コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831599

感想・レビュー・書評

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  • グロかったり、キチガったり、描写を想像するのがめんどくさかったりしたが面白かった。途中で走って気付くんやけど、そこはすごく良かった。すがすがしかった。思いっきり走って大きな声を出したい衝動にかられる。

  • 初読は高校生。

    あの時のまま。
    暴力、性、べたつく汗に灼熱、な感じ。

    昔より落ち着いて読めたが、やはり翻弄される。前半が特に。
    なんだろう、もっと敏感にキャッチ出来るようになりたい。

  • 登場人物はほとんど、きちがいで暴力と性描写がたくさんある。
    深い意味を読み取ることは自分にはできなかったが、話に惹きつけられる部分が多く自然と読めてしまった。
    もう一度読んだら少しわかるだろうか…

  • 下巻まで読み進めると、
    よりわからなくなり、迷子。

    それでも印象深い描写と
    更に気持ちが切迫するものがあった。
    多分もう一度読み返すべき。
    ダチュラ。

  • 主人公は現実の社会に押しつぶされかける。僕らが生きていてわかるように、社会の圧力は絶大である。常識や道徳の壁は高く、分厚い。社会の構造は頑強だ。その前で、個人の力はなんて無力なんだろう。人類が道具を使い始めたのは革命的だったに違いない。この手で破壊できるものは知れているが、道具はその破壊力を無限に拡大してくれる。破壊し尽くさねばならない、という使命感。人も物も、すべてなにもかも。街を廃墟に戻す。それは狂気の沙汰である。しかし人間の本性である。壊したい欲望を抱えて、人は生まれた。今日も壊すために、何かを生み出すのかもしれない、そう思った。だからこそ、不思議と充足した心地でこの本を閉じたのだ。

  • コインロッカーに生まれてすぐ捨てられたキクとハシ。
    二人は幼少期、精神科医で、ある音を聞いた。その音がなんなのかずっと分からなかった2人。

    その音を聞きたくて色んなものを犠牲にしていったハシ。
    ダチュラを探し続けているキク。

    なんとなく、悲しい気持ちになった本でした。

    2012年5月18日読了

  • コインロッカーで目覚めた2人はこう育つ。

    全てを無にしようとするキクと、無にしたくないから色々な輝きと繋がりを求めるが、結局無になろうとするハシ。

    最後、ダチュラを持ち帰り、日焼けした皮膚に、白のスーツとワンピースできめたキクとアネモネが、オフロードバイクをフルスロットルで牛乳まみれのアスファルトを、全てを壊すものを手にしながら疾走していくシーンが、無茶苦茶にかっこよかった。

    あれほどイメージが膨らみかっこいいシーンは今まで出会ったことがない。村上龍は要所でスタイリッシュになる。

    結局お前等もフルスロットルを目指してんだろ?何嘘ついてんだよ?全てを壊してやるよ。本当は破壊したいんだろ?

    自閉している自分が嫌だろ?破壊したいんだろ?

    危ういメッセージ性がなんともゾクゾクしました。

    作中名言
    「名前も意味も衣服も運動も剥ぎ取られて怯えているその顔を辿っていこうと決めた。これからどんなことがあってもその顔を離すまいと思った。怯えて泣き出す自分を嫌うことはない。その他には、どこを捜しても自分は見つからない」

    「欲しいものが分かっていない奴は、欲しいものを手に入れることは出来ないだろう?」


    最後の最後、「俺たちはコインロッカーベイビーズだ」の持っていき方が雑だったので

    ☆4

  • 正直言って上巻ほど面白くなかったなぁ。なんか惜しいって感じがした。
    キクは少年院に入り、ハシは歌手として成功するんだけど、展開がもっちゃりしてて上巻ほどの疾走感がらなくてちと残念だったが、読み物としては普通に面白かった。
    システムに対する怒りのようなものが、外と中に向かって爆発物してるよーな感じの物語だった。小説の中では「ダチュラ」と「心臓の音」に向かう感じで描かれてた感じ。

  • コインロッカーに遺棄された子どもたちの話。

  • コインロッカーに捨てられた赤ん坊の話からよくここまで話を広げたな。すごい。最後はゾンビ映画みたいになったし。

    おもしろかったけど、やや独りよがりでワンパターンな会話が嫌になるところもあった。特にタクシーの運転手とかトラックの運転手はまるっきり同じ人物のようだった。あえてそうしているのかな。

    とりあえず、登場人物のほとんどが頭がおかしい。

    日常の光景を描写しているところがまったく日常の話に見えない。バスのとことか。

    あとは、後半の中倉の活躍がすごい。

    また、面会のときのアネモネが超かわいい。キクの様子に応じて、どんな言葉をかけるか紙にメモしてたところね。

    しかし、矛盾しているところが探せばどっさり見つかりそう。僕の注意力が足りなかっただけかもしれないけど、例えば、4年生で12歳とか書いてあったし、水深40mで作業できるのは6分っていう台詞言ってたくせして、どんだけ海底にいたんだと。

    他には、文章が全体的にもう少し洗練されるといいかなと思った。冗長だと感じた。そう、他のレビューにも書いてあったけど、荒削りな感じだね。

    ハシの話は基本的に読みづらかったし、キクが主な話と比べれば嫌だった。自分探しの話はつまらないなぁと思った。

    どうやって都心にダチュラを散布したのか気になった。キクはハシがいるのにあんなもの撒いてよかったのか。

    他の村上龍の作品を読んでいないからまだわからないけど、村上春樹よりも好きかもしれない。春樹の方がソフィスティケートされているといえばそんな気がするが、逆に、この生臭い感じが良い気もする。

    解説にバタイユの思想がうんぬんって書いてあったんだけど、本当だろうか。

    少しファイトクラブに似ているかもしれない。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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