ちどり亭にようこそ3 ~今朝もどこかでサンドイッチを~ (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048936224

作品紹介・あらすじ

京都は姉小路通沿いにこぢんまりと建つ仕出し弁当屋「ちどり亭」。その店主の花柚は、婚約者との結婚にともない、店を畳まなければならなくなる。しかしバイトの彗太が店を継ぎたいと申し出たことで、彼が大学を卒業するまでの二年間は、店を続けられることに。
 安堵したのもつかのま、花柚は祖父から「ただしオーナーも店主も辞めること」という条件を出される。
 名義とお金だけ貸してくれて、現在の店のやり方を守ってくれる人――そんな都合のいい人を果たして見つけられるものだろうか……。

感想・レビュー・書評

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  • 京都の小さなお弁当屋さん、ちどり亭のシリーズ、三作目。
    アルバイトの大学生、そして、今ではちどり亭の後継者を目指す、小泉彗太(こいずみ けいた)の目を通して描かれる、花柚さんの料理と恋、二十四節季に彩られる京都の四季。

    有職を今に伝える名家のお嬢さんにして、お弁当屋さん「ちどり亭」の店主・蒔岡花柚(まきおか はなゆ)は、幼いころからの恋をようやく実らせ、許婚の永谷総一郎(ながや そういちろう)との結婚が決まる。
    しかし、家の大人たち、特に、ちどり亭の家主である祖父からは、名家の跡取り同士の結婚を許す条件として、店をたたみ、花柚は店主をやめること、経営にかかわってもいけない、という条件を出される。
    彗太が店を継ぐと申し出たことで閉店だけはまぬかれたが、別のオーナーを探すことになった。
    そういう悩ましい状況を軸に…
    なぜ料理をするのか、という大切な話が語られる。


    11.草露白(くさのつゆ しろし)、漆塗りと栗おこわ
    目に見えるもの、舌に感じる味…
    人それぞれ、違っている。
    お客さんに、自分の作ったきんぴらを「おいしくない」と言われ、彗太は人に料理を出すことが怖くなり、店を継ぐことの重さを今更ながらに感じる。

    12.鶺鴒鳴(せきれい なく)、配膳さんと海老フライ
    ちどり亭はお弁当を作ることを商売にしているわけだが、普通の人がお弁当を作る相手は、ごく親しい、家族やそれに準ずる関係の人に限られる。
    案外面倒見のいい美津彦が連れてきた大学生、康介の、ちょっと微笑ましい勘違い。

    13.鴻雁来(こう がん きたる)、野菜嫌いとつくねの照り焼き
    親が子供の成長に願うこと。
    とくに、一番気にかけるのは、成長に大きな影響を及ぼす“食べるもの”のことかも知れない。
    大きすぎる愛情に反発するのも、子供の成長ではあり、
    いつまでも甘え続けるのは大人になりきれない証拠でもある。

    14.虹蔵不見(にじ かくれてみえず)、サンドイッチと琵琶の音
    この、ちどり亭の物語の中で、最大の事件と言ってもいい。
    花柚がこれまでの思いに始末をつけて、自分の意思でこの先を歩むためには必要だった再会。
    藤沢先生の言葉、「誰かのために生きてはいけない」を、花柚が大切な人に贈る。
    おいしい料理を作ってくれる誰かがそばにいてくれれば大丈夫。

    番外編 月見る月はこの月の月
    “ダメな京都の男の代表”から救いの神と化した白河美津彦(しらかわ みつひこ)視点で語られる、3巻のいきさつの裏と、ここにも母親の料理の呪縛から逃れようともがく、美津彦の女友達・村上莢子(むらかみ さやこ)の話。
    人は半年で、細胞ごと生まれ変わる?

  • 大好きなシリーズの3作目。
    花柚は総一郎の結婚にともない、ちどり亭から手を引かなければならなくなる。彗太が大学を卒業後に引き継ぐことになったが、オーナーを探さねばならず――。

    相変わらず花柚さんが可愛いなぁ♡
    ほんわかしてるけど、芯がしっかりしてるところが素敵。
    花柚さんをはじめ、彗太も総一郎さんも美津彦さんも松園さんも…登場人物がみんな魅力的。

    配膳司(配膳さん)という職業を初めて知った。
    彗太も言ってたけど、世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるなぁ。

    オーナー探しに苦戦していたけど、最後はやってくれました美津彦さん!
    『四百宿四十飯の恩を精算する。これで店を引き取ろう。俺がオーナーだ』
    美津彦さん~~~!!
    やっぱり好きだわ(笑)

    今回は番外編も収録されていて、美津彦さん目線のお話でした♪

    続き、もちろんあるよね?
    ずっと、続いてほしい作品です。

    2021.3再読
    今までは家庭で、自分で食べるための料理を教わってきた彗太だけど、店を継ぐためにお店で出せるように改めて教えてもらうことに。
    均一のクオリティにするのが難しいよね。

    今巻もおいしそうな料理が目白押しだったけど、特にフルーツサンドの描写がたまらなかった!
    “真っ白いホイップクリームにきらめく、皮の紫色がほんのり残った巨峰に、淡く黄味がかった洋梨。
    黄色のカスタードクリームから顔を見せる赤いいちごに、ピンクと白のまじった桃。
    くだいたナッツははちみつと絡んできらめき、チーズと一体化している。
    サンドイッチの切り口からのぞくフルーツとナッツは宝石のよう。”
    今すぐ食べたい…。

    店のやり方を分かってくれるオーナー見つかるかな…と思ってたら美津彦さんんんん!!
    「四百宿四十飯の恩を精算する。これで店を引き取ろう。俺がオーナーだ」
    美津彦さん、やってくれたよ!!

  • 花柚さんの兄さんと彼女登場でまたしても驚天動地! それでも誰もが前を向いているから、温かな気持ちになりました。美津彦さんが語る番外編、笑った!

  • 毎巻、新しい登場人物による新展開があり、花柚の周りの親しい仲間の人としての成長があり、楽しみに読んでいます。また、食への関心も深まり、自分でも本に出るくるものを作ってみたい気になります。(何となく、読み進むうちに「わたる世間は鬼ばかり」を見ているような温かい感じになります。)さて、最終巻は、花柚の結婚が仲間の支援により成就するのだと思いますが、成行を楽しみにしたいと思います。

  • 自分を逃げ道に使わないでほしいというのだった。

  • 少し、、、

  • ラスト1編が美津彦視点なのが、ミステリで言う種明かしのようで良かった!

  • 美味しい話❤️
    我が家のお弁当やご飯にもいかされてます!
    お兄さん登場でドキドキ!

  • 歴の違いや京都文化、こうすると料理が美味しくなる等、勉強になること多かった。

  • 主人公の心の成長著しく。魅力的な登場人物ばかりだなあ。

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著者プロフィール

一九七九年岐阜県生まれ、愛知県在住。第20回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞し、デビュー。著書に、「ちどり亭にようこそ」シリーズ(全4巻)、『かくしごと承ります。~筆耕士・相原文緒と六つの秘密~』など。

「2022年 『出張料理みなづき 情熱のポモドーロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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