霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)

著者 :
  • 講談社
4.10
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感想 : 151
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061486683

作品紹介・あらすじ

心躍る夏休み。6年生のリナは1人で旅に出た。霧の谷の森を抜け、霧が晴れた後、赤やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、きれいでどこか風変わりな町が現れた。リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かれる。『千と千尋の神隠し』に影響を与えた、ファンタジー永遠の名作。

感想・レビュー・書評

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  • R2.2.23 読了。

     タイトルに魅かれて衝動買いした本。人里からちょっと離れた神社の脇を抜けていくと、そこは魔法使いたちが住むパラレルワールドでした。主人公のリナはその世界の個性的な住人たちとの交流を通して、大切なことを学んでいく。小学生の頃に出会いたかったなぁ。
    柏葉幸子さんの他の本も読んでみたい。
    是非ともいろんな人に薦めたい。

    ・「欠点がない人間ほどつまらなねえものもねえんでさ。」
    ・「わたしたちは、おたがいをよく知らないから、こわいのかもしれない。正面からぶつからないで、遠くから見ているだけだから。」

    • りまのさん
      こんにちは。私も大好きだった本です。本棚の中に埋もれているはず。読書虫さんの感想を見て、読み返したくなりました。
      こんにちは。私も大好きだった本です。本棚の中に埋もれているはず。読書虫さんの感想を見て、読み返したくなりました。
      2020/07/18
    • カナさん
      小学生の時に読んだのを思い出しました!内容も結構忘れてしまっているので、また読んでみたいと思います(^ ^)
      小学生の時に読んだのを思い出しました!内容も結構忘れてしまっているので、また読んでみたいと思います(^ ^)
      2021/08/15
  • 大人になってから読んだ「青い鳥文庫」の名作。
    出来ることなら主人公と同い年くらいの時に読みたかったな。
    本当の「少女」だった時代の夏休みに。
    このお話に、どんなにワクワクさせられただろう。

    小6のリナは、夏休みにはじめてひとりで旅に出る。行き先は「霧の谷」。
    そこでの様々な出会いが、リナを大きく変えていく。
    よくある成長物語だが、親元から離れてひとりで体験していくことが大切ですよ、なんていう簡単なメッセージだけではない。
    宮崎駿が「千と千尋の神隠し」の発想のヒントをこの作品からもらったと明言しているのは、ちゃんと深ーい訳がある。もちろん、両者ははっきりと別物ではあるけれど。

    特に可愛くもなければ何かが出来るわけでもない。
    格別取り柄のない主人公が、次第に変わっていく様が、うっかり読み落としそうになるほど自然に書かれている。途方にくれて怯えてばかりいたリナが、誰にでも素直に真っすぐに接していく姿は本当に気持ちが良い。
    相手が自分をどう思うかなど、つまらないことだ。
    自分が相手を大切に思えば、それでいいのだと教えてくれる。
    その時その場で出来ることを精一杯していく主人公は、いつか周りさえ変えてしまう。
    言われるがままにぼんやりと生きてきたリナが〈自分のすべきこと〉を見つけていく様は、ワクワクせずにいられない魅力があるのだ。
    ナウシカやポリアンナには到底なれない。でもリナにならなれる。そこが共感を呼ぶ。

    意地悪で手厳しいピコットばあさん。発明家のイっちゃん。コックのジョン。汚部屋のトーマス。おうむのバカメ。威張ってばかりいる王子様。口下手なシッカ。超お喋りなナータ。
    一筋縄ではいかないキャラクターだらけ。
    今度こそダメかも・・と心配しながら読み進む子たちが目に浮かぶようだ。

    序盤の、霧の中で見つけた可愛い家々の描写がとてもいい。
    小さな頃憧れだった「お菓子のおうち」を連想させる。
    お約束どおり最後は別れになるが、ここでもちゃんと小さな奇跡を用意してある。
    禍々しさとは程遠い、あくまでも清々しくやさしい作品。
    ハッとする言葉もたくさん登場する。
    ああ、それにしても、12歳くらいで読みたかった!

