サエズリ図書館のワルツさん 1 (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 星海社
3.74
  • (59)
  • (127)
  • (92)
  • (15)
  • (5)
本棚登録 : 921
感想 : 125
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061388383

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんでもない日常をいやらしくない絶妙な具合で切り取る物語。偽善じゃない、一人じゃない、優しい空間。優しいだけでは世界は成り立たない。失われたもの、取り戻せないもの、生活を営む上で感じる様々な感情。包み込む優しさ。聖人でなく人間であるから嬉しかったり悲しかったり、生まれてきてよかったと思ったり思わなかったり、そんな日常。

    「本」そのもの自体が至高のものというわけではない。時代は変わる。想いは変わる。関わっている人々がいる限り本という媒体は途絶えることはない。

  • 電子書籍化が進み、紙の本が希少になった時代。人々はタブレット端末を多様化した。サエズリ図書館では本の大切さや、本を愛する人のあたたかい気持ちがやわらかく包みこむように描かれている。
    本はやっぱり本でなくちゃイヤだと強く思わせてくれる1冊。

  • 第1話が無料で読める
    『サエズリ図書館のワルツさん』紅玉いづき Illustration/sime | 最前線 - フィクション・コミック・Webエンターテイメント
    http://sai-zen-sen.jp/fictions/saezuriwaltz/

    星海社のPR
    「本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。
    本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。
    本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。
    そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。
    そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。
    さえずり町のサエズリ図書館。
    それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。
    紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚(ラブソング)――。
    あなたにとっての大切な一冊は、きっとここでみつかる。 」

  • すき。かなり、すき。
    続刊、楽しみに待とう。

  • 存続が危ぶまれている図書館の司書には、心に響きました。
    ワルツさんの本に対する情熱、利用者さんへの思い、見習いたいです。

    電子書籍を買ったからと、たくさんの本を寄贈してくれる方が来ると、図書館や紙の本の行く末が本当に心配になります。
    でも、紙の本の役目や図書館の役割はまだまだ大切だと信じて…仕事もガンバろう!

    続巻、楽しみに待ちます。

  • 近未来なのか、何か大きな事故があり、
    本が貴重になった時代のお話。

    私自身、本の電子化が何かと気になっていた矢先に読んだので、何だかドキッとしてしまった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「本が貴重になった時代のお話。」
      電子書籍が読書のスタンダードになったら(経済的=きっと値崩れします。物理的=本の置き場所。等)、紙の書物は...
      「本が貴重になった時代のお話。」
      電子書籍が読書のスタンダードになったら(経済的=きっと値崩れします。物理的=本の置き場所。等)、紙の書物は貴重品になるでしょうね。。。
      この本読んでみたいです!
      2013/02/13
  • 図書館が舞台の小説と知って手に取りました。図書館での出来事が穏やかにのんびりと進んで行きます。ワルツさんも、丁寧で物腰の柔らかい人物ですが、決して自分を曲げない人で聡明な人です。図書館で本を探したり、オススメ本を紹介したりと何気ない日常を書いた本だと思ってましたが、書かれている時代背景などがとても殺伐としていて、将来、こんな世の中になってしまうのだろうかと不安がよぎるほどでした。そして、特別探索司書という立場、図書館の内外に関わらず、どこにその本があるのか、持っている人物の居場所まで特定できしてしまうことも、一見便利に思えても、このことがまかり通るようになるのはイヤだなあと思った一冊でした。2巻がどうなるのか、続きは気になります。

  • (No.12-75) 近未来SF、YAです。

    『カミオ(上緒)さんがくたくたに疲れて残業半ばで帰宅する途中、どうしても食べたくなったファストフード店の駐車場は満車。何の施設か分からない隣の駐車場に入れたことがきっかけで、初めてここが図書館だということを知った。サエズリ図書館。
    せっかくだから借りていかれたらいかが?と図書館代表司書のワルツ(割津)さんに薦められ、カミオさんは、私は本を読んだことがないと言えなかった。
    私立の図書館だけれど利用料は要らないこと、サエズリ図書館の成り立ちと規則の説明を受け、利用者登録をしたカミオさん。
    何を借りていいのか分からず、お勧めの本を選んでもらう。読書の習慣がないのであまり難しくないものをとのリクエストにワルツさんが薦めてくれたのが、海外児童文学の愛蔵版。
    家で読み始めたときは、二週間で読み終えることが出来るのだろうかと不安になったのだが・・・。』

    最初のうちは私たちと変わりない世界のような感じでしたが、これは起こりうる未来の世界なんだなと分かってきました。
    支配者たちが焚書をしたことは現実の歴史にもあり、いくつかの小説にも書かれています。
    でもこの話はそういうものとは違います。意図的に焚書などしなくても、本は無くなる可能性があるのだと教えてくれました。
    しかしそういう世界で、本に執着する人たちもいる。
    本はガラスケースに入れて展示し、一般人に触らせるなんてとんでもないと考える人。
    本を誰にでも読めるものとして貸し出す人。

