精神医学とナチズム: 裁かれるユング、ハイデガー (講談社現代新書 1363)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061493636

作品紹介・あらすじ

ヒトラーに心酔したユング、ナチ党員だったハイデガー。現代思想史上に輝かしい足跡を残した「知の巨人たち」の知られざる暗部がいま明かされる。

感想・レビュー・書評

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  •  短いが、その中でナチ期のドイツ精神医学周辺の人物や思想、組織や行為、言動が程よく配置され読みやすかった。またナチス国家樹立以前からの近代精神医学の流れも前史として多少は紹介されておりその点も入門書、概説書としては抜かりはない。終盤にはドイツ精神医学の潮流を戦前から戦後の一時期に至るまでほとんど無批判、思考停止的に受け入れ続けた日本精神医学の流れや、悪名高い731部隊の人脈も実名で数名経歴などを列挙し、彼らの全員が何らの罪も問われることなく教授や京都府立医科大学長、そして薬害エイズ事件を引き起こした製薬会社「ミドリ十字」の創業者内藤良一についても731部隊の人脈からの出自であることなども短いながら問題意識提起として触れており、コンパクトにまとまった第二次世界大戦前から戦後のある時期まてのドイツ精神医学のありようや人物評価、日本のそれも多少は薬味として施した良書として、この関連領域の入門書、概説書として興味をお持ちの方の多数に推奨できる書籍です。

  • たぶん古本棚で見つけたのを、T4作戦についてEテレのドキュメンタリーを見て思い出して読んでみた。ナチによる精神障碍者虐殺の話はその前から知ってはいたんだけど、本書の話としてはあまり具体的なところではなく、政界と医学界のつながりのところ。T4作戦自体は別の本って書かれてたけど、人文書院だとガッツリしたハードカバーかな、それはキツいかな、財布的にも気持ち的にも。

  • [ 内容 ]
    ヒトラーに心酔したユング、ナチ党員だったハイデガー。
    現代思想史上に輝かしい足跡を残した「知の巨人たち」の知られざる暗部がいま明かされる。

    [ 目次 ]
    第1章 ナチズムと精神障害者
    第2章 ナチ精神医学
    第3章 ナチ政権下の精神分析
    第4章 戦後ドイツの精神病理学とナチズム
    第5章 日本の精神医学

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    [ 参考となる書評 ]

  • ナチスが虐殺したのはユダヤ人だけではない。優性思想の名のもとに、同胞であるドイツ人の精神障害者も大量に虐殺されている。病気が回復可能かどうかを精神科医が判定し、殺す障害者を選別したという。

  • ユング心理学は、集合意識、民族神話の重視、アーリア的心理学でナチス思想に繋がるところが多い。ハイデッガーもまた同様。一方でフロイトはユダヤ人であることに凄く大きなトラウマを持っていた。
    精神障害者が自民族にはいないとして抹殺することは近現代社会とは思えない。

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著者プロフィール

元上野メンタル・クリニック院長、精神医学史家

「2022年 『精神分析とナチズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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