ちどり亭にようこそ3 ~今朝もどこかでサンドイッチを~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2018年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048936224
作品紹介・あらすじ
京都は姉小路通沿いにこぢんまりと建つ仕出し弁当屋「ちどり亭」。その店主の花柚は、婚約者との結婚にともない、店を畳まなければならなくなる。しかしバイトの彗太が店を継ぎたいと申し出たことで、彼が大学を卒業するまでの二年間は、店を続けられることに。
安堵したのもつかのま、花柚は祖父から「ただしオーナーも店主も辞めること」という条件を出される。
名義とお金だけ貸してくれて、現在の店のやり方を守ってくれる人――そんな都合のいい人を果たして見つけられるものだろうか……。
感想・レビュー・書評
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京都の小さなお弁当屋さん、ちどり亭のシリーズ、三作目。
アルバイトの大学生、そして、今ではちどり亭の後継者を目指す、小泉彗太(こいずみ けいた)の目を通して描かれる、花柚さんの料理と恋、二十四節季に彩られる京都の四季。
有職を今に伝える名家のお嬢さんにして、お弁当屋さん「ちどり亭」の店主・蒔岡花柚(まきおか はなゆ)は、幼いころからの恋をようやく実らせ、許婚の永谷総一郎(ながや そういちろう)との結婚が決まる。
しかし、家の大人たち、特に、ちどり亭の家主である祖父からは、名家の跡取り同士の結婚を許す条件として、店をたたみ、花柚は店主をやめること、経営にかかわってもいけない、という条件を出される。
彗太が店を継ぐと申し出たことで閉店だけはまぬかれたが、別のオーナーを探すことになった。
そういう悩ましい状況を軸に…
なぜ料理をするのか、という大切な話が語られる。
11.草露白(くさのつゆ しろし)、漆塗りと栗おこわ
目に見えるもの、舌に感じる味…
人それぞれ、違っている。
お客さんに、自分の作ったきんぴらを「おいしくない」と言われ、彗太は人に料理を出すことが怖くなり、店を継ぐことの重さを今更ながらに感じる。
12.鶺鴒鳴(せきれい なく)、配膳さんと海老フライ
ちどり亭はお弁当を作ることを商売にしているわけだが、普通の人がお弁当を作る相手は、ごく親しい、家族やそれに準ずる関係の人に限られる。
案外面倒見のいい美津彦が連れてきた大学生、康介の、ちょっと微笑ましい勘違い。
13.鴻雁来(こう がん きたる)、野菜嫌いとつくねの照り焼き
親が子供の成長に願うこと。
とくに、一番気にかけるのは、成長に大きな影響を及ぼす“食べるもの”のことかも知れない。
大きすぎる愛情に反発するのも、子供の成長ではあり、
いつまでも甘え続けるのは大人になりきれない証拠でもある。
14.虹蔵不見(にじ かくれてみえず)、サンドイッチと琵琶の音
この、ちどり亭の物語の中で、最大の事件と言ってもいい。
花柚がこれまでの思いに始末をつけて、自分の意思でこの先を歩むためには必要だった再会。
藤沢先生の言葉、「誰かのために生きてはいけない」を、花柚が大切な人に贈る。
おいしい料理を作ってくれる誰かがそばにいてくれれば大丈夫。
番外編 月見る月はこの月の月
“ダメな京都の男の代表”から救いの神と化した白河美津彦(しらかわ みつひこ)視点で語られる、3巻のいきさつの裏と、ここにも母親の料理の呪縛から逃れようともがく、美津彦の女友達・村上莢子(むらかみ さやこ)の話。
人は半年で、細胞ごと生まれ変わる?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
花柚さんの兄さんと彼女登場でまたしても驚天動地! それでも誰もが前を向いているから、温かな気持ちになりました。美津彦さんが語る番外編、笑った!
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毎巻、新しい登場人物による新展開があり、花柚の周りの親しい仲間の人としての成長があり、楽しみに読んでいます。また、食への関心も深まり、自分でも本に出るくるものを作ってみたい気になります。(何となく、読み進むうちに「わたる世間は鬼ばかり」を見ているような温かい感じになります。)さて、最終巻は、花柚の結婚が仲間の支援により成就するのだと思いますが、成行を楽しみにしたいと思います。
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自分を逃げ道に使わないでほしいというのだった。
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少し、、、
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ラスト1編が美津彦視点なのが、ミステリで言う種明かしのようで良かった!
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美味しい話❤️
我が家のお弁当やご飯にもいかされてます!
お兄さん登場でドキドキ! -
歴の違いや京都文化、こうすると料理が美味しくなる等、勉強になること多かった。
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主人公の心の成長著しく。魅力的な登場人物ばかりだなあ。