- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061831407
感想・レビュー・書評
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法廷物をクローズドサークルに持ち込むという異様な設定がなんとも楽しいです。
突然襲われた十津川警部。目覚めると見知らぬ人々。孤島に不自然に作られた町の一角。
ファンタジーやSFのような冒頭にわくわくします。
強制的に過去の事件を検証しなおすことになる十津川警部ですが、七人の一致した証言、そして決定的な写真と、完璧な有罪判決をどうひっくりかえすのか。尋問だけで真相に迫っていく展開は楽しい、の一言でした。
凝ったロジックやトリックがあるわけではないのですが、とにかくこのおもしろい設定勝ちだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文句なしの傑作。
入口こそ派手で奇抜だが、中身はむしろ一見地味にも思えるほどストイックに、本格の論理にこだわって組み立てられている。
「殺しの双曲線」と並んで、ヒットメイカーとしての著者しか知らない人にぜひお勧めしたい。
その一人であった私も、十津川警部(本書に登場)がちょっと好きになってしまった。
また本書の特長の一つとして、リーダビリティの高さにも触れておきたい。
同じプロットで、現代の「本格ミステリ作家」たちなら二千枚級の大作を書くのだろう。それだけ力のあるプロットだからだ。
しかし、本書は薄めの文庫一冊分。使われている語句も平易で、すっと頭に入ってくる。
書こうと思えばいくらでも重く書ける話を、あえてこのボリュームでさらりと読むのもいいものだ。
ラストは現代的基準に照らすとややあっさりとも思えるが、かえってそこになんともいえぬ味を感じた。
2010/10/1読了 -
1999.8.13 4刷 533
十津川警部は帰宅途中を襲われ、不覚にも誘拐された。彼が気づいたときには、彼は奇怪な無人島にいた。しかもそこには、ある町の一部分がそっくり再現されていたのだ。次々建物から現われる人間は、皆或る事件の目撃者、そしてやがて展開される狂気のシーン。会心サスペンス長編。 -
この時期の西村京太郎は面白い。まず設定が良い。孤島に誘拐されてきたある事件の証人たちと、十津川警部。そしてそこで行われる私設法廷ともいえる状況での事件の再確認。そこで、証言が次々に覆されていく過程もサスペンスフルだけど、それに加えて起こるクローズドサークルの中での連続殺人が、さらの物語を盛り上げる。
事件の真相は、仰天……というわけではないが、確実に推理と傍証を繰り返しながら近づいていくので、納得の真相という印象。ケレン味たっぷりという作品ではないけど、最後まで一気に読めた。 -
最後の最後まで犯人がわからなかった!!ミステリーの中で一番好きかも
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数々の西村京太郎作品を読みましたけど、これは絶品です!