- Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048734479
作品紹介・あらすじ
時に戦雲が天を覆う春秋時代前期、「管鮑の交わり」として名高い管仲と鮑叔は周の都で出会う。以後、ふたりは異なる性格ながらも互いを認め、ともに中原の沃野を駆け抜けていく。しかし、時代はまだこのふたりの天才を知らなかった-。のちに、思想家、為政者として卓越した能力を発揮し、理想の宰相と称された管仲の生涯と、彼を支えた人物群像を余すところなく描いた、渾身の歴史長編。
感想・レビュー・書評
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2019/1/6
史実をベースにしているノンフィクションのようなフィクション。史料が欠落しているところを作者の想像力が埋める。残ページが減っていくのが寂しく思えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『管鮑の交わり』と故事で称される管仲と鮑叔の物語。ちなみに、管鮑の交わりとは、互いに理解し信頼し合った、きわめて親密な関係、とある。
鮑叔は斉の大夫(小領主)の三男であり遊学し、管仲は裕福な家庭に育ちながらも父を失い困窮する。その二人が苦楽を共にしながら信頼を深め、互いに別の主に仕え敵対することがあっても、最後には斉の君主を覇者へと導いていく。
特に鮑叔は自らが最大の評価をされている状況でさえ、管仲には及ばないと一歩引き下がり彼を推める徹底ぶり。
「貧しいのはなんじばかりではない。貧しさと戦っているのか。つらさから脱するために努力しているのか。生きた知恵を産み、成長させよ。貧しさがなければ、そういうことにも気づかぬであろう。」
父が亡くなり兄が散財し実家が衰困、自身も職を持たないために愛する人を迎えることもできない、そんな状況で管仲が聴いた天の声である。
「人はもちまえの器量を、越えてもしたまわっても、不幸になる。したがって器量いっぱいに生きることが最善であるが、それがむずかしいのは、いうまでもない」
鮑叔が妻の弟の檽垣(じゅえん)が少年であったときに最初に言った言葉。この言葉が胸にあったかどうかは分からないが、その後檽垣は管仲に仕えて管家を家宰として盛り立てていくことになる。
「ほんとうの財とは、物ではなく、人です。まず、たがいが財でありたい」
管仲が妻となる梁娃(りょうあい)に言った言葉。ずしりとくる。互いに尊重しあい、ただ二人でいるだけでそれがかけがえのない財産と言える、そんな関係は理想といえる。
2015.6.18 -
春秋時代の政治家・管仲が、不遇時代を経て斉の桓公に仕え、天下をとるまでの物語。まるで中国の史書を読んでいるかのような(や、本物は読んだことないけど)簡潔な文体で、中盤までは話がこれからどう転ぶのか先が読めず淡々と進む。しかし、淡々としているのに所々妙に哲学的なのはやはり中国である。
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歴史よりも人の行動の描写が面白かった。
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管鮑の交わりで有名も、古い偉人なため、どのような仲であったのかを知ることが出来た。ただ、いつもの宮城谷作品の胸躍る場面は無かった。
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管仲 (角川書店)上下巻
紀元前650年位 斉:これまでの時代は王や皇族中心の政治であったなか、管子は国王を暗殺しようとした王の下で国民中心の政治を行っていく。 -
運命に翻弄されつつも天才的な視野を持つ管仲と、人間的な魅力と才能に溢れるホウ叔。二人のまっすぐな関係と才知を描いた作品。
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『管鮑の交わり』で有名な斉の宰相管仲の話。
鮑叔と出会う不遇時代から鮑叔の力で斉の公子の一人に仕えるようになり陽が当たるようになるまでがこの巻に書かれていた。
斉に入るまでは結構面白かったけれどそれ以降は話がやや端折られているような速さで進んだので本の後半は面白さがやや落ちた気が。