- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061491984
作品紹介・あらすじ
思考・言語・イメージを活用して感情や行動を変える道筋を示し、毎日の生活で避けることのできないストレスを効果的にコントロールするための知識と方法を平易に説く。
感想・レビュー・書評
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「混乱状態の中から人々がひとまず秩序をつくりあげるすばやさ、生存者にあまねく見られた平静さ、そしてその人たちの示した元気さと人の役に立とうとする性質」
今度の大災害直後の日本人の態度には海外から多くの称賛が寄せられた。しかし上のセリフは違うのである。米の心理学者・哲学者のウイリアム・ジェームズが1907年のサンフランシスコ大地震に際しての発言なのだ。
史上まれに見る悲惨に直面して、人間が見せた態度が、地域・時代・文化を超えて共通していたということに感嘆するが、もちろんまったくそうではない人たちもむしろ多数いるに違いない。心に深い傷を受け身体まで侵される人々。直後はしっかりしていても時間の経過につれて下降してゆく人々もいるはずだ。
著者は「論理情動療法」のアルバート・エリスや「認知療法」のアーロン・ベックらと並んで、現在心理臨床の世界でもっとも主流となっている認知行動療法を広げた重要人物の一人。本書でも取り上げられているが「ストレス免疫訓練」を開発している。
ストレスとは相互作用的なものである。だからストレス因そのものはコントロールできないかもしれないが、自分の認知の仕方、対処行動はコントロール可能であり、それによって影響の程度は異なるものになる。難しいのはそこに明らかなパターンや公式を作ることができないという点だ。人や状況によって使う対処法は違うし、同じ対処法がいつも役立つこともない。また周りからの援助も一様ではない。従って、上手なストレス対処とは多くのメニューを用意しておき、柔軟に活用できる能力ということになる。パニック状態というのは状況を処理するプランがなく、逃げ道が一つしかない時に起こる(火災の時、劇場の出口が一つしかないように)。社会的には。そういうことが起きるのを予測し環境整備をすることが必要になってくる。
ひとつ、面白い例が引かれていた。フロリダで行われた警察官に対するストレス調査の結果、パトカーの後部座席にいる酔っ払いや、非協力的な市民、「ポリ公」「ぶた野郎」とよばれること、容疑者に襲われること、状況的に避けられなかった行動のために停職になる、などなどのストレスフルな事態の数々よりも、もっと深刻だったのは、用紙をファイルするとか、不必要な書類事務、上司との乏しい人間関係だったそうである。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
celineshonagonさん今まさに私が必要としている類の本かも知れません。ストレスへの対処法、あるいはそのものからの(一時的にしろ)逃避法などは自分なりに全く無くはな...今まさに私が必要としている類の本かも知れません。ストレスへの対処法、あるいはそのものからの(一時的にしろ)逃避法などは自分なりに全く無くはないつもりなのですが、いざストレスを現在進行形で感じている時となるとなかなかそれらを思い出すに至りません。だから日頃から(すりむさんのおっしゃるように)「多くのメニューを用意しておき、柔軟に活用できる能力」が必要とはまさにその通りだと思います。是非読んでみたいです。2011/08/02
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リラックスすること。コミュニケーションをとること。