死者の木霊 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831353

感想・レビュー・書評

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  • 信濃のコロンボシリーズ

    竹村岩男刑事の物語。

    執着の強い刑事で、一度終わった事件で腑に落ちず、一つ一つ推理し証拠を見つけ、真犯人を捕まえる信念は圧巻だった。まさに捜査の鬼。

    最後まで確信の持てない推理だったが、証拠も見つかり真犯人確定してこちらもホッとした。

    興奮するほどの内容ではなかったが、少しずつ進展する内容には読む手を止められなかった。

  • デビュー作らしいです。
    テレビで見てるので読みながらどうしても役者さんの顔が浮かぶ(笑

    浅見ファンに借りた本。
    浅見さんじゃなくて「信濃のコロンボ」さんの話。

  • 堅実なミステリー、派手なトリックはないけれども真相に迫っていく過程は面白い。主人公の竹村刑事も周りの刑事たちもいい味しています。竹村夫人陽子は特にすばらしいキャラです。内田康夫、もっと読んでいきたいです。

  • 内田senseのデビュー作。ここから信濃コロンボが始まったんですね。長野から東京、青森を季節感たっぷりで駆け抜けられました☆

  • 借りた本。
    特にあっというような結末ではなかったが、真面目に書かれたものだと思った。花嫁が飛び降りたシーンは情景が目に浮かぶようだった。

  • これは、「信濃のコロンボ」こと竹村刑事が活躍?する話である。
    内田康夫が書く推理小説の中でも、かなり初期の部類に入るらしい。
    うーん・・・(--;
    確かTVドラマで、竹村刑事主役のやつは見てるんだけど、かなりキャラクタが違うなぁってのが印象だ。
    特にこの物語の中で竹村は、早くから自分の推理に拘り、暴走気味の捜査を行う。
    自分自身の直感に従い行動するのは、やもすると周りからは迷惑にも映る。
    中盤では、彼の行動によって自殺する人も出る始末で、いくら己の信念や正義のためとはいえ、いまひとつ竹村の行動に私はもろ手を挙げて賛成できなかった。
    また、最後になって竹村が見つけてきた諸々の証拠に、それまで見向きもしなかった警察内部の人たちが、彼の手柄を手の平を返すように賞賛するシーンも、私にはかなりしらじらしく映ったり。

    ・・・どうも私には、この小説の中の竹村って人物が全面的に好きになれなかった。
    また物語の中で、いまひとつ登場した人物の行動や性質に疑問な点があり、それが最後まで理解できなかったり、また竹村の解説にもなかったりで
    釈然としない点も多かった。
    この物語はわたし的に、いまいち消化不良な話だったなぁ。

  • 内田康夫の処女作です。デビュー作という事で、さすが!という感じの読み応えでした。エンディングもすっきり納まっていて、うまく纏め上げています。
    竹村刑事を取り囲む色々な人間模様、事件に翻弄されるシーンなど、描写力も備わって最後まで面白く読むことができました。

  • 本との邂逅は、大抵は偶然にすぎないものですが、人と同じように運命的な遭遇というものもあるようですね。

    あるいは、また、幸福な出会いというものがあるとしたら、明日、どんなすばらしい相手に巡り合えるのか、わくわくして眠れないのも無理もないことでしょうか。

    ひょっとして、自分を決定的に変えてしまおうとする強引な手練手管の言葉の魔術師だったら、ああ、どうしよう、とかなんとか、むかしはよくもまあ羨ましいかぎりのファンタジィックな生き方、じゃなかった読書をしていたものです。

    中2の7月のある日、野球で遊んでくたくたになったあと、街の図書館に潜り込み休息していた時に、まどろみやすいように薄暗い一角に陣取ってうつらうつらしたその後、悲しい性分で何か活字が読みたいとばかりに、暗がりに手を伸ばせば、相当の人が読んだのでしょうか、ボロボロになった本に指が触れました。

    小さく指す光で確かめてみると、内田康夫『死者の木霊』と読めます。まったく未知の作者の本ですが、元に戻そうかどうか迷っていた、次の瞬間には、薄暗がりで、もう読み出していました。

    閉館時間が迫っているのに読んでいる私を見かねて、司書の方が貸出を快諾して下さって、家に戻って読み切りました。

    すでにその頃には、早川・創元の文庫はじめポケミスから松本清張まで熱中していた後期でしたが、この作品が案外結構いけるではありませんか。

    否、尋常ならざるストーリーテラーで、小道具から何気ない風景の欠片に至るまで、密接に物語を演出する役割を果たす緻密さなのに、だけどその厳密な構成を少しも息苦しく感じさせない、穏やかな鮮やかなテクニックに舌を巻いたのでした。

    そして、この本が、内田康夫の1980年のデビュー作で、その後も次々と量産していることを知った私は、その作品を出版された刊行順に読んでいくことを思いついて実行しました。

    100冊を超える頃には、さすがに息切れがしてきて、その後はそれほど熱心ではなくなりましたが、勧めたら同好の士となった母は、ずっと読む続けるばかりか、浅見光彦倶楽部にまで入るという熱の入れようなのですが、私も幸福な数年間を過ごさせていただいたと感謝しています。

    西村京太郎体験はありませんが、松本清張のあと、多読した作家として、この内田康夫があることをとても良かったと思っています。

    それは、トリックやアイデア偏重のどんなミステリーよりも、人間を描き心の琴線に触れる文学としての自立(出ました久々!、中学生以来の登場です、これって吉本隆明的な意味でです)を果たしているということです。

    ・・・・・

  • ストーリーは凡庸だがセンスが光る。

  • 評価されてたのを盲目的に買ってきただけなのであまり期待してなかったんだけど、いやはやこれは面白いねぇ。本格パズラーというよりは骨太の警察ミステリだけど、探偵役の竹村の想像力や地道な捜査によって埋められた伏線が次第に浮かび上がってくるあたりすばらしいミステリだと思う。また捜査の過程はリアリズムに支えられている代わりに事件そのものはバラバラ殺人に始まり不可解な「自殺」、怪しい容疑者に鉄壁のアリバイとどこまでも本格。

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著者プロフィール

1934年東京都北区生まれ。1980年に自費出版した『死者の木霊』で衝撃的デビュー。主人公の信濃のコロンボこと竹村警部が活躍する作品に加え、1982年に刊行された『後鳥羽伝説殺人事件』で初登場した浅見光彦を主人公にしたミステリー作品は大ベストセラーに。映像化作品も多数。2018年逝去。

「2022年 『箸墓幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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