夢見る水の王国 上 (カドカワ銀のさじシリーズ)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 171
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739504

作品紹介・あらすじ

少女マミコは、渚に漂着した木馬と壊れた角を見つける。気がつくと彼女は、時の止まった海岸にいた。マミコの真っ黒な影が立ち上がって分身となり、悪魔の子マコを名乗る。角を抱き「世界の果てに名前と角を捨てに行く」と言い、水平線の彼方へかき消えてしまうマコ。だが、角をとられた木馬が、白毛の馬となって現れる。少女と白馬は、マコを追って時の止まった海へと駈けだして-。美しく幻想的な世界を旅する二人の少女。泉鏡花文学賞作家が描く、壮大なファンタジーの幕開け。

感想・レビュー・書評

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  • 目次の言葉の群れが既に美しくて、いつも2倍の時間かけて目次読んで。 本文のイメージがまた美しくて楽しくて、いつもの1.5~2倍の時間かけて読んでる。 おかげで、ティーン向け文字サイズなのに40分で80ページしか進まない!のに、素敵な時間!

    さすが坂川事務所デザイン! 上巻表紙と下巻裏表紙 下巻表紙と上巻裏表紙 で、一枚の絵になる配置。 ミコかマコの優勢を表しているようでも、二面性かつ一体性を表しているようでも。 二人でひとつなんだよという世界観が、上下巻セットに出てる感じ。

  • おじいさんと孫娘の心あたたまるお話…と思っていたら、だんだんファンタジーの世界へ。これからどうなるか分かりませんが、夢の中を覗いているような気分になります。下巻に期待。

  • 上巻のみ読了。

    小説というより、詩といってもいいと思える。
    海外の詩みたい。
    だから、話がすごく曖昧で、一回読んだだけではよくわからない感じがする。
    読み込めば、いろんなイメージで遊べそうと思う。
    普通に小説として読まないほうがいいかもしれない。そんな作品。

  • 新規開拓することに消極的になっているここ最近、オススメされるのはありがたい。というわけで友人に借りて久しぶりに前情報無しのファンタジーしかも上下巻を正月のお供に。

    以下BOOKデータベースよりあらすじ。
    少女マミコは、渚に漂着した木馬と壊れた角を見つける。気がつくと彼女は、時の止まった海岸にいた。マミコの真っ黒な影が立ち上がって分身となり、悪魔の子マコを名乗る。角を抱き「世界の果てに名前と角を捨てに行く」と言い、水平線の彼方へかき消えてしまうマコ。だが、角をとられた木馬が、白毛の馬となって現れる。少女と白馬は、マコを追って時の止まった海へと駈けだして―。美しく幻想的な世界を旅する二人の少女。泉鏡花文学賞作家が描く、壮大なファンタジーの幕開け。

    とはいえ序盤は、成長し海辺の家に戻ってきたマミコから、徐々に幼いマミコの海辺での生活へとフォーカスされてゆく。
    その間も浮かんでは消える蜃気楼のようにいくつもの情景が挟み込まれ、それが過去なのか夢なのかもう一つの世界なのか何かの暗示なのかは明確にされないまま進むけれど、それで本筋がわからなくなる事は無いのが不思議。一つの章が細かな節で分けられているのも流れを断ち切りやすいかと思いきや、むしろこのおかげでひとつひとつを割り切って読む事が出来、しかも短編のようなリズムになってスルスルと読み進める事が出来る。

    上巻の序盤はそんな少女マミコの生活を淡々と穏やかに描いているが、中盤にさしかかるといよいよファンタジーの様相を呈してくる。自分の分身マコによって名前を奪われミコとなった少女は、同様にツノを奪われ木馬ヨミと共に、マコを追う旅に出る。

  • 「星兎」「ノスタルギガンテス」と読んだけれど、透明度の高い世界描写のうまい作者だなあといつも思う。選ぶ主題も毎回重いのだけど、蝶の翅でできたオブラートに包まれているお陰で陰鬱にならずにじんわり美しさとかなしさが胸に広がる。寮美千子作品にはそんな印象をいつもうける。
    幻想的に、端々を浮かばせ沈ませ流れてゆく小さな物語たちは、最後に大きな流れとなりつながってゆく。
    「生命」と「記憶」。
    わかたれた「マミコ」の物語。

  • 読むのが結構つらい。

  • 中盤から面白くなったけど、それまでが長すぎるかな…と思いました。

  • タイトル・表紙・あらすじ…めっちゃ気になる。

  • 「これから先、おまえのことを、強い、という者もいるだろう。けれどもおまえは、恐ろしく弱い子かもしれない。おまえの心はきっと、嘘やごまかしに耐えられない潔癖さを持っているんだ。だからこそ、ほんとうのことを受けいれる強さを持とうとする。それが、おまえを傷つけ苦しめることもあるだろう。真実を見たくない、心の弱い人々が、おまえを無視したり、攻撃するだろう。
     けれども、弱くて強いおまえのその心こそが、おまえを美しい場所に導いてくれる。かりそめの安楽ではなく、ほんとうの美しい場所に。
     おまえは、自分を信じていいんだよ。本当のことを求める気持ちを、失わなくていいんだ。どんな時でも、世界は少しずつ美しくなる。嘘やまやかしが世界を覆っても、その芯の芯では、傷つくことのない本物の美しさが、結晶のように、少しずつ成長しているんだから」(本文より)

  • 歌姫マミコはかっておじいさんと暮らした事のある町へやって来る。郵便配達夫。嵐の後、海岸で拾った一角獣の角。ユメミコとマコに分かれたマミコ。マコに奪われた名前を取り戻すため、ユニコーンと一緒に、世界の果てへ向かったマコを追いかけて、鏡の中を抜け、月の支配する世界へ旅立つ。現在と過去、異世界が混じり合う。雲母を集める年老いた鉱夫、月の守り人、猫のヌバタマ。

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著者プロフィール

東京生まれ。
2005年、泉鏡花文学賞受賞を機に、翌年奈良に転居。
2007年より、奈良少年刑務所で「物語の教室」を担当。その成果を『空が青いから白をえらんだのです』(新潮文庫)と、続編『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』(ロクリン社)として上梓。
『あふれでたのはやさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(小社刊)ほか著書多数。

「2021年 『なっちゃんの花園』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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