北帰行

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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本棚登録 : 316
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739788

感想・レビュー・書評

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  • ドラマ化や映画化をねらって書いたのか、いまいち

  •  何だかかぶる話である。船戸与一の『夜来香海峡』とかぶるのだ。あちらは秋田から夕張、稚内へと北へ向う話。物語の軸は逃走中の謎の女。こちらは、東京、新潟、稚内へとやはり北へ向う展開。物語の軸は妹の仇を狙うロシア人のヒットウーマン。そしてどちらも最後は稚内フェリー埠頭近辺での激しい決闘。やっぱり、かぶりすぎる。

     しかももう一作、舞台やストーリー展開は異なるが、少し似たような話が佐々木譲の作品にはあったような気がする。思い出した。『真夜中の遠い彼方』だ。ベトナム難民の少女をある新宿の一夜を舞台に救い出してやろうと逃走させる一連の庶民たちの活躍を描いた作品であった。ちなみに同じ時期に読んだ梁石日の『断層海流』はフィリピン人女性が日本の闇の中で自由を求めて足掻く話であり、こうしたものとも共通点をどこかで感じた。

     言わば日本という不思議なテーマパークに迷い込んだ外国人女性というアリスたちを、不思議の国の側から扱いあぐね、いつの間にか運命に取り込まれてゆく日本住人たちを描いた活劇になっているのである。外国人女性のどれもがアリスでありながら、どこか犠牲者であり、そして何よりも孤独であると同時に、サバイバルに長けたタフネスぶりを発揮する物語でもある。

     本作もその例に洩れず、弱者であるロシア人女性を食い物にし、嬲り殺しにすることを厭わない悪党どもの手から、逃れながら妹の仇を狙う復讐鬼と化したターニャに手を貸し闇の底まで帯同しようとする男の運命を描いた作品である。

     最近、書き馴れた感のある警察小説と視点を逆にしたために、佐々木譲の原点に戻った感じがあって、そこがどこか古臭いイメージを匂わせると同時に、この作家がもともと冒険小説というリーグの覇者であったことを思い出させられる少しレトロな作品であるように思う。とことん北海道にこだわる作者の姿勢も一つも変わらない。

     作家とは、流れに反して、ときどき自分の辿った道を振り返りたくなることがあるものなのだろうか。この作品はそんな佐々木譲の内なるノスタルジーが書かせたものであるように思えてならない。

  • この主人公には共感できないな。身内が殺されて、会っただけの殺人者と懇意に。
    あり得ない。

  • 展開に無理があるが読めた

  • 読了。ロシア人娼婦が暴力団組長に殺される。妹の復讐のため来日し、暴力団を射殺する姉のターニャ。騒動に巻き込まれた旅行代理店の男と二人の逃避行が始まる。スピード感があり一気に読めた。一つ気になっていた点がラスト近くに判明するが、悲しい結末だった。

  • ハードボイルドだな。話の展開がちょっと粗すぎ、ラストも安っぽかった。
    「警官の血」みたいな、重厚感を期待していたので、ちと残念でした。

  • いつもは警察小説書いている佐々木さんの犯罪小説。勝手が違うのか話がいきあたりばったり、ラストもてきとー。こんなんあり?

  • 些細なきっかけでロシアの美人スナイパーと逃亡することになった主人公。舞台は東京から新潟、稚内へとロシアへ近づいていく。

    息もつかせぬアクションの連続で一気に読める。しかし、ラストは…。この展開しかないのかな。

  • 松島などを舞台とした作品です。

  • うーん。。。あまりに非現実的かな・・・
    いろいろ突っ込みどころが満載で。。

    まず、殺し屋が本名で来日?しかも、添乗員を頼むって?ありえない。
    主人公が事件に巻き込まれていく過程もありえない。最初の段階で逃げないとまずいのはわかるだろうに(それじゃ、小説にならないんだけどね)。
    しかも、主人公と敵が知り合いだった時点でもうアウトでしょう。報復は確実。逃げるにしても、フェリーとかって・・・飛行機で先回りして待ち伏せされたりしなかったのが不思議。

    なんだかなぁ。。。どう落とすんだろうと思っていたら、ラストが「えー」。
    一般市民が無理だって。妹と母親がかわいそうだよ。なんて馬鹿な兄貴。

    殺し屋の秘密がラストに明らかになるけど、あれって必要?
    悲恋を強調したかったのかなぁ。

    あっちこっち連れまわされて、稚内で終わらせました、という感じでした。
    今回はかなり残念だったので辛口。

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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