オカルト「超」入門 (星海社新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385191

作品紹介・あらすじ

オカルトとは単純に「信じる・信じない」の不思議な現象ではなく、そノ時代の社会背景をも取り込んだ「時代の産物」なのだ。オカルト史を形作った"オカルト重大事件"について、その成り立ちと背景を歴史研究家の視点から解説。

感想・レビュー・書評

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  • オカルトを考察することを通して、当時の社会的背景や人々の考え方・文化を学ぶ。そういう本だと序文に書いてありました。この主旨自体はなかなかに面白いと思います。オカルトという軽視されがちな文化を真面目に捉えて考察している本なのだと、期待していました。

    しかし、序文と実際の本の内容は全く異なったものでした。社会背景などに触れることもごくたまにあるのですが、知的欲求を満たしてくれるほど踏み込んだものはありません。

    ひどいのは、この本のオカルトに対するスタンスがいわゆる一般的なオカルトに対する見方と全く同じということです。つまり、上から目線で皮肉を込めた見方しかしていないのです。

    多くの章は【不可思議な現象→オカルト的見解→科学的見解】という構成になっています。これだと、「不可思議な現象があって、オカルト的見解ではこのようなことを言っている。でも、実際は科学的にこのように説明できるものである。」という文の組み立てにしかなりません。科学的な見解を最終的な拠り所としているので、その前に提示されたオカルト的見解を完全なる道化としてしか扱っていないのです。それって、今までさんざん行われてきたオカルトをバカにする見方と一緒ですよね。

    この本の取るべき構成は、【不可思議な現象→科学的見解→オカルト的見解→オカルト的見解の背景】というものではないでしょうか。つまり、「ある不可思議な現象は科学的にはこのように説明できる。しかし、オカルト的にはこのように説明されてきた。ではなぜこのようなオカルト的見解が発生したのか。そこには当時の社会状況が反映されている。」とすれば、序文にあったようなオカルトを文化として捉える見方が反映できると思うのです。

    ジャンルをまたいで多くの事例・事象を提示したのはとても良かったのですが、それぞれの例の締めが皮肉で終わっているのでは納得できません。「オカルトを軽く扱わない」ということは、もちろん頭ごなしにオカルトを信じることとは違います。でも、それはオカルト考察の結論として皮肉に逃げることでもありません。それは、それぞれのジャンルにおけるオカルト的見解をもっと掘り下げて考えることではないでしょうか。

    テーマが面白そうだっただけに、内容が残念でした。

  • 感想
    社会から弾かれた事象の溜まり場。懐が深く混沌とする。人間の悪意ではなく、ノイズによってオカルトは生まれる。伝言ゲームと同じ仕組み。

  • ●ロズウェル事件 1947年7月、アメリカのニューメキシコ州ロズウェル陸軍航空基地から撃墜した後空飛ぶ円盤の回収に成功したという情報が。
    ●明治43年福来友吉博士と御船千鶴子の千里眼→リングのモデル
    ●竹内文書 富山県の竹内巨麿と言う人物が、実家に伝わったと古文書と称して世に出したものだ。大森にあるキリストの墓石川にあるモーゼの墓広島にあるピラミッドなどもその由来はこの文書にある。
    ●西洋の錬金術師は、11世紀頃から賢者の石の探求に熱中した。
    ●日本史上最大の霊能者は、大本教主、出口王任三郎、
    ●真の陰謀組織として人気があるのが、イルミナティ

  • オカルトの各ジャンル(UFO、都市伝説、フリーメーソン 、ネッシーなど)の触りと背景と、それが嘘である理由を解説した本。
    最初は面白かったが飽きてきて読了するのが辛かった。
    いずれのオカルトも好きだが「こういうことが本当だったら面白いなあ、ワクワクするなあ」と思う程度でガチで信じているわけじゃない。でも嘘である理由をはっきり知ってるわけじゃなかったのでその時代の背景とか歴史からこのオカルトが生まれたのかとロマンを感じた。

  • オカルトは文化や社会の副産物.人々の不安,想像,妄想,期待とともに膨らんでいき,時の試練によりいつか,その脆弱性を指摘されホラ話に格下げされる.

    ただのオカルトの本と侮るなかれ,著者の批判的なものの見方,徹底的に史実や文献に根拠の拠り所を探す姿勢,主張を挟むにしても非常に控えめで好感が持てる態度はまさにインテリ.

