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- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061597600
作品紹介・あらすじ
仏教が興って二千五百年余。この間、仏教は大乗と小乗とに分かれ、大きな差異も生じたが、仏教のもつ高度な倫理性が、両者に共通するテーマであることに変わりはない。本書では、無執著に徹せよと説く『スッタニパータ』『金剛般若波羅蜜経』、高邁な志を抱けと教える『法華経』という三つの代表的仏典に即して、仏教の核をなす倫理思想を解き明かす。
感想・レビュー・書評
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『スッタニパータ』『法華経』『金剛般若波羅蜜経』の三つの仏典の一節を紹介し、その解説を通して、仏教の思想を解説している本です。ただし、ていねいな語釈はなく、どちらかというと著者自身の立場から、それぞれの仏典において説かれている精神についておおまかな説明がなされているように感じます。
著者は、インド哲学および初期仏教の研究者で、本書ではまず『スッタニパータ』の「犀の角」がとりあげられて、釈尊の思想の倫理学的な意義に重点を置いて解説がなされています。
つづいて大乗仏教の思想を、『法華経』の「方便本」および『金剛般若波羅蜜経』にそくして説明がおこなわれます。そこで著者は、初期仏教と大乗仏教のちがいを指摘しながらも、大乗仏教のうちに初期仏教に通じる思想が含まれていることに、目を向けようとしているように感じられます。たとえば「「とらわれのない心を持つ」ことを、もう少しわたくしたちのレベルに引き下げてわかりやすくいい換えれば、すなわち「自制心を持つ」ということになる」と述べられているところに、そうした著者の姿勢がよく示されています。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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