- Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061822405
感想・レビュー・書評
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バチカン奇蹟審問調査官アーサーが、調査に訪れた村で起きた殺人事件の謎に迫る。
刺殺、射殺、撲殺、扼殺の4つの事件。
いずれも一見犯人が現場に存在したとは思えない、あるいは、現場から逃走できたとは思えない不可能犯罪。それを相変わらずの端正なロジックで解き明かしていく。
奇蹟という超常的な事象と、火山の噴火や地震などの自然災害が物語の根底にあるので、殺人という俗物的な行為すらもいっそ神がかった、厳かなものに昇華されるような不思議な感覚に陥る。
もし偶然の重なりが奇蹟なんだとしたら、人間の力や科学では証明できない“何か”に触れたような気分にはなる。
無宗教の人間としては、それが神の力だとは思わないし、犯人の動機は正直理解できないけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それと知らず読みましたが、
別作品『サタンの僧院』のスピンオフのようです。
前作は読んでないので分かりませんが予想した作風ではなかったです。
「バチカン所属の奇蹟調査官」という設定に大変興味があり、
もっと薄暗い、ゴシックロマン調のようなものを期待してました。
表紙もそんな感じですよね?
主人公アーサーは割と気さくな感じだし、
密室等も一つ一つ図に示されていて明朗というのでしょうか。
事件が「十二使徒」に係わるものなので、
アーサーが登場することになるのですが。
推理物として読むのに充分だったので、
探偵役が「奇蹟調査官」でなくても成立できた気がします。
事件が起こるたびに密室が存在し、
更に、グノーシス主義とキリスト教の宗教論が展開されるので、
頭を使い過ぎて結構疲れました。
グノーシス主義なるものに触れるのは初めてでしたが、
それはそれで興味深かったんですけど。
結果、盛り沢山過ぎたかな・・・。
読み進めていくにつれ長く感じてしまい、
時間を忘れて読み耽ることができませんでした。残念。
なので、少し辛めの評価になっています。 -
様々な不可能状況での殺人をひとつひとつ読み解いて最後に大きな謎が解けるという形はとても読んでいてわくわくする。
全作に共通するがアーサーの他宗教に対する立ち位置が私はとても好きだ。
そして2010年の最後の一冊。 -
アーサー素敵過ぎるけどトリックが酷ぇ。
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ある村で起こった不可解な事件。
それを丁度村に居合わせた奇蹟審問官が解いていく…のですが
全てにおいて、どうやって殺したのかと問いたい事件ばかり。
本当にこれは解明されるのか、そこが非常に気になりました。
結論を言えば、当然解明されるわけではあるのですが
回答をみても、そうですか…という感じです。
こう考えてみれば、不可解も何もないのですが
すごいとしか言い様がないです。
しかし…執念ですね、犯人。 -
この物語の中で起こった「奇蹟」に関しては、合理的解決はないんですね。あくまでも「奇蹟」ってことで。
だけど数々の「見えざる手の不可能犯罪」……これも「奇蹟」と同じ扱いで、むしろ物語のメインは宗教論なのか? と思っていたら。とんでもなかったです。本当にどう見ても不可能でしょ!という状況なのに、解決にはなるほどでした。
犯人の動機はどちらかといえば宗教に基づくものなので、「理解」はしづらいのですが。なんとも皮肉なものですね……。 -
≪奇蹟審問官≫シリーズ
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バチカン奇蹟審問官のアーサーが、不可能な状況での殺人事件を解決する。
視点が唐突にぶれるところは読みにくい。
トリック、や動機はともかく、奇蹟審問官というキャラクターは魅力的なので、もっと掘り下げた第2弾があるなら読んでみたい。
グノーシスなど宗教の話もなかなかおもしろい。
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