双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 283
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828834

作品紹介・あらすじ

メフィスト賞受賞シリーズ第二弾!


容疑者は名探偵!? 鍵形の館で同時発生した二つの密室殺人事件!

Y湖畔に伝説の建築家が建てた、鍵形の館――「双孔堂(ダブル・トーラス)」。
館に放浪の数学者・十和田只人(とわだ・ただひと)を訪ねた、警察庁キャリアの
宮司司(ぐうじ・つかさ)は、同時発生した二つの密室殺人事件に遭遇する。
事件の犯人として逮捕されたのは……
証明不可能な二つ孔の難問、館の主の正体、
そして天才数学者たちの秘められた物語を解く鍵は!?
メフィスト賞『眼球堂の殺人』を超えた、シリーズ第二弾!

感想・レビュー・書評

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  •  確かに潔い。いろんな意味で。

     帯に一冊目の眼球堂を森博嗣が推薦って文句があってな。そこに「懐かしく思い出した。本格ミステリィの潔さを。」ってあったんだわ。で、まあ、確かに、潔いな、と。いろんな意味で。
     一作目より数学的色合いががっつり強いイメージ。正直全然ついていけない。想像が及ばない。こんな感じ、と思い浮かべることさえ難しい。もうちょっとこう、わかりやすくなかったのかな。説明が下手なのか単純に文章が合わないだけなのか。読者を置いていくんであれば法月のノックス・マシーンレベルでいこうよ。
     冒頭を読み、双孔堂、ダブル・トーラスの図を見てまず思ったことが、この館は本当に二階建なんだろうか、ってことだったんだけど。途中で「大切なものは目に見えない」って強調し始めて、まさかねぇと思ったらその通り、やっぱり三層構造でした、と。一階だと思っていた階は実は地下にありました、という仕掛け。あの形というより、あの構造だとまずそこを疑うわな。
     あと飾り暖炉の通路はそもそも隠すつもりもなかったんだろうけど、それにしてももう少しわかりづらい、部屋になじむ何かにしてもらいたかったなぁ。暖炉って、どう読み取ってもその部屋には似合わないものじゃん……。
     あくまでも「ダブル・トーラス」にこだわっていたところはすごいなと思いました。ラスト、共犯者のくだりとか好きですね。この男はこの館を手に入れる財力、ひとを雇う財力があるんだろうかと思ってたら、そういうオチかと納得しました。
     十和田先生vs善知鳥神(対立してるわけじゃないけど)という図式で進みつつ、今回出てきた宮司くんたち兄妹のストーリィもこれから展開しそうな感じでしたね。宮司兄妹の過去とかはちょっと思わせぶりすぎるので、書き方が好みじゃない。もっとスマートにちら見せしようよ。隠し事がありますって大きく書いてある裸の背中を見せるより、足先からちらっとスカートめくりあげて足を見せたほうがエロいと思うよ。
     なんだろうなぁ、館に対する感情というか、あっさりしすぎてるのかなぁ、って気もする。館ものだとどうしても綾辻と対比してしまうけど、綾辻の館シリーズにあるような狂気性がない。かといって、森が書く理系ミステリの登場人物たちのような天才性も見えないんだよ。どっちつかずというか。じゃあどこが潔いんだよ、と言われたら姿勢が、と答える。最近のミステリじゃ、ここまでがっつり「館の仕掛け」で勝負する話、ない気がするからね。その点はとても好みで、このまま進んでもらいたいところ。
     あと、どうでもいいけど、被害者の部屋が上下にあったってところで、もしかして一発の銃弾でふたりいっぺんに死んだんじゃね? と思いました。島荘の斜め屋敷みたいにさ、館全体にそういう殺人仕掛けがあって、上下の部屋にいたふたりが同時に死んだのかなって。全然違ったけど。
     抜粋。

     理念は高尚でも、言葉がうわついていたのだ。骨のない言葉に、現実は決して伴わない。


     うちの会社の上にいるひとたちに言いたいわ。

  • だから雰囲気はいいんだよ雰囲気は。
    新たな語り手も好感がもてるし、序盤から読者を惹きつけるだけのリーダビリティもある。
    動機や終盤の展開はありがち(というか同じ構成のものを読んだことある)だけど、だからと言ってマイナスポイントになるまでのことでもない。

