- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061455535
作品紹介・あらすじ
西欧文化の輸入に頼り、「いかに知るか」ではなく、「何を知るか」だけが重んじられてきた日本では、問題解決のための論理はいつも背後に退けられてきた。本書は、「なぜ」という問いかけから始まり、仮説を経験的事実の裏づけで、いかに検証していくかの道筋を提示していく。情報洪水のなかで、知的創造はいかにしたら可能なのだろうか。著者みずからの体験をとおして語る画期的な理論構築法が誕生した。(講談社現代新書)
読み継がれて35年
知的創造の技術を
実体験から語ったロングセラー!
知的創造とは何か
それは情報洪水のなかで、いかにしたら可能になるのか。
「われわれは、科学における知的生産のための基本的なルールを、
常識として、手に入れる必要があるのではないか。
そして大学教育においても既成の知識の獲得よりは、
むしろ新しい知識を自ら生み出す方法の訓練に、重点を置かなくてはならないのではないか。
このような知的生産の時代をわが国によびおこすため、
この書物が少しでも役に立てば、筆者としてこれに勝る喜びはない」(あとがきより)
【目 次】
1 方法論への道 知的創造とは何か
2 問題をどうたてるか
3 理論と経験とをつなぐ
4 科学的説明とは何か
5 数量的研究の方法
6 全体像をどうつかむか
7 現場の体験の生かし方
8 ジャーナリズムに学ぶ
9 方法論の一般理論へ 創造にむかって
感想・レビュー・書評
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本書は(主に社会科学にフォーカスをあてた)研究における方法論の概論を記したものである。
本書に書いてあることは、特別なことではなく言われてみれば確かにそうだなと思うようなことだが、著者の経験と絡めて書いてある本書の内容は、私たちがわかっているつもりで実は見落としがちな重要なエッセンスがぎっしりつまっている。また研究を行っていく上でこのような方法論を曖昧に認識するのではなくしっかり理解することは重要であり、そのしっかりとした理解を促すのにもとても有用なものと言える。
方法論を模索しつつ研究を行うSFC生は絶対読むべき一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経営学大学院1年生春学期のリーディングリスト。研究すること、論文を書くこととは、というそもそもの考え方。研究者の研究の道筋をたどる文章はとても興味深く、アメリカの学の雰囲気も伝わってくる。
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40数年ぶりに読んだ。表紙が変わっていた。読んだ当時は数量分析を行っていたのでよくわからなかったこともあったかもしれないが、現在では理解できる。
大学生が研究方法について考えるための本であり、卒論でどのような研究方法を行おうかと考えるためにはいい本である。しかし、自分で研究方法を採用できる院生こそふさわしいのかもしれない。
1981年に逝去したということは、この本を出版してから2年後に死亡したということである。 -
「創造」とは「この世界に全く新しい何かを付け加えること」であって、「その為に何をどうすればいいのか」が本書では語られています。
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近代化至上主義とそこはかとなく香る西洋中心観が気になるけど、研究方法論の導入として、書き方はわかりやすい。
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社会科学の統計的手法や因果推論について。題材はかなり古い印象を受けるが、仮説検証のアプローチの基礎が詰まっている。個人的には『原因を推論する』の方がしっくりくる。
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社会学の方法論を、学生運動という現場からアメリカの大学院というアカデミックか世界に移った著者が、経験や時代の流れも踏まえたまとめち良書
具体と抽象の往復という大きな枠組みの中で、物語のように全体像を掴むのか、あるいはサーヴェイリサーチや統制群を用いた実験、参加観察などの比較をベースとした方法で厳密に一部を切り取って掴んでいくのかの対立と止揚が描かれている。
この本が出版されてかなりの年月が流れているが、未だに日本の学問は記述的なものに留まり、社会科学の分野では永久にアメリカに追いつくことはないのだろうな、と実感した。 -
社会科学における研究の方法論。一般化した思考法の基礎。
類書と共通するところが多く、古典として著者の経験を参考に。
・記述と説明の差分としての、「なぜ」という疑問、結果と原因をつなぐものを探り当てる仮説、検証のための方法論