- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061490253
作品紹介・あらすじ
眠れぬ夜に「ゴルトベルク変奏曲」。謎をはらんだ「フーガの技法」。最高傑作「マタイ受難曲」……。平易と優美の時代に抗い、生と死の問題を見つめ続けた最後の音楽職人J・S・バッハ。人間を超え、神に向けられた彼の視線は、音楽をも「超える」。豊富な資料と自筆譜に加え、名盤・名曲案内まで備えた決定版バッハ入門。
人間を超えたものへ――バッハは、相手によってランクを落とすという意識の、まったくない人であった……。これは一般の愛好家を意識してサービスにつとめる同時代のテレマンの態度と、好対照をなしている。要するにバッハは、音楽を、人間同士が同一平面で行うコミュニケーションとは考えていなかったのだと思う。バッハの音楽においては神が究極の聴き手であり、バッハの職人としての良心は、神に向けられていた……。神が聴き手だということになれば、音楽は人間の耳を超えることができる。人間の耳にはとらえられぬ隠れた意味を書き込んで、それを信仰のあかしとすることもできる。それが次章で扱う「象徴」の問題である。バッハはこれによって、人間を軽視したのではなく、おそらく人間の完成を志した。人間を超えたものとの関係においてしか人間は完成しえないことを、バッハは知っていたにちがいない。――本書より
感想・レビュー・書評
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バッハの曲を練習しているので勉強のために読んだが、逆に弾くのが難しくなってしまった。
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バッハの入門書。3時間くらいでザックリとバッハを知りたい人におすすめの本。
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終章「バッハを知る20曲」がありがたい。その作曲家のことを知る最良の方法は、もちろんその作曲された曲を聴くことだからである。
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105円購入2011-11-04
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図書館。いそやま ただし。以前題名のない音楽会でバッハが肖像画で、名刺のように持っている楽譜について解説があり、バッハの音楽、人に興味が湧いてAmazonで検索して。
ざっと読み。読みやすい。著者の意見を交えながら、バッハの人、家族、音楽について様々な方面から見た内容となっていて、雑学的に面白かった。聴きたくなる。2017/7/22 -
(1999.09.30読了)(1990.10.26購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
眠れぬ夜に「ゴルトベルク変奏曲」。謎をはらんだ「フーガの技法」。最高傑作「マタイ受難曲」…。平易と優美の時代に抗い、生と死の問題を見つめ続けた最後の音楽職人J・S・バッハ。人間を超え、神に向けられた彼の視線は、音楽をも「超える」。豊富な資料と自筆譜に加え、名盤・名曲案内まで備えた決定版バッハ入門。 -
特に目新しいことが書いてあるわけではないので、今までバッハに関する本を読んだ人にはそんなに面白くないと思う。が、初めて読む人にはいい内容。バッハの作品については薄いが(それを書いたら新書に収まらないので仕方ない)、作曲法、人となり、生涯、一族のことなどバランスよく書かれている。著者と同じく成長してからバッハの魅力に目覚めた者としては、その目覚めの前後の音楽的嗜好の変化など個人的なことも知りたいなと思った。私は大きく変わったから。著者が認めるバッハ演奏者(リヒター、グールド、レオンハルトなど)はもちろん素晴らしいが、グールド以外のピアニストにも触れてほしかった。でも、NHKFM「古楽の愉しみ」で礒山さんが出ると、本当に内容が充実していて奥深いので、これからも注目しています。
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とても読みやすく、なのに充実した内容。バッハは音楽を人間同士のコミュニケーションとは考えておらず、常に理想的聴衆としての神の存在を感じながら作曲をしていた、という考え方にすごく納得。フーガの技法が詩篇を象徴しているという説が興味深い。