ホーキング、未来を語る 普及版

  • アーティストハウスパブリッシャーズ
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048981651

作品紹介・あらすじ

未来を予測し、自在にコントロールする。タイムトラベルを自由に楽しむ…21世紀を迎えた現在、科学は人類の長年の夢に近づいただろうか?250点のカラー・イラストを駆使し、天才科学者ホーキングが、宇宙と人類の未来を縦横無尽に語りつくす!読者とともに宇宙のすばらしさを分かちあうため、ホーキングの遊びに満ちたアイディアが満載された宇宙論のバイブル。

感想・レビュー・書評

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  • 難解。

    これでも『宇宙を語る』より読み易く工夫したらしい。ただ、訳者が書くように、物理学の学生でも理解に苦しむとの事。少しその内容紹介によりテイスティングをと思うが、その前に、こうした「認知の限界」について気付きを述べたい。

    理解力>説明能力
    世の中には、「頭の良い人は、分かりやすく説明するはずだ」という期待があり、一部分では正しい。しかし、これを矛盾という故事に当てはめるならば、最強の説明能力があれば、最低の理解力を補えるかというと、そうはならないという点から反証できる。つまり、万人が超ひも理論を理解できるかというと、やはり限界があるし、だからこそ学者が存在する。つまり、理解できる人のみが「事を成し遂げる領域」がある。これは、例え話による印象で理解したつもりになるのとは本質的に異なる。寓話で納得する大多数の事象や領域を、理解したとは定義しない。

    掘り下げてこれを日常の仕事で述べてみる。理解できない層に説明するため、あるいは、より理解度を上げるための「資料作りの努力」というのが、多くの企業では認知の平準化のために行われるが、これが生産性を下げる一因である。また、現場作業は、認知レベルを下げて標準化、モジュール化により複雑化しない事、本来はその標準プログラムを現場で書き換えられぬよう、つまり創意工夫を排除しなければバグが生じやすいが、現場の意見を尊重するためにそこが弱まる。不正にも繋がる一因だ。理解力の乏しさを、寓話化で補い、手順書で示す。その認知グラデーションを峻別してそれぞれを機能的に働かせる事が大事。

    で、『未来を語る』では、イラスト満載で物理学を少し寓話化してくれているという事なのだが、着いていけない自分が悔しくて、ダラダラ述べた。次のような感じだ。

    ー 時間は洋梨の形をしている

    ででん! 行き過ぎた寓話化。もう、一生働かされる側で良いです、と諦めず、別の部分で、もう少し微に入る。

    ー 見かけ上は互いに異なる理論ではあるけれど、それぞれ異なる場合の極限で、同じ基本理論の近似となる理論のネットワークを発見した。これはニュートンの万有引力の法則が、重力の弱い極限では、アインシュタインの一般相対論の近似であるのと同じこと。M理論はジクソーパズルに似ていて、ジグソーパズルは端っこにあるピースを固定してからはめていくのが、最も簡単。しかし、いまだにジグソーパズルの中心には、大きく口を開けた穴があり、そこで何が起きているか、私たちにはわかりません。この穴を塞ぐまで、万物理論を見つけたとは主張できない。

    つまり、まだ物理学やM理論は万能では無い事を自白するのだが、これは言わずもがな。別にその不完全さで自信を取り戻すという話ではなく、端のパズルのピースさえ見えていない自分が辛すぎるという追い討ち本だった。

    • 雷竜さん
      私は物理の本はいくら読んでもわかりません。本当の意味で理解してないから人に説明できないのです。くy
      私は物理の本はいくら読んでもわかりません。本当の意味で理解してないから人に説明できないのです。くy
      2024/02/18
    • rafmonさん
      雷竜さん
      コメント有難うございます。私もお手上げです。
      理解するための体系、読む本の順番があるのだと思いながら、手当たり次第、興味本位に漁っ...
      雷竜さん
      コメント有難うございます。私もお手上げです。
      理解するための体系、読む本の順番があるのだと思いながら、手当たり次第、興味本位に漁っては打ちのめされるという状態です。
      2024/02/18
  • そういえば、タイムマシンやパラレルワールドを駆使する「大長編ドラえもん のび太の魔界大冒険」(1984年)にホーキングが出てくるんですよ。流石!

  • 相対性理論からエーテル体について、宇宙の特異点や膨張等々の説明がかなり易しく説明して有ります。「宇宙を語る」は全然理解不能ですがこれは大丈夫だと思います。科学に興味がある人にお勧めです。

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著者プロフィール

スティーヴン・ウィリアム・ホーキング
1942年1月8日-2018年3月14日
イギリスのオックスフォードで生まれ。1957年、物理と化学を学ぶためにオックスフォード大に入学。その後ケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に進学。大学院在学中の1963年に「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)と診断され、当時あと2、3年の命と宣告されたが、途中から病の進行が弱まったこともあり、精力的に活動を続けてきた。
1963年にブラックホールの特異点定理を発表し世界的に名を知られた。1967年論文「特異点と時空の幾何学」でアダムズ賞受賞。1974年に 「ブラックホールの蒸発理論」発表し、同年に史上最年少でイギリスの王立協会会員(FRS)となった。1977年ケンブリッジ大学の教授職を務め、1979年にはケンブリッジ大学のルーカス記念鋼材教授職に就任。1991年にタイムトラベルの不可能性などを説いた「時間順序保護仮説」を提唱。
1990年、1993年、2001年と度々来日して大きく報道されており、日本で最もよく知られる世界的科学者の一人でもあった。
代表作に、『ホーキング、宇宙を語る』。

スティーヴン・ホーキングの作品

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