- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049129021
作品紹介・あらすじ
突如咲太の目の前に現れた、霧島透子を名乗るミニスカサンタ。彼女が「思春期症候群をプレゼントした」という学生たちのなかには、咲太の中学時代のクラスメイト・赤城郁実がいて――。
書き込んだ夢が正夢になる、と学生たちのSNSで話題の都市伝説『#夢見る』。郁実がそれを利用し、「正義の味方」として人助けしている姿を目撃した咲太は、彼女の身体がポルターガイストのような現象に襲われていることを知る。しかもその原因は過去の咲太にあるらしく……!?
「ねえ、梓川君。ひとつ勝負をしない?」
鍵をかけていた過去の扉をあける、シリーズ第11弾。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
新章が始まってからいくつか張られていた伏線の内、赤城郁実の話。
これは、実に思春期症候群になりやすい性格と状況だよなあ。
なりたかった理想の自分と現実の自分、それに納得できない時、人はどう折り合いを付けるのか?
このテーマは例えば理央やのどかも被っているけれど、ここまで真っ正面なのは初めてだな。
それにしても郁実の性格の難儀なこと。自分自身すら許せないとは。でもそれだからこそ、咲太にある意味救いを求めることが出来たのだ。本人は救いとは思ってなかったかもしれないけれど。
そしてそれを放っておけないのも咲太らしい。
後半、解決したと思ったあとに起こる延長戦の緊張感にはドキドキした。
そして物語は今後あっちの世界も関係して複雑になっていくのだろうか?
それにしても咲太が理央に言われる「名探偵が行く先々で事件に遭遇する」発言は笑った。メタか!
さて次は霧島透子回か? ランドセル麻衣さん回? それとも? 楽しみだ -
第二部になってから咲太の内面に注目したエピソードが多いね。
それだけ第一部において咲太という主人公は奇々怪々な状態に置かれたヒロインたちを救う存在として機能していた。一方でヒロインを救う必然性が減り思春期もいい加減卒業しなきゃな、という段になってくると咲太が置き去りにしてきた過去の問題が顔を見せる構図になっているように感じられる
この巻ではいつか登場した赤城郁実がメインとなると共に中学時代の咲太が学校という空気に絶望するきっかけとなったエピソードに再注目されているね
中学時代のあれやこれやについて、咲太は全てを納得出来たわけではないのだろうけど、それでも高校に入ってから麻衣と出逢って翔子を救おうと藻掻いて他にも何度も足掻いて……
そうした日々の中で咲太は中学時代の絶望とまあまあ付き合っていく方法のきっかけを見つけられた。でも、肝心の中学時代の同窓達は……というのがこの巻の主題となっているね
この巻にてメインとなる赤城育実だけど、その本質や動機がここまで見通せない人物だとは思わなかったというのが正直なところ
『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』にて登場した際は咲太に淡い思いを抱く少女で、前巻ではよく判らない慈善活動をしているという印象程度しか無かった
けれど、郁実が思春期症候群を発症しているかも知れないという情報を切り口に見えてきたのは郁実の正義感ばかり。これまで思春期症候群を発症した少女たちとも症候群に巻き込まれた少女たちのどれとも印象が異なる、という点を強く抱くような女性だった
何というか、自分を強く持っているというか迷いがないというか…
正義感に縋り付いている面は危うく見えるものの思春期症候群を進んで発症するような人間には見えなかった郁実。なら彼女の問題はどこに有るのかと言えば……
ここで前述の中学時代の問題が関わってくる構図は何とも因縁めいているね。
咲太はもう乗り越えてしまった問題。けれど、あの当時、教室に居た者達からすれば青春を台無しにされた乗り越えようがない問題
陰湿ないじめと思春期症候群によって捻じれに捻れてしまった中学時代。それは強い正義感を持つ郁実にとって悔いとなって残り続ける1ページだったのだろうなぁ…
解決はしないけれど、共存の道は見つけられた今回の異変。これまでも示されてきたように自分の中の問題なんて、誰かに助けて貰うなんてものではなくて、自分で付き合い方を見つけていかなければならない代物なのだろうね
結局この巻では解決されなかったいくつもの問題。ミニスカサンタに『#夢見る』、小さな麻衣
この巻で改めて『もうひとつの可能性の世界』がピックアップされたことを考えると霧島透子の正体もその関連かと思いそうになるけれど…
それと咲太が新たに向き合わなければならない問題とどう関わってくるのだろうか? -
今回はこれまでと少し違った角度から思春期症候群とふれあうことができました。咲太達も大学生になりましたもんね。
過去の伏線もしっかり回収してくれて楽しかったです。
-
大学編2冊目。
前々から登場していた赤城郁美がメインで登場。
そりゃ見てる側だって色々思う事はありますよね…
表面上はどう装おうが心の中は人それぞれですから -
これで一つの謎が解けましたが、これまでの伏線が一気に解けるのか?という終わり方。ヒロインが今までのヒロイン達より入れ込みがないからそこは落ちるけど、麻衣さんと咲太君がいちゃこらしたり、これまでのヒロインがちょこちょこ出てきたりしてたので、まあ、許すか。
青ブタはラノベを読んだこと無い人に一番オススメしたいシリーズです。 -
いつ読んでもこのシリーズは心に染み込む内容と文面。
今回もこの世界に引き込まれ、不思議だけれど、どこか切ない気持ちになる。
一難去ってまた一難。
前からの伏線も残したまま……
鴨志田先生、引っ張るのがお上手!