かの子撩乱 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061310674

作品紹介・あらすじ

奔放で奇矯な行動と常に噂の絶えることのなかった男性遍歴、また夫一平との世俗の常識を超えた異常の愛――。岡本かの子は童女か、聖女か。絢爛豪華な文学遺産と多くの伝説を残したまま火のような生涯を閉じたかの子の内面を会心の筆で抉る伝記文学の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 伝記文学の傑作と評されるだけあってかなり面白かった.太陽の塔ストラップを持っていた(ケータイごとなくした)ほどの岡本太郎好きであり,岡本かの子の短編集「老妓抄」を絶賛している私なので,600ページある本書もさくさく読めた.一読の価値はあるが,所有したい!と思うほどの感銘を受けなかったので(でも買ったから所有はしている)★つ.読む価値はあるので是非ともオススメしたい.この本は元々,林真理子の20代のうちに読んでおきたい本かなんかそんなタイトルの本の中で絶賛されていたものだ(ちなみに私は林真理子の小説はつまらないと思っているので読まない.が,この20代云々の本だけはかなりいい).そういうわけで読んだのだが,まぁ,読んでよかった.女性が読んだら私よりはもっと面白く読めると思う

  • 強烈な個性。
    自意識過剰で嫌い、でも無視出来ない。
    夫を始め、何故良識ある男が何人も離れられずにいるのか。
    サラッと読めず、何度も期間延長して2ヶ月くらいかけて読んだ。
    だいぶ以前に『知ってるつもり』だったか、テレビ番組で観た時は天才を生んだ親は普通じゃないと思うくらいで特に興味はひかれなかったが、40過ぎて初読し、羨望を感じる部分もある。賞賛あり、批判あり、それでも揺るがない個性と、絶対的な崇拝者。死ぬまでぶっ飛んでいられるって・・そうなりたい人からは嫌われるでしょうね。

  • 非常に興味を持っていた女性、岡本かの子。

    岡本太郎の母としての存在しか知らず、芸術家としての彼女の事は何も知らなかった。

    やる事が派手で、お嬢様で、とても純粋で、魅力的。

    本自体はだいぶ長い時間をかけて読み終わりました。
    今現在、岡本家の様子を見てもぶっ飛んでいるなぁーと思うのだから、当時は相当その印象が強かったはず。

  • これぐらい情熱のある女性に憧れる。

    かの子の人生が面白いのであって、晴美さんが面白いかというとちょっと微妙かな。
    でも、熱意は感じたし丁寧な書きぶりだった。

  • 岡本太郎さんの母、かの子さんについての本

    すごい。。。
    なんとも魅力のある人だったんだろうな。。

  • かなりの長編で、何度か挫けそうになったけど、完読。

  • 瀬戸内寂聴氏が’晴美時代’、『婦人画報』誌に連載していた評伝の大作。
    岡本太郎の母、岡本一平の妻、それ以前に歌人、晩年は小説家…
    天衣無縫な岡本かの子の全生涯を、不惑の氏が書き切った。
     
    兄に感化される文学少女時代を送っていた令嬢・かの子は、谷崎潤一郎に出逢う。
    晩年は川端康成をして、後数年生き長らえていれば森鷗外を超えたであろう、と言わしめた。
    それだけ恵まれた環境にありながら、彼女は何故、文壇で確固たる地位を築けなかったか。
    芸術とは彼女にとって何であったか。
    彼女を創作へ焚き付けていた情熱の、燃料たりえたものは—

    その真相を著者が太郎氏やかつての恋人の元を尋ねながら、数多の書簡を通してつまびらかにしていく。
     
     
     
    読み物には男も女も無いと思っている。
    しかし、女しか書き得ないものは、やはりある。
    書斎にかの子の写真を据えて物理的にも向き合いながら書かれた本作は、数奇な作家の人生に向き合った小説家・瀬戸内晴美の仕事ではなかった。
    女が女を追い、その末に捉えようとする泥仕合であった。
     
    島尾敏雄・ミホの評伝『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』を、敏雄・ミホ・梯久美子氏(著者)の三つ巴と表現した小説家が居たが、本作は正にかの子と著者の闘争である。
     
    著者が女でなければ、息をする様に恋をした寂聴氏でなければ、ここまでかの子の恋愛に焦点を当てる事は無かったであろう。
    生きる事と書く事、愛する事を同義と捉えた氏であったからこそ成せた業なのだ。
     
    『かの子撩乱』を読み始めた夜、私は夢の中で強烈な妬心に悩まされていた。
    いわんや著者をや。
    何度かの子に「持っていかれ」そうになったのだろうか。
     
    2人の恋人に身辺の世話と操縦不能であった情緒の一切を委ね、一平を含めた3人の男と暮らしていたかの子。
    かの子自身のみならず、かの子をミューズと崇め続けた男達の心理、そしてかの子の没後に見せた一平による生き方の矛盾はミステリよりミステリである。
    しかし、その収拾が付かないミステリは太郎氏の冷静な述懐と分析によって包括され、時に答えを導き出していた。
     
    「芸術は爆発」と謳った太郎氏の聡明さと、家族へ対する愛には驚くばかりである。
    唯一事態を客観的に見ていた氏の存在は、彼等の芸術を後世守り続ける際も多大なる援助をしたであろう。
    本棚に眠っている氏の『一平 かの子―心に生きる凄い父母』も、拝読すべき時機に来た。
     
    生み出す作品を、自身の人生が上回る。
    昔の小説家は本当にそう言う人が多かったのだなぁ…と、また文学の面白さに溜息が零れた。

  • 岡本太郎の母、岡本かの子の伝記。あんまり良く知らなかったけど、いやいやもう、やばい人だね。やばいという形容詞が一番しっくりくると思った。プロコンどっちの意味でも。

  • 文学

  • 2018.11.30

    この間、頭の質は母親からしか遺伝しないというのをどこかでちらっと見かけた 岡本太郎の芸術性はかの子というどろどろに煮詰めた芸術への執念と盲信から生まれたのだと思った そして、岡本一平という人間の特異性
    「小説は私の初恋だ。恋に打算はない」

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