クレヨン王国 三日月のルンルン PART2 (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061484993

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  • カエル、ヘビ、ガ、という3種類の生き物にどうゆう意味があるかと思えば、それぞれ過去、現在、未来であり、土を跳ねるカエル、木を登るヘビ、空を飛ぶガ。
    そして過去は毒を持ち、未来を食べようとする。
    現在は過去を食べようとするが、過去が放つ毒のため近寄れない。あるいは近寄ると逃げていく。
    それぞれの生き物たちの動きが比喩のようで、なかなか哲学的な表現で面白かった。

    「未来と過去の関係が、よくできているといったのさ。ゆめも未来も、過去に食われて、ぼろぼろになって、現実だけがのこる、という三部作が、にくい構成だ。」「ほう、いい着目だ。」と教授はびっくりしたようにアラエッサを見て、「愚者もときに金言をはくね。」p128

  • キラップ女史は、外見がものすごくて、笑い声がまた「カッカッカッ」だったりで人を異様に驚かすような風体の持ち主。
    菊地秀行作品でいえば、外谷良子(ぶう、の人。漢字これで合ってたっけ)のような。
    そのキラップさんの鑑定結果を見て、「この人、優秀だから、ずっと王宮にいるんだよなあ」って改めて認識。

    p89
    トリカブトの根に含まれる毒はウドク、烏毒というそうですよ。アルカロイド、ヒパコニチン、アコニチンの三種からなっているそうな。昔から烏頭ウズの毒として有名だそうで。へえ、初耳。

    p91
    カエルの毒に倒れたストンストンを心配するアラエッサ。憔悴っぷりや心配っぷりが、哀れでたまらない。
    ストンストンの身体に効くかも知れない薬を、

    「おれが、自分のからだで実験してみりゃいいだろ。無害だとわかれば、ストンストンに食べさせる。」
    「もし、毒ガだったら、わが軍はどうなるというのよ。」と、ルカがなじりました。「イノツツ将軍ばかりか、キシネ将軍まで失うわ。」

    ルカ、結構ひどいことを言う。なんだこいつって思ったけれど、ルカも反省してましたねー。モニカも行方不明で心配だったんだし、
    「ものごとが思うようにいかないからといって、アラエッサをうらむなんて、最低だった。ふっきらなくっちゃいけない。」
    そうだよね、物事うまくいかないと八つ当たりするよねえ、なんといっても十八歳の大臣だものね。
    この話のルカの言動って、なんだかシルバー王妃と重なる。やんちゃなところだろうか。ここらで、ああ王妃とは違うな、って思った。


    三日ぼうずが、交誼の印とかいってうまく自分の心の体面も取り繕いながら、あの念珠くれたから、誘拐されたペットのイヌネコは助かるだろうけれど、絶望してしまった彼らの心は助かるんだろうか。
    そして、あれらのカエルがいなくなれば、クレヨン王国の憎悪光線に侵された子どもは助かるんだろうか。


    野ぶどう、検索したら、きれいだった! トルコ石でもあり、アメシストでもあり……あれらの写真を見た瞬間、
    「これ、知ってる! 大好きなやつだ」
    と思ったけれど、あのピーコックグリーンが私の好きな色だからなのか、なんかで見たからなのか……


    福永さん、あとがきで「古今和歌集 巻十」にある「物名」の歌、歌に物の名前がこっそり隠してある歌なんかを引いて、文学は、こういう遊びも含んだおおらかな幅広いものだったのを、明治以降の教育で、芸術はこういう笑いじゃなくて、人間の真実を見極めなきゃいけないものだと説き続けてしまったと書いている。
    夏目漱石も、お調子者のところがあったから、今も愛され続けているのだと。
    近年はまんがが隆盛になって、わらいやストーリー主体のものを低劣だと決めつけた芸術観がしっぺがえしを受けつつあると。

    「くだらないことも、たのしむのが人生です。そのたのしみの価値は、ときとして宝石のようにかがやきます。薬だけが、病人をいやすのではありません。教訓だけが、人をみちびくのではありません。
     長く読みつがれるものは、なんだってみな、偉大な芸術なのです。
     りくつをならべたてて、芸術の尺度をせまくきめ、自分の知識をほこりつつ、排除選択に血まなこになるのをやめましょう。価値をきめるのは、専門家ではなく、ごくふつうの人々なのです。
     いちばん読まれるものが、いちばん貴い。
     最近の、わたしの心境です。」

    私、割りと凝り固まった考え方をしがちで、まじめ一辺倒になりがちだから、もっと色々楽しめるようになりたいなあ。
    三つ子の魂百までとは、よく言ったものよ。と、あの教育に思う。

  • 月のたまごの続編を目指して…。あまり練られていないかも。頭の中に浮かんだ話をばーっと書き出した感じ?少し読むのが辛かった…

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著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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