ガン・ロッカーのある書斎

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048833868

感想・レビュー・書評

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  • 98050

    豊富な銃の知識をもとにハードボイルド、冒険小説、映画を語る。

  • 少し前に友人と会ったときに、エッセイや随筆を書く作家が自分が特にこだわりを持っている事を題材に文章を書くと知らないこちらまでその面白さや情熱が伝わってきて本当に面白い、というような事を言っておりました。自分は正直銃のことも西部劇も映画も全然詳しくはないのですが、ああ確かに好きな人が好きなことについて語るのは面白いなあ、と思って読みました。

    ハードボイルド小説もほとんど読んでいない自分ですが細かい描写とか誤訳に苛立ちを覚える感覚はよく分かります。自分は英文科を一応出ているのですがその時の恩師が文章を訳すのに単語のひとつもおろそかにしたらあかん、と良く言っていました。何故、作者がその言葉を文章中に入れたのか。それを考えたら一言たりとも無視して良い言葉なんかない、と。無視できるくらいなら作者だってその単語を使わないのだから、と。それからその単語の意味を調べたり、その小説が描かれた時代の歴史、風土、文化を調べたり、と大変な授業だったのですがその分、とてもやりがいのある講義でした。それと同じことですよね。翻訳と言う仕事はとても大変な仕事だとは思いますが誤訳や削除するくらいならば原文そのままに載せてもらうほうが読む方にとってはありがたい野になあ、と思います。

    作中に何度も紹介される映画や本は是非是非いつの日か読んでみたいなあ、と思いました。

  • 書斎と聞くだけで思わず反応してしまう無類の書斎好きとしては、傑作と呼ばれる稲見さんの小説群よりも、先に手をとってしまった。残念ながら、これも絶版。

    男にとって書斎は隠れ家である。秘密基地であり、思索にふけったり、ぼうとしたり。孤独を楽しむ場所である。

    ただ、昨今の住宅事情で書斎を持つお父さんは恵まれていると言っていい。そこにガンロッカーがあるというのは、一体どういうことなのだろう?

    この本は「ミステリマガジン」(昭和58年1月号〜12月号)と「モデルガンチャレンジャー」(昭和58年9月号〜59年8月号)に連載されたコラムをまとめたもの。

    ハンターでもある稲見一良さんがガンを中心にハードボイルド小説、西部劇、アクション映画について語る。そのウンチクたるや半端じゃない。なるほど、と膝を打つ。

    読んでいるうちに、登場する小説、映画を見たくなってしまうのだ。このウンチクぶりは短編「オクラハマボーイ」(「花見川のハック」収録)にも伺うことができる。

    稲見さんは銃を通じて、男の生き方、生き抜くとは何かを語りかける。彼にとって、銃とは人殺しの道具ではない。狩猟にも美学がある。

    「銃器を扱う者の、自らに律した厳しいモラル、その辺りがキチンと描かれている小説や映画に出会うと、ほっとする」

    「警察銃や軍用銃はいざ知らず、猟銃を撃つのは2発でいいとぼくは考える。撃ち返してくることもない鳥や獣に向かって、3発も4発も撃つのはみっともない」

    読んでいて、思い出したのだが、僕も中学時代、いくつかモデルガンを持っていた。

    思いが深いのはワルサーPPKだ。PPKはジェームズ・ボンドが愛用していた銃。ボンドよろしくとばかりにサイレンサーまで装着した。

    ウジー、ベレッタ、ブローニング、コルトガバメント。これら銃の名前は全て映画で覚えた。映画はいろんなことを教えてくれていたなぁと改めて思った。

    ところで、日本で銃を持つのは面倒なようだ。ライセンスの更新は面倒な上、忘れると、没収される。警察からは「あそこ(稲見さん)の夫婦仲はどうだ?」などと近所を素性調査されたこともあったそうだ。銃への偏愛がなければ、耐えられないだろうなぁ。

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