    • ロニコさん
      nejidonさん、こんばんは^_^

      「似ている英語」にコメントを下さり、ありがとうございます。

      柏葉幸子さんは、「つづきの図書館」を読...
      nejidonさん、こんばんは^_^

      「似ている英語」にコメントを下さり、ありがとうございます。

      柏葉幸子さんは、「つづきの図書館」を読んだことがありますが、主人公がおばちゃんの図書館司書なので、思わず自己投影しながら読みました。

      「似ている英語」ですが、知っていても使い分けを知らない英単語って結構あるんですよ〜(私はですけど^_^;)

      例えば、atlasとmap。
      前者は地図帳で後者は広げて使う地図。日本ではatlasの方が多く利用されているけれど、世界的にはmapの方がよく使われているということです。
      確かに、図書館の地図帳にatlasって書いてある物があったな〜、なんて再認識したりしました。
      他にも色々ありますが、書いちゃうとつまらないので^_^

      図書館が再開したら、是非借りてみて下さい!

      2020/04/21
  • 昔から大好きな本です。
    昨年の夏、いわゆる学童保育に行かなくなって、多くの時間をひとりで過ごすことになった娘(昨年3年生)に「夏休み中に読んだら」とこの本を渡して、読み終わったと返ってきたのが、半年以上経った3月頃でした・・・驚くことに、読まずに積読になっていたわけではないのです。少しずつ読み進めて、気づいたら半年以上経っていたらしいのです。どんだけ~。「え?続きを読むとき、それまでの内容は忘れてないの?初めの方なんてもう忘れてるんじゃない?」と心配する母(わたしのこと)をよそに、根気強く読み続けやっと終わったという、どうでもいいエピソードでした。私の願い届かず、本好きには育ってないようです・・・

    どうでもいいエピソードが長くなりました。もう一度言います。大好きな本です。この本から柏葉幸子さんにハマった気がします、小学生の頃。
    あの宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」を製作するにあたって、インスピレーションを本書から得たと知って、鼻が高くなったってもんです。「でしょ、だってあの本、めっちゃいいもん。」と思った記憶があります。

    傘に導かれるようにしてたどり着いたその町は霧のむこうにある不思議な町だった。それまでの田んぼが広がり町はずれに神社がある田舎と違い、まるで外国のような建物がたった6軒の不思議な町。あぁ、もう入口から心をわしづかみにされます。児童書ということで平易な文章で描かれているのに、なんでこんなにも情景が浮かぶのでしょう。ダラダラと長く説明が続くわけでもないのに、すぐにリナに感情移入できるのはなぜでしょう。

    お父さんに言われるままにこの町にたどり着いたリナは、当初こそ、ピコットばあさんの厳しい態度に弱気になりますが、「働かざる者食うべからず」に従ってぐんぐんと成長していきます。自分が正しいと思ったことを行動に移し、「悪かったな」と思ったことは素直に謝り、人の気持ちを思いやる、という人として基本的で大事なことが、この霧の谷の町で自然とできているリナ。読み進めるうちにどんどんとリナの印象が変わってきます。コンプレックスだらけだったリナが自信をつけていく様は子どもだけでなく大人の私たちにもなんだか自信を与えてくれる気がします。

    「リナは正式な招待を受けたから、迎えもあったし、正規のルートでこの霧の谷の町にやってきたけれど、この町はどことでもつながっていて必要な人はこの町にやってこれるようになっている。」というナータの説明を聞いたとき(読んだとき)、「私も行きたい!」と強く思ったことを思い出しました。あの学生さんのようにナータの本屋にふと足を踏み入れてしまって、その時、私に必要な本を買いたい!今でも切実に思います。

