弁証法はどういう科学か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061155596

作品紹介・あらすじ

弁証法は、社会の原理を鋭利にそして的確に解明していく。矛盾とは? 否定の否定とは? ……難解といわれがちな唯物弁証法。本書では、科学的研究の武器として弁証法を捉え、かつ、身近な話題を例にとりながら、平易に解説し、その核心をつく。(講談社現代新書)


弁証法は、社会の原理を鋭利にそして的確に解明していく。矛盾とは? 否定の否定とは?……難解といわれがちな唯物弁証法。本書では、科学的研究の武器として弁証法を捉え、かつ、身近な話題を例にとりながら、平易に解説し、その核心をつく。

科学的方法を求めて――人生は未知の世界への旅行です。さきのことはわからないとか、一寸さきは闇だとかいいますが、何か正しい方向を知るための羅針盤のようなものはないでしょうか?問題の解決にあたって、誰もが手びきとするのは過去の経験です。自分はかつてこうやって成功したとか、誰々はこうやって失敗したという事実をしらべて、こうするのはよくなかろう、こうしたらうまくいくだろうと、その方向ややり方を工夫します。でもそれだけしかないでしょうか? もっと科学的な方法はないものでしょうか?わたしは自分の社会科学の研究に弁証法を使ってみて、それがどんなにすばらしい武器であるかを実感することができました。――本書より

感想・レビュー・書評

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  • マルクス主義の唯物論的弁証法の解説書です。著者の三浦氏は在野の思想家です。弁証法は、自然や社会、歴史の中に見られる普遍的な法則であり、それを科学的に認識することが、弁証法の正しい理解だという主張が展開されます。

    そうした立場から、「対立物の相互浸透」「量質転化」「否定の否定」「矛盾」などの概念が解説されています。

    レーニンと毛沢東の矛盾の捉え方の相違と、社会主義陣営におけるいわゆる中ソ論争をともに否定する三浦氏自身の考えが述べられていますが、こうした議論を読むと、あまりにも時代が変わってしまったことに茫然としてしまいます。

  • 「ガラス玉はダイヤを模して初めてニセモノとなる」という引用、観念論と唯物論の話は参考になったが、如何せん弁証法並びにヘーゲルについての解説はほとんどないに等しく、むしろマルクス主義の話にいつも終着するのが残念。68年著というのもあるだろうが、偏りすぎ且つ時代的に遅れた内容だと感じた。

  • 結局、この本を読んでも弁証法=共産主義者の詭弁の道具、程度の認識しか得られない。まだ毛沢東が健在である頃に書かれたものだが、その後の文革やソ連の行方を知っている後世の人間からすると、アカの戯れ言はいかなる説得力も持ち得ない。

  • 1955年が初版で、新書化が1968年。
    字が小さいうえに潰れていてやや読みにくい。電子書籍で読んだ方が良いレベルではないけど気にはなる。

    エンゲルス、スターリン、毛沢東という名前が随所に散りばめられていて時代を感じさせる。新書化された1968年そのままの内容のようで、読んでいてすこし気恥ずかしいところもある。

    本書は(マルクスの)弁証法について書かれた新書なのだが、「弁証法ができない左派」というものは昔からいて、そう珍しい存在ではなかった、というのがよくわかる。現在では「弁証法ができない人の集まりが左派」という印象すらある。どうしてこうなった。

    「まわり道」という例えを使って解説する「否定の否定」の章が抜群におもしろかった。また矛盾についても詳しく書かれている。

    そのうちに再読したい。

  • 相互浸透、量質転化、否定の否定

  • 著者の哲学不要論の立場とか、創価学会に対してどう思ってるかとか、なかなか切れ味するどくて引き込まれた。
    弁証法の3つの法則、「質量転化」「対立物の相互浸透」「否定の否定」について、具体例をもって色々説明してくれる本。
    分かったような、分からないような感じだが、こうした考え方を持っていると、より柔軟に考えられるのではないかと思う。

  • マルクスの唯物弁証法が主体になっていて、ヘーゲルの弁証法、いやそれ以前に弁証法の概念全般が理解できなかった。

  • ヘーゲルの観念的弁証法
    (絶対理念から自然の運動、精神から物質へ)
    マルクス、エンゲルスの自然の運動を基礎とする科学的唯物弁証法
    (物質から精神へ)
    「哲学一般はヘーゲルと共に終結する」byエンゲルス。
    弁証法の諸法則。
    量から質へ、またその逆の転化の法則。
    敵対的矛盾、非敵対的矛盾、二重化、否定の否定。
    "それまでのありかたを否定
    変わったあり方
    またそれを否定、はじめのあり方に戻る。"
    この否定の否定の法則は自然、社会、精神を貫く法則だという。
    ただ対立するのではなく対立し相互浸透する。
    媒介を重視。

  • 「ゼノンの詭弁」p53

    【弁証法の3つの法則】p103
    ①量から質への、またその逆の転化の法則
    ②対立物の相互依存の法則
    ③否定の否定の法則

    【「量質転化」の法則】p212
    量的な変化が質的な変化をもたらし、また質的な変化が量的な変化をもたらす。Eg. 集団力、収穫逓減の法則、限界効用

  • 矛盾の理解が弁証法の根幹。最後の章に矛盾を解説したのはそのためだろう。そして、初版が半世紀前なのを考慮して読むべき。

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著者プロフィール

東京に生まれる。
少年時代は算数の応用問題や探偵小説に熱中し、名探偵になることを夢みた。
実業学校(東京府立工芸)を中途退学。その後は働きながら独学で、映画論・言語論・哲学などの研究を進めた。
以後、在野の理論家として、認識論・言語論・芸術論・組織論・人生論など社会科学や哲学の幅ひろい分野において活発な研究著作活動をつづけた。
【主な著書】
『哲学入門』(仮説社)『弁証法・いかに学ぶべきか』(季節社)『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)『三浦つとむ選集』全6巻(勁草書房)『日本語の文法』(勁草書房)『1たす1は2にならない』(明石書店)『こころとことば』(明石書店)

(生:1911年2月15日~没:1989年10月27日)

「2011年 『芸術とはどういうものか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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