イギリス名宰相物語 (講談社現代新書 1452)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061494527

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  • 406149452x 220p 1999・5・20 1刷

  • [ 内容 ]
    賢人、名将、文人、艶福家――世界初の宰相ウォルポールからチャーチルまで、大英帝国を率いたリーダーたちの人間像とは。
    多彩な逸話、名言でつづる快著。

    [ 目次 ]
    ●指導者のあるべき姿
    ●ウォルポール――平和を貫いた男の現実主義
    ●ピット――インド帰りの家から生まれた首相たち
    ●ウェリントン公爵――戦争の英雄から首相へ
    ●とんでもない国王の離婚騒動
    ●ディズレイリ――ユダヤ人の首相
    ●ロスチャイルドとの結びつき
    ●グラッドストン――娼婦が大好きな精力家
    ●ロイド・ジョージ――ウェールズが生んだ首相
    ●チャーチル、そしてその後

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • イギリスにおける議会制民主主義を確立し、イギリスの発展を推進し、また国難を乗り切ったイギリスの首相たちの伝記です。イギリス初代首相といわれるウォルポール、現在のイギリス史上唯一親子で首相を務めた大小ピット、ナポレオンにとどめを刺した有能な将軍であり無能な首相ウェリントン、ヴィクトリア女王に愛されたユダヤ人首相ディズレーリ、「偉大なる平民」であり古典的自由主義者のグラッドストン、故郷ウェールズに尽くし上院と争ったロイド=ジョージ、そしてイギリス最大の国難:第2次世界大戦を勝利へと導いたチャーチルを取り上げています。非常に読みやすい文章で、かつ授業にも使えそうなネタが結構あって面白く読ませてもらいました。とくに記憶に残ったのがディズレーリのくだりで、彼自身がユダヤ人であることは知っていましたが、1875年のスエズ運河株買収の時“大英帝国”を担保にユダヤ系財閥ロスチャイルド家から資金を調達したことは知りませんでしたし、何となく「格好いい」と思います。また、ディズレーリ〔D'Israeli〕の綴りから〔Israel〕が読み取れることも授業の格好のネタになりそうです。ちなみにアイルランドの指導者オコンネルに決闘を挑んだこと(オコンネルが断ったため実現せず)も興味を惹くネタです。ヴィクトリア女王が彼の記念碑に「王は正しき言をおこなうものを愛す」と刻ませたほど愛された保守政治家は、よくイギリスの自由をもたらしたとされるライバルのグラッドストンと比較されて頑ななイメージがありますが、それは一面的な見方であると感じました。自由主義=善という教科書の価値観が時には人物像まで偏らせてしまうようです。
    ついでに、ロイド=ジョージの話も紹介します。20世紀前半の政治家である彼は、蔵相のとき国民保険法やドイツとの建艦競争で財政難となったため貴族たちに増税し、それに反対した貴族の牙城である上院に対し「下院が上院に優越する」という議会法を制定したことにより貴族たちから恨みを買い、そのため探検家スコットは「彼を南極に連れて行ったら5万ポンド、南極に置き去りにしたら100万ポンド出す」と貴族に言われたそうです。

  • 政治学が楽しくなる本。

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著者プロフィール

小林章夫(こばやし・あきお)
1949年東京生まれ。
上智大学文学部英文学科教授・博士(文学)。
同志社女子大学教授などを経て現職。
18世紀のイギリス文学を足がかりに、
近代イギリス文化を多彩な視点からとらえる。
主な論文・著書
「憂鬱な詩人 アレグザンダー・ポープと
政治諷刺」
『チャップ・ブックの世界』(講談社学術文庫)
『イギリス紳士のユーモア』(講談社学術文庫)
『コーヒー・ハウス』(講談社学術文庫)
『田園とイギリス人—神が創りし天地で』
(NHKブックス)
『東は東、西は西—イギリスの田舎町からみたグローバリズム』(NHKブックス)
『おどる民 だます国—英国南海泡沫事件
顛末記』(千倉書房)
主な訳書
ヒュー・ジョンソン『ワイン物語』(平凡社
ライブラリー)
テリー・イーグルトン『アフター・セオリー
—ポスト・モダニズムを超えて』(筑摩書房)
ドミニク・チータム『「くまのプーさん」を
英語で読み直す』(NHKブックス)など。

「2009年 『アメリカ〈帝国〉の苦境』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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