    読んでいくうちに内容をだんだんと思い出し、「あぁ、そうだったそうだった」となるのですが、それでも先が気になって夢中になって読んでしまう。素敵な素敵なお話です。

    そして、終わり方がまた素敵なのです。またきっと霧の谷の町に行ける。そういう余韻を残してくれます。大袈裟ですが、この終わり方だからこそ、小学生の頃の私はまだ不思議の世界への憧れをもっていられたんだと思います。

    児童書と侮ることなかれ。ずっと手放したくない名作です。

  • なぜか最近、不思議な別世界に行きたくて。
    ブクログで評価が高いこの本を借りる。
    しかしのめり込めなかった。
    小さい時に出会いたかった。そうしたらまた違う気持ちがわいたのかもしれない。
    不思議な人や動物に出会う体験ができたのは良かった。

  • 面白かった♪♪

    "女の子向け"のファンタジーと言われているようですが、男の子が読んでも、大人が読んでも面白いのではないでしょうか。

    どこかしら取っ付きにくそうだけれど、絶妙な距離感をもって優しく接してくれる人達。
    口が悪くおしゃべりな白いオウムのバカメ、恥ずかしがりやでおとなしすぎるトラのタマ、なんでもお見通しのような態度のネコのジェントルマン。
    何より素直で自分の気持ちに正直な主人公のリナ。

    読み終わって「ファンタジー永遠の名作」という触れ込みに納得です。

  • 主人公の小学六年生、「リナ」を見ていて、なんとなく、「赤毛のアン」のアンを思い出しました。
    ただ、アンほど、お喋りではないのですけど。

    私の中での、ファンタジー小説って、その世界に入ってきた人の色に、世界が彩られていくイメージがあるんですね。「十二国記」の彼女とか。それから、「はてしない物語」が分かりやすいですかね。
    周りの影響はあるにしても、本人の意思を最も重要視しているところが、共通していると思います。

    そして、この世界の場合。
    最初こそ、ネガティブな気持ちでいたリナだったけれど、次第に、彼女の色に世界が染まっていくような感覚にとらわれました。

    それは、周りの個性的な人たちの支え(イッちゃんとジョンは、正に良きフォロー役だった)もあるが、自分一人で、なんとかしなければならない環境に置かれたことによって、自分の飾らない意思を、はっきり表現できるようになり、彼女自身のコンプレックスが少しずつ解消されていくにつれて、おそらく、本来の彼女自身の性格であろう、真っ直ぐな優しさが、より際だった印象を与えてくれたような気がします。

    そして、そんな彼女に、周りの人たちが影響されていくのが、手に取るようにはっきり分かるのも微笑ましく、リナも得たものがいっぱいあるのだけど、周りの人たちも、リナから貰った、目に見えない大切なものがいっぱいあると思う。それを実感できるから、読んでいる私は、すごく幸せな気持ちになる。

    特に、それが分かりやすかった、おうむの「バカメ」の台詞

    「人魚がいいにきまってるぜ、トーマス。
    メドーサなんかもかわっててすきだが、
    むすめっこにゃ、やっぱり人魚かビーナスだなあ。」

  • 児童書もたまには読みます。どこかで「千と千尋の神隠し」の元になったお話し、ということを読んで興味を持ち図書館で借りました。働かざる者食うべからず、というコンセプトで主人公のリナが霧の街でいろいろな人のお手伝いをして成長していく、みたいなお話。小さい子が読んで目覚めることもあるかもと思います。

  • 大好きな霧のむこうのふしぎな町。
    愛蔵版を買うか迷ったので読み直す。
    ああ、やっぱりいいなあ。買いだなあ。

    霧のなかから繋がる不思議なまち。
    「働かざる者食うべからず」と言われ、
    見知らぬ町で働きはじめる6年生のリナ。
    霧のなかの町の景色と、
    赤と白の水玉の傘、
    四季のお花が咲き乱れる庭、
    風景の描写が良い。とってもよい。

    うるさい「おうむ」にうるさい雇い主、
    料理上手なコックさんや発明家など、
    登場人物も魅力的で、なにより嫌な奴がいない!
    (ピコットさんも嫌なやつ、じゃなかったもんね?)