    「アレキサンドリアを忘れるな」というフレーズが何度も出てきます。
    穏やかなワルツさんが「なにがあっても、貸した本は返していただいています」と言うときの凄み。

    連作短編ですが、徐々にこの世界のことやワルツさんのことが分かってきます。この世界は黄昏を迎えているのかもしれません。でもワルツさんは微笑んで「ようこそ、サエズリ図書館へ」と言うのです。

    私は紅玉さんの本を読んだのは初めて。ものすごく本を愛している人なんだなと感じました。
    以前図書館に勤務していたこともあるそうです。
    本の題名に1が付いているということはシリーズとして続くのかな?もし次がでたら読みたいです。

    本が好き、図書館が好きな方にお勧め!

    最近はラノベの出版数が多すぎて到底チェックできず、この人の名前は知っていたのに読んだのは初めてです。
    体裁がラノベというよりYAだったので、目に付きやすかったのが私にとってラッキーでした。拾い物をしたなとホクホク気分。(以前からのファンの方には申し訳ない)

    著者紹介を読むと、「ミミズクと夜の王」でデビューした人だった。読んでないけど気になってたから著者名が記憶に残っていたんだわ。これは是非読まねばいけませんね!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「本が好き、図書館が好きな方にお勧め!」
      チラっとレヴューを斜め読み。面白そうですね。

      「ミミズクと夜の王」は磯野宏夫のイラストが素敵だな...
      「本が好き、図書館が好きな方にお勧め!」
      チラっとレヴューを斜め読み。面白そうですね。

      「ミミズクと夜の王」は磯野宏夫のイラストが素敵だなぁ~と思って読みたいリストに載せているのですが手付かず。先に「サエズリ図書館・・・」にしようかな?
      2012/12/10
    • tokiwahimeさん
      これと「ミミズク~」は雰囲気はかなり違いました。どっちも良かったけど。
      つながりもないのでこれから読んでみるのも良いと思います。
      これと「ミミズク~」は雰囲気はかなり違いました。どっちも良かったけど。
      つながりもないのでこれから読んでみるのも良いと思います。
      2012/12/11
  • とある穏やかな町の
    優しい笑顔の司書さんがいる
    素敵な図書館の話

    本がとても貴重なものになってしまった時代

    時代背景が一気に語られるのではなく
    徐々に明らかになっていくのが
    想像力をかき立てられていい

    図書館で仕事をしていると
    利用者がめちゃくちゃに戻したがために
    本が見つからないことが頻繁にあるので
    すべての図書の位置情報を知ることが出来る
    『特別探索司書』はとても羨ましい!

    本の材料は有限の資源だし
    昨今は読書をしない人も増えて
    確かに本の存亡が不安であるなとあとがきを読んで思った
    電子書籍の方が保存も保管も優れているし
    場所を選ばずに読書も出来る
    価格も安いし

    でもやっぱりそれじゃ味気ないもんなぁ!
    あの形と
    紙の質感と
    棚に並んだ姿と
    なんて素敵な存在だろう、と本を見ると思います
    目で文字を追って、脳内に情景が描き出されて
    それは作者によって与えられたものだけど
    でも確かに、自分だけの世界

    その世界がとても愛おしいと思う

    本という、限りある資源を買い集めている身として
    せめて紙のブックカバーだけはつけてもらわないように心がけてます
    布とか、ビニールとか
    使い回せるのを、みんな使おうよ!
    本棚に入れたら、前面に布でもかけておけば焼けはないし
    埃は払えばいい
    紙のブックカバーはなくても死なないよ!

    色々と思うところのある話だった

    ただちょっと、句読点がこまめに入って
    リズムを狂わされるのが読みづらかった
    ペースに引き込む狙いなのだろうけど…
    あと上緒さんちょっとウザ…鬱陶しかった←

    最後に、最近知ったとある図書館の理念をば

    「すべての人に、その人の本を」

  • 本好きのロマンチストのための本。
    徐々に世界観が明かされていく書き方が素敵。
    1章だけみたらそのへんの近所の図書館みたいなんだけどなw
    本>>>>>>>超えられない壁>>>>>>>電子ブック

    ゆるゆるつづいてほしいもの。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「本好きのロマンチストのための本」
      そんな、気になる紹介されたら困る(意味不明)

      紅玉いづきは「ミミズクと夜の王」が、気になってます。

      「本好きのロマンチストのための本」
      そんな、気になる紹介されたら困る(意味不明)

      紅玉いづきは「ミミズクと夜の王」が、気になってます。

      2012/09/01
全125件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

紅玉いづきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×