きみを守るためにぼくは夢をみる(4) (星海社文庫)

著者 :
  • 星海社
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本棚登録 : 77
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061389489

作品紹介・あらすじ

悲しさを泉から掬うように、ぼくはあるとき、七年間を失った。
奇妙にからみあう運命のなかで、ぼくにもたらされた約束はただひとつ、初恋の「きみを守ること」。でも大人になるその途中で、ぼくは神話のように「妹」を手にとった。摘みとってしまった花はその香りでぼくを離さない。その花はポーフィロジーン。両手をひろげてぼくを求めている。「妹」を裏切るかのようにぼくは初恋のきみと、陶酔のオートエロティックに溺れる……。静かに雪の降るなかでぼくを待っていた「妹」は、汚されていた。天使達は天国にいてもぼくたちほど幸福でなかったから、ぼくたちをうらやんだのかもしれない。運命は壊れやすく、脆く、切ない。ぼくが目指すべき未来はどこにあるのだろう? ぼくが救うべきひとは誰なんだろう? ぼくの道は続いていく。

感想・レビュー・書評

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  • 2013年に本巻が刊行されて以来、続編は出ていません。いちおうここで完結と見ても、それほど問題はない結末になっているのですが、すこし後味の悪い終わりかたです。

    記憶をとどめておくことができなくなった砂緒のそばにいて、彼女とおなじ時間をすごす朔でしたが、空音が見知らぬ男に襲われてしまいます。朔は空音のことを心配し、彼の両親は空音を家に引きとってそだてることにしますが、彼女の絶望は朔が救うことのできないほど深いものでした。

    以前も言及しましたが、著者は作中で『遠野物語』に触れており、そのほかにも児童文学などについて言及されていることから、なんらかの理論的背景にもとづいて作品のプロットが構築されているように感じます。おそらく空音にもなんらかの役割が割りあてられており、それは本巻で渉が述べていた「記号としての祝祭」であるのかもしれません。ただ、彼女にしても砂緒にしても、あるいは雨花にしても、朔の心の揺れ動きに対応した運命をたどっているだけで、いまひとつ彼女たちに固有の存在感のようなものが感じられませんでした。

  • j

  • 幸せな最後を願いながら読みましたが、少し悲しい結末となっていて正直凹みました。自分にはハッピーエンドの恋愛ものが合うと感じました。

  • ことの展開も、主人公たちの決断も、目を見開くことが多かったかもしれない。

    朔は確かに長い時間を失って、人一倍いろんなことを考えるけど、自分が大人になる過程では為し得なかったことだとは思うけど、すごく、読んでて、複雑な気分になる。

  • 続編を読むたびにがっかりしている気がする。
    まだ星海社から文庫版が出る前の『きみを守るためにぼくは夢をみる』を読んだときは、年齢も朔にかぶる頃だったためだったし、もしかしたら思い出の補正もあってか、とてもわくわくしながらページをめくっていたと思う。続編が出ると聞いて、胸を躍らせたのだけれど……。

    自殺やレイプ、妊娠など、本当にこれは元々児童文学だったのかと思う。なんとなく美しく見えそうな単語をちりばめて、文章をきれいに見せようとしているが、物語自体が破綻しているのでどうしようもない気がする。
    読んでいる年齢がマッチしなくなったせいかもしれないけれど、朔に感情移入できなくなってしまっている。ライトノベルのハーレムものの、魅力がない主人公に成り下がっている。それも巻を重ねるごとに。

    カバーが4巻から新海誠氏でなくなっているのも残念。
    でもなんだかんだで最終巻までちゃんと買うんだろうなあ。

  • 悲しさを泉から掬うように、ぼくはあるとき、七年間を失った。

    奇妙にからみあう運命のなかで、ぼくにもたらされた約束はただひとつ、初恋の「きみを守ること」。でも大人になるその途中で、ぼくは神話のように「妹」を手にとった。摘みとってしまった花はその香りでぼくを離さない。その花はポーフィロジーン。両手をひろげてぼくを求めている。「妹」を裏切るかのようにぼくは初恋のきみと、陶酔のオートエロティックに溺れる……。静かに雪の降るなかでぼくを待っていた「妹」は、汚されていた。天使達は天国にいてもぼくたちほど幸福でなかったから、ぼくたちをうらやんだのかもしれない。運命は壊れやすく、脆く、切ない。ぼくが目指すべき未来はどこにあるのだろう? ぼくが救うべきひとは誰なんだろう? ぼくの道は続いていく。

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著者プロフィール

1965年千葉生まれ。
著書に「きみを守るためにぼくは夢をみる」(星海社)、「ネネとヨヨのもしもの魔法」(徳間書店)等がある。

「2016年 『僕らの惜春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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