現代アラブの社会思想 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061495883

感想・レビュー・書評

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  • 面白いは面白い。内容は詳細。
    だいたい流れも掴めたが、もう少し分析対象の期間を長くして、アラブの思想を概観できると良かった。

  • イスラムの絶望と、そこから発生したイスラム回帰。終末論へが説得力を持って書かれている。

  • 著者の別の書籍が好きだったので。9・11事件直後の本のため内容は若干古いが、充分今にも通ずる。アラブ現代史の原点と言われる1967年6月に起きた第三次中東戦争をどうアラブの民が受け止めたか説明している。大まかに二つの流れがあり、一つがマルクス主義に基づく人民闘争論。提唱者は先の戦争の敗北をプチブルジョア政権に求め、プロレタリアート人民の闘争を呼びかけた。この動きはパレスチナ解放運動にも発展した後、世界各国の革命の失敗により自滅したが、イスラエルを仮想敵とした陰謀論として形を変え禍根は残った。もう一つの流れが宗教信仰回帰主義。「イスラームこそ解決だ」と提唱した楽観的なイスラーム主義が、後のイスラーム原理主義の台頭を促したのではないかと作者は言う。カラダーウィーによって提示されたあくまで諸々の問題が解決した状態の理想論、結果は提示されるが手段は一切明示されない楽観主義がイスラームのパラドックスを現しており非常に面白かった。これらの流れが高まる終末意識・陰謀史観・オカルト思想に繋がったらしいが、現在はどうなっているのか気になる限り。

  • イスラム・アラブの入門書としてはとても良い出来

  • 古代から続くイスラームの考え方と、オカルト思想が合流することによって、陰謀史観的な社会思想が蔓延しているということを主張する本。

  • イスラムの現在おかれている思想的現状を
    終末論にとり憑かれたものとして描いてしまった本。

    筆者の、「こんな風に書きたくないんだけどさぁ」っていう
    泣き言というか、うめきが聞こえてくる。

    現実はどうか知らない。
    これは興味深い資料となるけど、ちょっとこの書き方では
    紙幅の問題があるとしても、現実をこれで知ったつもりにはなれない。

    まぁ、そう思わせてくれるのが、筆者のうめきなんだけれどもね。

    それにしても、死者が這い出してくる終末の刻は
    確かに今の全体的なネットワークの包囲網を思わせるところがある。
    (これは勝手な意見だけれど)
    富めるほど終末が近づくと言う。
    そして、獣が現れるというのなら、まぁ、すでに僕らは動物化してるらしいし
    終末の刻は通り過ぎてしまったのかなと思うんですけれど、どうでしょう。

著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター教授。専門はイスラーム政治思想史・中東研究。著書に『アラブ政治の今を読む』(中央公論新社)、『増補新版 イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社)『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(新潮選書)、『シーア派とスンニ派』(新潮選書)など多数。

「2022年 『UP plus ウクライナ戦争と世界のゆくえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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