オスとメス=性の不思議 (講談社現代新書)

  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061491380

作品紹介・あらすじ

誘惑するオス、選ぶメス。華やかで激しい性行動のメカニズムは何か?性が生まれ、男女へと進化した15億年の壮大な性の歴史を展望する。

感想・レビュー・書評

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  • 1993年刊行なので結構古い本だが、まだまだ読める。

    男女の性差や関係性、そもそもなぜ「性」という区分が生まれたのか、「性」という区分なしで生殖し、繁殖する生物も多々あることなども含め、系統だって解説し、事例を紹介している。異性を惹きつけるための身体的特徴(クジャクの羽やシカの角)の話や、メスを巡る闘争、メスがどのようにオスを選ぶか、などについては一般にもよく知られていると思われるが、オスとメスのどちらが子どもの世話をすべきか(どちらが世話をしたほうが生物として繁殖し、生き残れるか)などは他ではあまり読めないテーマであるかと思う。

    終盤にはヒトの婚姻制度にも触れており、生物学の話というより社会学の領域になってくるが、ここも面白い。学問の目から見るとこういう分析になるのね、というのがよく分かる。

  • これはメチャクチャおもしろかった。授業のネタが満載だった。

  • 105円購入2011-04-09

  • 生物の性差に関する新書。

    「赤の女王」の仮説や、ジェンダーの問題など話題豊富で読んでいて飽きない。あずまやどりなんかの紹介もあって、性淘汰については一通り説明があって読みやすい。やや古い本ながら新鮮な内容。

    性というキーワードで自分の過去を振り返ると、自由意志とか理性とか存在しない気がしてきて、自分自身が動物というより生物っぽく見えてくる不思議。

  • 1993年刊行。著者は専修大学法学部助教授。◆法学部助教授だけど、本書はまんま生物学の書。◇単純な意味での繁殖は性(性的2型)とは無関係。しかし、15億年の経過の後、ヒトはどのような繁殖・配偶行動を持つに至ったか。本書は、適者生存的進化論では説明困難な進化過程に関し、性選択仮説、精子間競争(男性間競争)仮説などを駆使し、具体的な動物に関する配偶者選択・繁殖方法を踏まえて、巨視的に解説していく。◇本書で少し斬新に感じるのは、例外的と断りつつも、雄による雌の選択過程が存在しうることを解説する点だ。
    ◇また、人間とは、①連綿と続く進化過程の中で生存してきた動物という側面と、②理性を持つ存在という側面がある。しかも、その動物という側面(①)からみるに、一般的に見て、環境に即した多様な繁殖・配偶形態がある上に、ヒトという特定種については、自産する文化的な所産そのものが、ヒトという種の環境を構成すると評しうる。この時代毎で変容する文化的所産に基づいて、繁殖・配偶形態にも変容がもたらされる点への言及があって、なかなか読ませる一書だ。

  • 古書

  • 面白かったのは究極のヒモ・アンコウの雄、雌になりすますイモリの雄、いろいろな生物の雌雄の関係が面白く、人間にも共通するところがあるのかな、などと思ったりしましたが、著者が最後に書いているとおり、それをあまりに追求していくことは人間の罪を容認してしまうことになりますし、人間は違った存在だと強調しすぎることも、生物学的な観点を無視することになるという主張。生物学者の難しい立場がよく理解できました。

  • [ 内容 ]
    誘惑するオス、選ぶメス。
    華やかで激しい性行動のメカニズムは何か?
    性が生まれ、男女へと進化した15億年の壮大な性の歴史を展望する。

    [ 目次 ]
    第1章 性の起源―現代生物学の大きな謎
    第2章 生き物たちの奇妙な性
    第3章 クジャクの羽とシカの角
    第4章 雄と雌と子ども―永遠の三角関係
    第5章 誰が子の世話をするべきか
    第6章 雌をめぐる競争
    第7章 雌はどんな雄を選ぶか
    第8章 雌雄から男女へ
    第9章 ヒトの婚姻システム
    第10章 そしてわれわれはどう選ぶべきか

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 雌同士で戦うことはない。いつも雄同士。
    鹿の角、孔雀の羽、ぞうあざらしの遠吠え、全て雌をひきつけるためにある。
    人間界は至って平和だ。

  •  オスとメスがなぜ生じたのか、というところから、現代のオス・メス事情までを平易に記述されているので、とてもよい本であると思います。特に、スニーカー(ずるい)戦術のところは、自然のおもしろさを知ることができる、この本のハイライトだと思います。

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著者プロフィール

1952年 東京都生まれ.
[現職]専修大学法学部教授.[専門]行動生態学.
『クジャクの雄はなぜ美しい?』紀伊國屋書店,1992.『オスとメス=性の不思議』講談社現代新書,1993.『雄と雌の数をめぐる不思議』NTT出版,1996.『男学・女学』(共著)読売新聞社,1995.ほか

「1998年 『ゆらぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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