    ただ、あれだけ大掛かりなトリックを用いたのだから、もっと使い方があっただろう!と…
    なんか妙な伏線残して終わっちゃうし…
    うーん、消化不良。

  •  犀川先生と間田賀四季。前者をずいぶんとおしゃべりにして、後者をずっと露悪的にした。そんな気がする十和田と善知鳥神。
     森ミステリーへのオマージュといえば、それまでだが。
     ラストの謎解きの二重扉も、そういえばそれらしい。

  • 半分くらいお経でした。

  • 著者のデビュー作「眼球堂の殺人」に続くシリーズ2巻目の本書。
    前作では探偵役であった放浪の数学者・十和田只人(とわだ ただひと)の殺人容疑での逮捕から物語が始まります。
    逮捕されてアタフタするかと思いきや、十和田本人が「犯人は自分しか考えられない」とまるで他人事の様なセリフを吐くから困ったもの。
    そんな彼を本作から登場した警察庁のシスコンキャリア警視が、何の因果か妹が十和田のファンになったと言う事情も手伝って、救い出そうと懸命に努力すると言うストーリーです。

    本書を読んでみて、少なくとも私にはこの本が色々と読者に苦労を強いるのではないかと思えます。

    例えば、散々話を引っ張っておいて謎自体は最後で真打があっさりと解いてしまうが、解かれた謎に対して「ふ~ん・・・」と言う印象しか抱けなかった。

    また、事情を聴こうとするシスコン警視に対して十和田は数学話で答えるが、その話が少なくともなんちゃって理系の私には「うんちゃらかんちゃら、なんちゃらかんちゃら」な、さっぱり分からない代物等。


    気楽な読書で頭を使う気にもならなかったので、数学話部分はそのまま斜め読みしてしまいました。
    恐らく、謎解き自体があっさりとした物に感じられたのは、上の数学話がごちゃごちゃしてヤヤコシイものだったので、それに比べると事件の真相がとても簡単なものに感じられたからかも知れません。

    正直、これは続巻が無いかなとすら思ってしまいましたが、本書が「シリーズに新レギュラー登場」と言った感じの終わり方をしていますし、何より最後のページに「五覚堂の殺人」(仮)と言う続巻の宣伝が載ってあり・・・

    どうやらシリーズ続行の様です。


    数学話は斜め読み

    これが本書を楽しむ極意(?)です。

  • やはりあの人があの人だったかとにやり。
    でもあの人の正体は分からず。

  • 前作で探偵が思ったより常識的、などという感想を書いていましたが今回の探偵は偏屈な数学者をむき出しにしていい味を出しています。理解しなくても問題ないだろうな、と思いつつも好き分野なので楽しく読んでしまいましたが、ちょっと長いですよね。数学が嫌いな方だとこの前半部分の位相数学のやり取りは読むのが辛いのではないでしょうか。建物の構造やトリック的なことなどは意表を突く感じではないものの一応本格してますし、今回登場の兄妹が今後も関わってきそうなので続きがどんな形で展開していくか楽しみです。

  • 実は、トリックをなぜか最初から勝手にそうであろうと思いこんでいたので、「……アレ?」という感じ。
    も、申し訳ない……

    もう書きたいように書いてる感じがいっそ清々しい。
    宮司さんの不穏さのほうが気になるよ。
    大丈夫、君??

  • 館ものの魅力を凝縮した小説。
    前作同様、森博嗣っぽい引き、さらにいうと金田一少年の事件簿的黒幕あり。
    このクオリティであれば、ずっと読みたいと思うシリーズ。

  • 堂シリーズ、第2弾。

    ストーリーの流れやトリックは理解できるのですが、その間に挟まれる数学の専門的な話は、正直98%くらい理解できないので、読むのはかなり苦痛でした。
    作者は「知識は要りません」と言っていますが、知識がない人にとっては、知らない外国語を読んでいるのと同じなので、やっぱり知識は必要だと思います…。
    数学の苦手な人は、読まないほうがいいと思います。
    このシリーズ、こんな感じが続くのかなぁ…。

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著者プロフィール

某国立大学建築学科卒業。『眼球堂の殺人』で第47回メフィスト賞を受賞しデビュー。本格ミステリの系譜を継ぐ書き手として絶賛を浴びる。他の著書にデビュー作を含む「堂」シリーズ、『猫又お双と消えた令嬢』にはじまる「猫又お双」シリーズ、『災厄』『暴走』『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』『アールダーの方舟』『不死症』『幻屍症』『LOST 失覚探偵』『死者の雨‐モヘンジョダロの墓標‐』『土葬症 ザ・グレイヴ』『小説 Fukushima 50』『あしたの官僚』『ネメシス3』『楽園のアダム』がある。

「2023年 『WALL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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