    オカルトとは単純に「信じる・信じない」の不思議な現象ではなく、そノ時代の社会背景をも取り込んだ「時代の産物」なのだ。オカルト史を形作った"オカルト重大事件"について、その成り立ちと背景を歴史研究家の視点から解説。

    オカルトの発祥は子供の悪戯、何かの見間違い聞き違い、データ媒体の技術的な問題
    オカルトの発展は社会的不安定(冷戦 )、噂のの一人歩き

    全てが悪意で始まっているわけでは無い。

    オウム真理教で国内メディアのオカルト自粛
    シミュラクラ: 意味がない図形に意味があるものを見出そうとする心理学的現象。三点を見て人間の顔を想起するようなもの

  • 有名なオカルトが受け入れられていった社会的背景などが述べられているのが面白い。

    毎朝トイレに籠ってちまちま読み進めるには最適の本だった。

  • オカルト「超」入門  (星海社新書 )2012/5/25
    著:原田 実

    著者は元市民の古代研究会代表。と学会会員。ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)メンバー。日本でも数少ない偽史・偽書の専門家であり、古代史に関しても造詣が深い。

    「オカルト」はラテン語occulta(隠されたもの)を語源とする語である。したかってオカルティズムとは「隠されたものへの探求」を意味する。
    つまり、世界の本質、人間の本質といったものは、通常の知識や感覚ではとらえられない「隠されたもの」であり、それを探るためには特殊な叡智が必要である。その叡智を探求し、継承し、後に続く者へと伝授する人こそオカルティストである。

    本書の構成は以下の9章から成る。
    ①UFOと宇宙人
    ②心霊と死後生存
    ③超能力・超心理学
    ④UMAと超地球人
    ⑤超古代文明とオーパーツ
    ⑥フォーティアン現象
    ⑦超科学
    ⑧予言
    ⑨陰謀論

    宇宙人がいようがいまいが関係ない。
    ただ、夜空を眺め月のもっと奥には私たちが知らない生命体がいるであろう。こんなにも宇宙は広いのだから・・。とぼーっとしながら年末の超常現象の特集のテレビを見ながら毎年同じビッグフットの映像とチュパカブラの映像を飽きずに見る。そんなスタンスでオカルトと付き合うのが気楽でよい。

    オカルトを追求する人はもちろんするべきであるが、真実が嘘かまでは探る必要はないのかもしれない。全て真実でもあり、全てが嘘なのかもしれない。

    夢を見せてくれさえすればそれで良いのかもしれない。

    そんな私はまだ一度もUFOの類を見たことはない。
    でも信じたい。

  • オカルトを根拠のないミステリーやホラー現象だと考えていましたが、ちゃんとその時代の歴史的背景があるとは知りませんでした。UFO、超能力、超古代文明、陰謀論など、聞いたことはあるが実態を知らなかったたくさんの事例が載っているので、それらを知ることができただけで面白かったです。ほとんどの事例は著者によって反証されていてデマだったことが分かりますが、感情的に否定するのではなく、粛々と証拠を挙げていく形だったので、何かに反対する際のやり方も少し学べました。「超」入門となっていますが、確かに前知識なしで読めます。

  • オカルトについての歴史、簡単な概略が分かる作品。
    まったく基礎的な知識がない人間にとって新書って良い作品だ。

  • 有名どころからマイナーなのまで取り揃えた各論も良いけど,最後の二章の総論が特に読ませる。さすが歴史研究者。
    オカルトが誕生して受け継がれ,拡がったり鳴りを潜めたりする様を歴史的・文化的文脈で捉えること。それはオカルティストの主張そのものよりずっと魅力的なテーマだ。オカルトを本当に愉しむというのは,こうやってメタに愉しむことなのかも知れない。オカルトをただ信奉したり,逆にバカにするだけというのでは,オカルティズムの魅力を充分堪能したことにはならないのだ。なんてね。

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著者プロフィール

1961年生まれ。歴史研究家。と学会会員。龍谷大学卒業後、1984年から3年半、八幡書店(出版社)に勤務。その後、広島大学研究生、昭和薬科大学文化史・心理学研究室助手(1990?93年)を経て、歴史研究・執筆活動に入る。古代史・偽史・サブカルチャー関係の論考多数。著書に『日本霊能史講座』『日本化け物講座』(楽工社)など。

「2011年 『トンデモ本の世界 X』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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