    最後の最後のところが
    本当にほっとして、そこがいいんだよなあ。
    「終わりだけど、終わりじゃないよ」っていうところ。

  • 不思議な町の話

    面白かったです。
    最初はリナが、ピコット婆さんにいじわるなこと言われて口ごもることが多かったけれど、最後の方ではリナが逆にピコット婆さんを負かしていて、リナの成長も感じられました。
    あとこれちょっと設定がナルニア国物語と似てる。
    不思議なところから帰ってくるとまだ現実ではほとんど時間が経ってないって言う。
    地下室からの不思議な旅は読んだから、天井裏の不思議なともだち早く読みたいなー。

    • もとさん
      ほっぺプニプニ君の成長も感じられます。
      ほっぺプニプニ君の成長も感じられます。
      2021/02/19
  • いろいろな版で出ているロングセラー。
    有名なシリーズの1作目です。
    子どもの頃に読みたかったな~。
    大人でも十分、読めますよ。
    大人なら、さらっと気楽に。童心に帰って、わくわくと。
    楽しい出会いにちょっとした驚きと冒険、経験値が上がる夏休み~心温まります。

    小学6年生のリナは、父親に長野へ行くなら霧の谷へ行けばいいと勧められる。
    駅についても迎えはなく、交番で聞いても今はもう住んでいる人もいないかも知れない、そこへ行く人は珍しいという。
    それでも、行ってみると…

    山の上に突然現れた不思議な町。
    赤やクリーム色のかわいい洋風の家が並ぶ「めちゃくちゃ通り」は、魔法使いの子孫が暮らしている町だった。
    ピコット屋敷にたどり着くと、そこは下宿屋。
    ピピティ・ピコットという小さなおばあさんに、「はたらかざる者、食うべからず」ときびしく申し渡されるリナ。

    屋敷に下宿している住人達は、発明家で気の良いイッちゃん。
    掃除や洗濯をしているというキヌさん。
    ビヤ樽のように太った名コックのジョン。
    そして、ジェントルマンは、金色の毛と緑色の目をした大きな猫。

    次々に町の家を訪ねて、そこの手伝いをして働くのは面白い経験だった。
    まずは本屋のナータさんのところ。
    おむかいにはトーマスの店があり、口の悪いオウムのバカメがいる。
    せともの屋のシッカさんのところでは、店の掃除をして、壺や皿を磨くことに。
    その中には魔法で姿を変えられていた虎も。
    これが大人しい虎で、もとはサーカスにいて、タマという名前なのだった。
    おもちゃ屋のマンデーさんのところにも。ここにはサンデーという男の子もいて、タマと仲良くなるのだった。
    でも、サンデーはお面をつけたきり、はなそうとしない…?

    白地に赤い水玉で、ピエロの頭が柄になっているお気に入りの傘。
    といった小物も魅力的。
    リナの父も子どもの頃に、来たことがあったのだ…
    すっかり仲良くなった人たちと、別れの時が来る。
    楽しい思い出を胸に。
    宮崎駿さんが影響を受けたというのもよくわかります。
    著者は1953年岩手県生まれ。

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著者プロフィール

児童文学作家。岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。大学在学中に講談社児童文学新人賞を受賞し、『霧のむこうのふしぎな町』でデビュー。ファンタジー作品を多く書き続けている。『牡丹さんの不思議な毎日』で産経児童出版文化賞大賞、『つづきの図書館』で小学館児童出版文化賞、『岬のマヨイガ』で野間児童文芸賞受賞、『帰命寺横町の夏』英語版でバチェルダー賞受賞など受賞歴多数。


「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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