランク『英雄誕生の神話』;世界中の神話はたった一つの構造からなる―ジョセフ・キャンベル『千の顔をもつ英雄』;ハリウッド映画の物語論―クリストファー・ホグラー『神話の法則』)
    第2部 ストーリーメーカー―30の質問に答えてあなたの物語をつくる(主人公の内的な領域を設計する;物語の構造を組み立てる)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 物語を分解してフレームワーク化すると、多くの話の展開が共通していることが分かる。
    その共通したものをいかに肉付けするかで、全く違うストーリーとして組み上げることができる。
    音楽制作にも似たところがあるので、自分には理解しやすかった。

  • フォトリーディング&高速リーディング。神話や昔話や最近の作品を用いてプロットの作り方を説明した秀作。著者は機械的に質問に答えるだけで物語が出来るとしている。ゆっくり読んで実行してみたい。

  • なんか、こういうハウツー本には弱い。

    物語のアウトラインを考えるのに、とても参考になるなぁと思った。

    これで、うっちゃらかしちゃってる小説が少しでも進んでくれたらなあ……。

  • 小説の書き方本に比べると、かなり具体的、かつ実践的で参考になります。前半をもう少し読み易くして、後半へのつながりをもう少し平易にすれば完璧でした。ちょっよオタクが入ってないと、辛い部分が。勿論、そうじゃなきゃ物語を書くなんてことはありませんから、問題ないのですが。

    でもこの人の授業を受けたくなりました。(^^)

  • 10/8/14 面白そうなので、探して購入。

  • この著者の本は、構造化されていておもしろく、『キャラクター小説の作り方』『物語の体操』の続きものとして読みました。
    「崖の上のポニョ」の話を例えとして採り上げており、最近の本かなと思ったら、2008年刊でした。

    物語の作り方は、ほかの本で語られる方法と変わりありませんが、ここでは、Q&A形式で答えていくうちに、物語ができるようになっており、システマティックに段階を踏んで説明する手法に、さすがは小説教室で教えている人だと感じます。

    第一部には、既存の物語の成り立ちや、ハリウッド映画の作られ方などが論じられていて、興味深く読めました。

    第二部は、具体的な物語の作り方Q&Aが書かれており、実際の生徒の作品も掲載されているので、わかりやすいです。
    ただ、物語の作り方をここまで日の下に明確化されてしまうと、その後読む本全てが、マニュアルに沿って作られているような邪心も抱いてしまいそうな恐れを感じました。

    物語と一言で言っても、いろいろなジャンルがあり、この著者がまず初めに導くものは、冒険が基軸になっているものです。
    そこから派生して、全く思いもつかない静かな作品に転用されるということまで記されており、サンプルとしての派生作品を読むと、確かに全く違うものとなってており、驚きます。
    時々読み返して見ると、それまで自分が読んできた本の見方がまた変わるかもしれないと思いました。

    本文中のサンプルとして、著者の手がけた作品が多く採り上げられているため、詳しく知らない身には、ちょっとカヤの外に置かれる感じがしてしまうのは仕方がないことでしょうか。

  • 常々考えてたことがそのまま書いてあった。物語は抽象的になら定式化できるって。

  • そもそも例としてあげている映画のストーリーおもしろいか?

  • ストーリーをつくるための定説がある!ということを教えてくれる本でした。身近な例もあがっていたので、なるほどー!と思わせてくれるものでした。

  • 村上春樹は、「物語の構造」を使って小説を書いているという評論を見かけたのがきっかけで読んでみました。神話に見られる典型的なパターンというか”神話のマニュアル”みたいなものを利用して、物語を創作する授業がベースになっています。村上氏の「物語の構造」に関する評論は、蓮實重彦氏の「小説から遠く離れて」がありますが、「ストーリーメーカー」のほうが読みやすいです。

  • この通りだけに物語を作るのでは若干不足な気もするのだけど、納得できるところもあり、参考にはなる。

  • 後半部の質問はすごく使えそう!
    あとは『物語の体操』や『キャラクター小説の作り方』に書かれてあることをベースにした物語論。
    「あの世」と「この世」の境界や、毛皮など。

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著者プロフィール

大塚 英志(おおつか・えいじ):大塚英志(おおつか・えいじ):1958年生まれ。まんが原作者、批評家。神戸芸術工科大学教授、東京大学大学院情報学環特任教授、国際日本文化研究センター教授を歴任。まんが原作に『アンラッキーヤングメン』(KADOKAWA)他多数、評論に『「暮し」のファシズム』(筑摩選書)、『物語消費論』『「おたく」の精神史』(星海社新書)、他多数。

「2023年 『「14歳」少女の構造』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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